第15話:海賊の女親分は恥ずかしがり屋さんでした
「それにしても、あんたは異世界から来たのだろう? 魔法をここまで使いこなすとはな」
ドライアドが言う。俺だって、こんなに使えるとは思わなかった。
「覚えたてなんだけどな。炎を出すのと、傷を治す魔法だけだ」
「なるほど、後天的に習得して成長したというわけか」
これまで、俺一人ではとても勝てないであろう敵と戦ってきた。ゲームで言えば大量の経験値でパワーレベリングした結果、魔法の効果が強化されたのかも知れない。そういえば筋力もついたし、動きも早くなった気がする。
「加護を授かっているわけではないのだな?」
「授かったのは、さっき見せた脱衣の力だけだ」
加護とは、いわゆるチートスキル的な意味だと俺は解釈した。
「それが加護とは、とんだハズレくじを引かされたもんだねぇ」
「いや、これでなかなか便利なもんだぞ」
裸にして恥をかかせる以外の使い方、例えば亡霊の鎧を剥ぎ取ったり、ゴーレムを中から操作する者をむき出しにしたりといった戦歴を語って聞かせる。
「ものは使いよう、か。それで、あんたらはこのまま魔王のところに行くつもりかい?」
「私たちにはまだ早いと思っています。まずは世界を巡ってみるつもりです」
「そうそう、情報とかアイテム集め、それと経験値稼ぎだな」
俺の「経験値」という言い回しが通じたのかどうかわからないが、ドライアドは納得したようである。
「出会いを求めるなら、人間たちの言うところの新大陸に行ってみるといい。私も木々のざわめきの噂でしか知らないのだが」
「アドバイス、ありがとな!」
これで次の目的地が決まった。港町を目指し、そこから新大陸へ向かう船に乗り込めばいい。
***
「やっぱり、罠だったじゃないですかぁ!」
涙目でイリスが言う。格安で乗り込んだ船は海賊船で、俺たちは身ぐるみを剥がされようとしている。
「こんなにあっさり引っかかるカモがいるとはねぇ。ま、運が良ければサメの餌にならずに島まで泳げるだろうよ」
海賊の親分らしき女性が言う。船員もとい海賊団員を見ても女性が少なくない。これはこの世界では珍しいことのようである。
「冒険者と言えども海の上では烏合の衆。あたいらに勝てるだなんて思わないほうがいいよ」
慣れない船旅で酔いつぶれたアリシアとリンは戦力にならない。俺とイリスだけでなんとかするしかなさそうだ。
「とりあえず、武装解除といきます?」
「だな。男も脱がすのは流儀じゃないが、仕方ない。……
アリシアの屋敷のメイドさん相手に使った対集団戦法、実戦では初だ。海賊たちはその場で身動きが取れなくなり、服が脱げていく。
「さすがに寝覚めが悪くなるから殺しはしませんけど、ちょっぴり痛い目には遭ってもらいますよ?」
イリスの杖から植物のツルのようなものが伸びていく。ドルイドに教わったばかりの魔法だ。それは鞭のようにしなり、海賊たちの裸の肌を容赦なく痛めつけていく。痛みと混乱による奴らの悲鳴が甲板に響く。
「お前ら、だらしねえぞ……って、うわぁ!」
俺は甲板を走り回り、片っ端から
「勝負ありましたね。親分さんが大事なら降伏してください」
柱に縛り付けられ、大事なところを完全にさらけ出された親分。服の上からはわからなかったがなかなかの美巨乳で、陰毛は意外にもきっちり整えられていた。子分の中には情夫でもいるのかも知れない。
「や、やめろぉ!! 見るなぁ!!」
それはさておき、親分は本気で恥ずかしがっていた。最近戦った相手は恥じらいがない連中ばかりだから感覚が麻痺していたのだが、これが普通の反応なのかも知れない。
「ほら、どうなってもいいんですか?」
「くっ……きゃはははは!……んひぃっ!……やめろ、本当にやめろ! てめえら、さっさと武器を捨てやがれ!」
イリスはツルを使って脇の下をくすぐったり、乳首をつついたりしている。もはや親分の尊厳は完全に破壊されたと言ってもいい。しかし、親分の一言でまだ戦う意志のあった海賊どもも武器を捨て、両手を上げて降参した。だが、どさくさに紛れて親分の裸に見とれている奴もいる。もちろん下半身も正直だ。まったく男というものはどうしようもない生き物である。
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