三十四羽 ☆ リュリュエル、精神汚染!

「異種族間の理解を深めたり、両国の関係を友好に導いたりと、すべての壁を取り払って、二人の愛が成就するように俺はがんばったんだ!

俺の! 俺の愛が満たされない! なぜ!?」

「壁のない海中をどんどんと叩かないで?」


「なんででしょうかエンジェリックア〜〜〜イ!

<堕天使ヤミエルの思う通りの洗脳>とありますね」


「それで心変わりしたってわけね。

きっと海辺の王国の人間も洗脳されてるんだわ。

だったらラブエルのギフトでなんとかしなさいよ」


「その通りだ! ではさっそく……」


「逃げられるとでも思ったか!

ゼエハアヒーフー!」

「ヤミエル!? 俺たちを追いかけてきたのか!」

「めっちゃ、息が荒いわね」


「でたらめ天使! 王子とマリン姫を渡してもらおう!」

「リュリュエル、あんた目の敵にされてるわよ」

「え〜、なんか嫌です〜」


「問答無用! 喰らえ!

フォーリンエンジェルハーーーック!」


「ハックってどっかの誰かも使ってなかった!?

リュリュエルもヤミエルも白目むいて浮いてるわよ!?

今のうちにわたしの拳を叩き込んでおこうかしら?」


「それはダメだ! 外部からの力を加えると二人とも消滅してしまう!

リュリュエルの愛の力を信じよう!」

「精神系の聖力が得意なラブエルが言うならそうよね……リュリュエルが愛?

今のうちに叩いといた方が、世のため人のためになるような気がするのは気のせいかしら?」


〜リュリュエルとヤミエルの精神世界!


……くははははははは! 

いかな、無垢なる魂を持つ者が転生した天使とはいえ、まったく汚れのない者などありえん!

どす黒いこの俺のようにな!

お前の前世! 心の成り立ち! つまびらかに記憶を洗い出し!

すべてをさらけ出して悪の心を植えつけてくれるわ!


喰らえ! フォーリンエンジェルブレインウォッシュ!

くっ!? ぐ……ぐふは! ぐおお! なんだこの記憶は!?

なんだと!? この俺が涙するとは!? こ、こころが、心が崩壊する!?

貴様! 一体どれほどの過去を!?


☆はい? なんのことです?

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