レベル08 果て果て
…――俺は考える。考え続ける。次の呪文はどうする。どうすれば良いのかと。
決めた。
これでいこう。今回は超大作な復活の呪文だぞ。
長い呪文を入れて、一文字、間違えたっと、昭和のキッズを恐れさせたソレだ。
ジョン。
「オッケ。お前ら〔ビチ〕の気持ちは良く分かった。じゃ、そろそろ恒例の……」
だから聞きたもくない。むしろ死ね。さね魔人。
繰り返すな。耳が腐る。いや、耳というか、体自体、在るのかどうか知らんが。
兎に角。
真っ白インでの茶番、復活の呪文を入力する時間がやってきたのだ。この野郎。
いや、茶番と言うよりも、むしろ、くまぇりの独壇場か。火をつけるよん、君のハートに、ばっきゅん、か。いや、植松聖の、しゃべんないじゃんレベルでの独壇場だな。いやはや、もはやコンプライアンスなんて風と共に全力で去りぬだ。
というか、犯罪を犯したら自分自身も苦しむぞ。
くまぇりも植松も苦しんでいるからな。無論、被害者の苦しみはソレ以上だが。
だからこそ誰も幸せにならないのが犯罪なのだ。
まあ、顔面が犯罪の俺様に言われたくはないか。
ちんこフェイスと呼ばれていた頃が懐かしいぞ。
遺影ッ!
なんて阿呆な考えを巡らしていると、さね魔人が、小さくホホホと笑い続ける。
「てか、ちんこフェイスを超える超大作、代打ニックはメジャーリーグで一期一会のフォレスト・ガンプさね。カッコウの巣の上のライ麦畑で抱きしめて、だね」
ジョン。
なにを言っているのか、まったくの意味不明だ。
ならば、こう返そう。
ずんたもんは魔理沙と霊夢にレイプされて白き弾丸をレールガンから発射中だ。
つか、本当に大丈夫か、このお話。悪ノリが過ぎて真面目にBANされる可能性が大だ。まあ、BANされようとも俺様がネットを止めればいいだけの話だから世の中に大した影響はない。俺様自身も別にソレほどダメージを受けないしな。
おろろ?
ちょっと待て。まただ。俺はネットは知っているが、やった事などないはずだ。
「ビチ、まあ、そんな事は、どうでもいいさね。それよりも復活の呪文を入力するんだね。ひいてはソレがアンタの為になる。無論、私らの為にもなるさね」
うぬむ。
まあ、いいか。難しい事を考えるのは、どこかのジョン・フォン・ノイマン野郎にでも任せよう。俺はモブキングを目指す男。IQ300超えのTHE・主人公なヤツは、お断りだ。むしろ漫画の端っこでグワッとか言ってるヤツこそが俺だ。
いやいや、グワッでも、それすらも生ぬるいか。
チーンと、ハエがたかって、ぷうぅ~んとかいう音がする異臭を放つ屍こそ俺。
いや、待てよ。ちょっとだけ落ち着くんだ。俺。
返事がない。ただの屍のようだ。と言われる事にさえ嫌悪感すら生まれてきた。
誰にも気づかれない。誰も気にしない。そんな背景の一部と化した屍こそが俺様の立ち位置。もちろん、背景の一部とはいえ、目立つ華であってはならない。それこそ見向きもされない漫画の一コマ。新宿の鳥瞰だ。見て、三秒な、それだな。
まあ、でも青年の主張をさせてもられればだな。
漫画の一コマを、皆が、そんなに、じっくりと見ないと高を括り、描く手を抜くのはどうかと思うぞ。その小さなものの積み重なりが作品となるのだから全体が巧く見えても細部がダメなら、巧いけど、なんか違和感がある、になると思うぞ。
まあ、本当に、どうでもいい、ユーチューブの詐欺広告レベルでの主張だがな。
詐欺広告の王、ヒーローズウオーズだぜ。マジ。
死ねッ!
遺影ッ!
兎に角。
復活の呪文を入力しようと動く。恒例の、だな。
ただ思う。長い呪文を入れたら、とだ。まあ、単なる好奇心なんだが、それでも知りたいんだ。眼前に金の微糖な餡子〔あんこ〕が入った鯛焼きが在ったら食べたくなるだろう。その感覚に近い、痴女を置換して大事に保管する感覚にな。
だからこそ俺は頭の中に思い浮かべる。俺の母校であるコカーラ高校の校歌を。
一番、ここ春日の南〔みんなみ〕に高くそびゆる学び舎は自治と文化を目指しつつ、日ごと栄え、伸びゆく中部商業圏にあり、……ちょっと待て。少しだけ待て。今、情報が一気に流れ込んできて分かったのだが、母校、名前が変ってる。
俺の母校は街立コカーラ商業高等学校だったのだが……、泉ミン高等学校にだ。
ちょっと待て。待てよ。マティーニだ。マジで。
今までの卒業生全員を敵に回したぞ。仮にだ。君の名はと問われたら立花瀧と答えるのではなく勃増勃起〔たちます・たちき〕と応えるほどに宮水三葉だぞ。出汁〔だし〕と聞いて汁を出すと反対から読むくらいに反則スレスレな銀メダルだ。
優勝以外は全て敗者と優勝者の体と入れ替わろうとするくらいの用意周到さだ。
「ビチ。もう良いさね。その脱線劇は。そろそろ飽きてきたね。さっさと復活の呪文を入力して生き返りな。そしたらエンディングまで一直線さね。オッケ?」
「うむっ」
さね魔人が、へきえきしたといった体で、つぶやいてからムキムキ言語が続く。
「思うのだが、その泉ミン高等学校は、イズミ・ミンと読むのか? だとしたら、お笑いだな。イズ・ミンではなくイズミ・ミンなどとは含語ではないのか?」
うむ。含語〔くくみご〕ではない。
むしろ含語という言葉自体が造語じゃないのか?
