【群馬のおじさん】

天野小麦

夏の空模様

 これは、私が小学4年生の夏休みに、群馬のおじさんの家に泊まりに行ったときの話です。



 その日、私は一人で電車を乗り継ぎ、群馬に向かっていました。


おじさんの家の隣は仕事場になっていて、おじさんとその弟さんが働いているのですが、私が家に着いたとき、隣からもの凄い怒鳴り声が聞こえてきました。


驚いた私は群馬のおばさんに何があったのかと聞くと、


「どうやら仕事のことでおじさんと弟さんが喧嘩をしているらしい」というのです。


 おじさんと一緒に話そうと思っていたので少し残念でしたが、私は仕方なく おばさんとテレビを見ることにしました。


・・・


 しばらくすると天気予報が始まり、


「群馬県はもうすぐ雷雨になります」


と気象予報士が言うので、私は口を尖らせながら


「もう隣は雷落ちてるけどね」


と突っ込むと、それを聞いていたおばさんは、笑いながら座布団を一枚持ってきてくれました。



 ようやく仕事場から帰ってきたおじさんは、私が遊びに来ていることを知ると、たちまち上機嫌に。


その日の夕食は、私の好きなお寿司になりました。


おじさんはお酒も飲んで楽しそうでしたが、座布団を2枚重ねて食べている私を、不思議そうに見ていました。


 これは私と群馬のおばさんしか知らない、秘密の出来事なのです。

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