三十二羽 ☆ リュリュエル、誘拐!
「ヤミエル! そんなことはどうでもいい!
俺に愛を! 愛をくれ!!!
俺を解放しろ! 俺に愛の仕事をさせろ!
俺は愛の天使ラブエル! 愛を成就させるのが俺の生きがい!
マリン姫と王子の愛を実らせたいんだ!
でないと禁断症状が!!!」
「ふん! 秘宝を手に入れる邪魔をするからだ!
そのままずっと囚われていろ!」
「みっちりキツキツボディラインがみごとな緊縛ですね」
「当然だ! 聖力を封印して、絶対逃げられないように縛りつけている!
……………は!?
なぜここにいる、でたらめ天使!?」
「ついてきちゃいました!」
「ついてくるな!」
「リュリュエル!? 俺をここから出してくれ!
世界中の愛を成就するために!」
「あいかわらずのイケメン発言ですね!」
「当然! 愛の守護天使とは俺のこと!」
「俺っ娘もいいですけど〜。
誰をも魅了する美少女なんですから、美少女らしくするのもいいかもですよ?」
「び!? なひゃはうわぅおぅ、きゃう!
ななななな、なに言うのよ!?」
「フィスエルを超えるあわてぶり!」
「そんなことはどうでもいい! 早く俺を解放してくれ!」
「立ち直りが早いです!」
「ふ、逃げることなど。
縄に施した禍々しさあふれるタリスマンを見ろ。
緊縛を解こうとする者を、我らの味方になるよう悪堕ちさせる呪いをかけている。
天使であれば堕天。ゆえに触れることさえはばかるだろう?
たとえ、でたらめ天使だろうと、その呪いには抗えない!」
「ぶちっと」
「ぶっちぎるな!
だがしかし! くははははははははは!
これで貴様は我らが同胞!」
「じゃあ、これで失礼しますね!(ぺこり)」
「ぶふっ!? 悪堕ちは!? 堕天は!?」
「(ついでにこれももらっておきましょう!)
エンジェルワ〜〜〜プ!」
「くっ! 消えた!?」
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