そんな言葉、夏目漱石ですら使わないぞ。誤字脱字王で造語のデパートなヤツ。
などと思っているとワンピースを着て大きなナルトをかぶったトリコ柄の鬼滅の刃を帯刀したブリーチが頭の中に顕われた。もちろん謎の村雨君という名のマングースだ。いやいや、もはや、なにを言ってるのか自分でも分かっていない。
遺影ッ!
うむむ。
それにして我が母校の名が変わっていたとはな。
まあ、それは良しとしよう。この際な。それよりもだ。校歌の続きを入力するしかあるまい。コホン。流れも清き松川の水上の空、虹かかる。我が、ふる里の道風公。努力つくさん、ああ、泉ミン……、いや、待て待て。ここで泉ミンかッ!
我の時代は、コカーラ商業高等学校だったんだ。
それを泉ミン高等学校だと。違和感しかない。やはり全卒業生を敵に回したな。
「というか、その校歌が三阿僧祇〔あそうぎ〕番まであるってオチさね。成仏する為に必要な時間さね。つまらないネタを延々とやられても欠伸が出るさね」
ぐおっ。
そうなんだ。三阿僧祇番まであるんだ。母校の校歌。つまり10の59乗×3。
入学式で校歌を歌い始めたら、卒業式が終わっても歌い続けるって危険物だぜ?
てかっ!
バ、バレてる。違うもん。一人で出来るもん。ポケモン。パチもん。くまもん。
「もんもんさね。その後は。下らなすぎる。死ね」
だから死んでるの。今の俺。クソうが。どうする? ネタばれしてもうたがな。
「ククク」
ムキムキ言語が乱入してくる。らんま二分の一。
「無量大数という言葉が在る。銀河系に含まれる原子の総数が一無量大数に近いという説があるのだが、余が思うに素粒子の数こそが基礎ではないのかとな」
という事は。つまり?
「無量大数とは現在考えられている規模の命数では計算が合わんのだ。ゆえに無量大数は、やはり読んで字の如くだろう。無量に在る大きな数ではないのかとな」
だから、なんの話だ。
果てなどないアテナ?
アンテナは八木だぞ。
と……、
遺影ッ!
ここまでが復活の呪文だ。物語風にしてみたわ。
うふっ。
無論、さね魔人の発言もムキムキ言語の発言も、全部、全部、俺の脳内で創った復活の呪文でしかない。姿は見えないが、どこかで欠伸をしているアホな二人が呆れているが、まあ、ご愛敬だ。本当は百万文字超えの超大作にしたかったが、
庵野秀明と新海誠が嫉妬して、宮崎駿と手塚治虫が裸足でダッシュするからな。
止めた。
ウオルトを超えるのは俺だ。間違いなくなッ!!
発行部数は毛主席語録を超えて聖書を抜くソレを創ろうと思っただけなんだい。
ふんっ!
まあ、でもギネスには大川総裁が載ってるくらいだから、ねつ造の匂いプンプンだけど。もちろん大川興業の大川総裁だぞ。豊さん。間違っても幸福を科学したら宗教になっちゃった系な危険物の方じゃないぞ。ポアされるからな。俺がだ。
遺影ッ!
「下らなすぎて笑う事も忘れたカナリアさね。ビチの脳は、やっぱり猿の惑星さね。いや、猿の銀河だね。むしろ猿の宇宙か。てか、猿の宇宙って名前っぽいさね」
猿野雨柱〔さるの・うちゅう〕。それとも柱の一人さね。あめばしら、ってね。
などと、さね魔人に言われてしまった後、また俺の体〔?〕が光る。まぶしく。
ふおお。
ようやく終わったぞ。長い永い執筆がな。復活の呪文という超大作の創作がな。
含語〔くくみことば〕という謎の入力ミスを敢えてでやった超大作な呪文がな。
売れるといいな。いいな。人間っていいな、だ。
さあ、さあ、お立ち会い。復活のお時間だ、と。
そして、俺の意識は静かにフェードアウトした。
ジョン。
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