第一話 旅の始まり


(おおきく両手を広げた白狐の身体が

変わっていく)


(美しい真っ白な毛並みをした狐の姿に変わった白狐を見て、女は、クックックと喉の奥で笑う)


「狐を喰らうのは初めてだけど、どんな味だろうね?」


(女……いや、今は、化け物と化したらモノに、白狐は、フフフと笑う)


「だから、俺は、やめとけ。食あたりするぞ。そんな事より……。何人の人を喰ってきた?10本の指では足りないだろ?」


「今から、死んでゆくのに、聞いてどうする?」


「死ぬ?俺が?俺……400年も生きてるんだぜ?普通の狐じゃないんだって。」


(白狐は、そう言うと、サッと、その場を離れ、素早く、モノの後ろに回った)


(モノは慌てて、白狐の方に振り向こうとしたが、それを白狐は止めた)


「動くな。動くと、おめぇの首元、喰いちぎるぜ。」


(しかし、そんな言葉がモノに通じるわけもなく、振り向こうとしたモノの首元に白狐は、鋭く尖った牙を突き立てた)


(モノは、物凄い叫びを上げ、暴れる)


(バキバキと何かが砕ける音がする)


(叫び声を上げるモノをバリバリと白狐は、喰っていく)


(モノを全て喰い尽くすと、白狐は、口元を垂れる血を片手で拭った)

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