第12話 レトロゲーム故に(没クエスト発生中)
没ボス『機動星兵団長・アイアンネブラズ』と戦闘状態に入った。
見た目は3つの頭部を持つ機械仕掛けの竜。
と、いうわけで改めて。左から右へとそれぞれの頭部に視点を合わせる。
頭上に赤い▼が見えた。
真ん中も▼。
右も▼。
やっぱりこれ3体扱いか。
タゲると仲間の上には黄色の▽が付き敵には赤色の▼が付く。そんなレトロゲームの頃のシステムが活きていた事をこれまでの雑魚モンスター戦で確認済みだった。
マリカが登場する強制イベントを眺めていた時点で没ボスには赤▼が3つも見えていた。バトルフィールド内に入ってから最終確認したのは念の為だ。
「恐らくレトロゲームの頃なら3回連続で攻撃を繰り出したはず。それが反映されたフルダイヴ化処理ならば素早さに現れる」
「気を付けます! そして、攻撃箇所は3つありそれぞれに弱点がある、ですね?」
「そうだ」
強制イベントで見た事と併せて考えればおのずと戦法は決まる。俺の
「マリカ、魔奏撃だ! ファイアⅢをくれっ」
「了解よっ、
物理の武器に魔法属性付与、マリカを起点とした連携攻撃が魔奏撃。これ随分と昔からあった戦闘スタイルなんだよな~としみじみ。
さて、マリカが飛ばして来た魔法をラグナソードでキャッチ。これで
ん?
キャッチし損ねた…。リトライ3回目でようやく。
チラッと見た感じ。随分と先行する
フルダイヴ化で魔法に射程距離の概念が加わった。それぞれの魔法に設定された範囲外には届かない、AIオート動作のマリカはちゃんと届くところまで移動してから詠唱するはずなんだが…。
あっ、もしやこれが『AIシンクロ率』とか?そう言えば運営からそんなタイトルのメッセージ来てたな。
一見さぞごもっともな様で、つっこみ処ありありのやつが。
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【AIシンクロ率が生成されていた事を運営が把握できていなかった件のお詫び】
当運営チームがプレイ中に発生する以下の現象を把握出来ていなかった為、告知が遅れました事を深くお詫び申し上げます。
仲間キャラを集めて育成するタイプのゲームワールドでプレイデータを使用する場合。プレイヤー様がどの様に仲間キャラの操作をしてきたか?言うなれば操作癖をAIがデータから抽出して再生した上で仲間キャラのオートモーションに反映させる。
この事から『アナザー・ダイヴ・リワールド』においてはプレイヤー様と仲間キャラとの間にAIシンクロ率が存在する事を確認致しました。
運営と致しましては、仲間キャラが最もストレスフリーな行動を選択してくれる仕様と捉え、『絆』機能として公認し修正をいれないものと判断致しました。
仲間との『絆』を感じながら、『アナザー・ダイヴ・リワールド』を引き続きお楽しみ下さいませ。
運営一同。
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つまり、かつてマリカを育成したのは今の中の人ではない。そう見てよさそうだ。
さて、今はそれを気にしても仕方ない。中の人が誰かなんてどうでもいい、一方を任せられる戦闘力を有しているか?重要なのはそれだけだ。
そろそろ『機動星兵団長ネブラスカ』に届く。タゲると『レフトヘッド』と表示されるヤツが俺に狙いを絞った様だ。
「オーダー。チカヨルモノヲ ハイジョ」
口から吐き出された氷属性のブレス。跳ねあがって回避しそのまま『レフトヘッド』に飛び込……めない。
素早い…。速射で来た2発目は仰け反ってかわす。
バシュッ!
※※※『レフトヘッド』に9999ダメージ※※※
さて、ちょっと気になる
※※※『ライトヘッド』に9999ダメージ※※※
※※※『ライトヘッド』に9999ダメージ※※※
※※※『ライトヘッド』に9999ダメージ※※※
俺より速いぞ…。しかも、『センターヘッド』の注意を自身に引き付けて炎属性のブレスを回避してみせたファインプレー。
※※※『ライトヘッド』に9999ダメージ※※※
おっと、見とれている場合じゃないな。
「
「えぇ!?」
これまでの行動から察するに、あんなに素早く攻撃を畳みかけるタイプとは思っていなかったので…。相当フルダイヴに習熟したプレイヤーだとは思っていなかったので…。全部伝えていなかった。
※※※『ライトヘッド』を倒した※※※
遅かった…。それが爆散して首全体が吹き飛んだ様子が見える。
※※※『レフトヘッド』に0ダメージ※※※
俺が相手している『レフトヘッド』は攻撃無効状態。こいつはダメだ、俺も攻撃中止でブレス回避に専念。
3体同時撃破が必要なヤツだったわけだ。俺が属性を使い分けて2体始末する頃、
さて、こうなると倒した『ライトヘッド』の再生待ちなんだろうが。
「オーダー。 シュウケツセヨ デストロイ」
※※※『機動星兵デストロイ』が現れた※※※
ん? 上からドッさり降ってきた。
モブ人間のキャラデザを被せられたアイツらが…。
ガチャガチャ、ガツリ、ガツリ。
機械の竜が見た目がモブ人間の雑魚モンスターを食ってやがる…。
「あわわわっ……」
本来なら機械が機械を食って金属を組み上げて再生だったはずが…。なんとおぞましきに…。
これの相手を、思いっきり怯んでいた
「入れ替えだ。俺が『ライトヘッド』をやる! 主人公さんはタイミングを合わせて真ん中と左を! 次は3体同時で」
「は、はいっ!」
何も考えずにひたすら敵の撃破を目指す単純戦闘力として考えれば
「終わりましたね! あいつが動かなくなりました」
「ああ、予定通り。俺達の負けだ」
【くそっ、コイツは何て強いんだ…】
出た出た、強制台詞プロンプター。
はいはい、言いますよ…。言わないと前に進まないからさぁ…。
ここまでは没ボスのHPを設定値まで削ってイベントを進める為だけのバトルでしかなかった。
いわゆる、ただの強制敗北イベントだ。
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