第17話 最もフルダイヴ化にむかない?レトロゲーム
「オクラ様、ようこそ! アナザー・ダイヴ・リワールドへ!!」
「出たな、キャッチセールス」
ここで遊ぶ為のサポートをしてくれているのは確かではあるが、それ以上に追加料金の必要なサービスを次から次へと勧めてくるのが目に余るからだそうだ。
「何の事でございましょう?」
自覚がなければこのすっとぼけ方にはならない。こやつの対応を見れば運営がどういうやつらかよくわかると言うもの。
「ところで、先日オープンしたばかりのワールド、まだインされていない様ですが?」
オープンしたばかりと言えば、あれか…。当時使っていたプレステのメモリカードをスキャンしたらコンプリート率99%。だが、僅か1%分の没データを掘りにいく気が起きないレトロゲーム。
「オクラ様のイン履歴を拝見しますと、新規ワールドがオープンすると確実に初日にインされております。それがまだとはどういう事でしょう?」
「……」
どういう事でしょう?それを言いたいのはこっちの方だ。確かにシステムとしてその様な履歴は把握しているだろうがインするもしないもこっちの勝手だろうに。それが、まるで規約違反でもしたかの様な物言い…。
それにしても。有料サービスよりこっちを推してくるという事はよっぽど過疎っているのだろうな…。
「オープンして10日間経った、インしたのは何人いる?」
「それぞれのお客様の自由なプレイスタイルを尊重しておりますのでそう言った事は差し控えさせて頂きます」
なるほど、ゼロか…。まあ、そうだろう。
それよりさっき俺のプレイスタイルに指図したばかりではないか!?舌の根も乾かぬ内にとはこういう事だ。もういい、この話はとっとと終わらせよう。
「やろうと思ったが、冷静に考えて直前でやめた。それだけだ」
「あれだけ世界的に大ヒットしたゲームですよ!?」
そんな事、わざわざキャッチセールスに言われんでも知っている。癖はあるが実にハマるゲームだというのもよーくわかっている。
「未だにシリーズが続いて最新作も出ている人気タイトルですよ!? 映画にまでなったんですよ!? それをなぜやらないんですか!? あなたそれでもゲーマーですか!!」
なぜキャッチセールスにゲーマーとしての尊厳まで傷付けられねばならんのだ…。だが、こやつにキレてもなぁ…。
全く人気がないのは運営のチョイスミスだ。かつての人気タイトルには多くのファンがついているからリメイクすれば一定数の客が見込める。確かにそうだろうが、安易に全てがそのパターンに当てはまると思うのが間違いだ。
『バイオディザスター』
きっと僅かなミスであろうと悲鳴を上げる事になるだろう…。チビってしまう…、いや失神するかもしれん…。ゲームオーバーなら尚更だ、群がってきたゾンビに食われながら…を体感するのだからな…。
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