第52話~失った無敵チート~

X(旧Twitter)を始めました

https://twitter.com/SaibiNovelist

最新話公開情報、執筆状況、ちょこっと日常の呟きとかをして行きます

彩美と七海の3Dモデル作成状況も発信して行きますね

ぜひフォロー頂けるとうれしいです!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


タクシーは六本木交差点の近くにある有名なディスコ近くで止まる

この辺りの裏通りにある雑居ビルには看板を出してない高級クラブが多くある

どの店も招待制で一見では入れないので看板を出す必要はないから

タクシーを降り道幅は車が通れないくらい細い裏通りに入る

あるビルの裏口に着くと扉横にある読み取り機にショップカードを近づける

ショップカードはIDチップが内臓されていて有効なカードと判断されると扉の鍵が開く

扉を開き中に入ると普通の裏口と違い豪華なエントランスになっている


カード認証や裏口から想像もつかない豪華なエントランスは全て特別感を出す演出

エントランスには黒服が待っている

「まどか様がお待ちしておりますのでご案内いたします」

カードのIDで私達が誰なのかはわかる仕組みだよ

エントランスの両開きな大きな自動ドアを抜けると照明の押さえられた落ち着いた空間が広がる

百人以上の従業員がいる会社でも入れるオフィースサイズのフロアに豪華なソファーのボックスシートが並ぶ

ボックスシートの間は広く少し大声で話した程度では隣のボックスでは内容がわからない

この無駄な空間すら特別感の演出だよ


この店の客は同伴で来る銀座や六本木の高級クラブのママも多いからキャストと客の区別がわからないね

黒服に案内された場所はミラーガラスに覆われた個室

VIPルームだね

黒服が扉を開けたので中に入る

内側からはミラーガラスで外が見えるので閉塞感がないね

部屋には八人くらいは座れるボックスシートとカラオケ設備とモニターがある

ボックスシートにはまどかと真矢がすでに座り向かいに座った三十代後半くらいの清楚な美人が相手をしていた

女性が席を立ち七海の前に来ると

「七海さん御久し振りです」

「御久し振り今日子さん」

まどかの向かいに私達も座る

今日子がすでに抜栓済みのシャンパンをグラスに注ぎ私達の前に置く

「では失礼します」

部屋を出て行く今日子


「ママと知り合いでしたか」

「私が駆け出しの頃に同じ店にいて色々教えて頂いた方でね」

「まずは招待に応じて頂き感謝」

グラスを軽く掲げてシャンパンを飲む

”さて何から話すのかな”

「彩美に関しては母から話を聞いているので私達の現状からでいいかな」

”うん”

「まずは私と真矢に彩美が設定してくれた無敵チートは無くなった」

”えっ!?”

「母から話を聞くまでは死鬼が強化され苦戦していると思っていたが違うみたいだった」

私が覚醒から意識戻り回復し始めた時期から死鬼に苦戦するようになっていた

ダブネスが回復をすすめ死鬼が強化されて苦戦し始めた考えていたが

ルシファーから聞いた私の回復に合わせて死鬼が強くなっていったので死鬼が強くなってるのでなく自分達が弱くなってるのではないかと直感で感じたと

「それで母と手合わせをしてみたら母と同じレベルまで魔力も剣術も弱体化してた」

それでもメネシスでは十分なチート級だけどね


”まどか達の無敵チートはなんで弱体化をしたんだろう”

「それは彩美が物語の私が書いた部分を上書きしたから」

まどか達の無敵チートは本来は私と一つになった時の力の一部を前借していた

私が物語を紡ぐ時に込めたまどかへの思いが力となっていたんだね

上書きによりまどかとの融合が無くなり前借が私の元に返り本来の力に戻ってしまったと

「母と同等ということはこれが本来の力だったとは納得できたが」


”真矢は?”

「真矢は私の鏡だから常に私の力と常に等しいよ・・・そう設定したのは彩美だろ」

”そうだったね”

まどかと偶然出会い相思相愛になった真矢

普通の人であったが死鬼狩りをするまどかのバックアップサポートをしていた

普段は狩りに参加はしない真矢だったが偶発的な死鬼との邂逅で戦闘に巻き込まれて瀕死の重傷を負う

回復魔法を使えなければ永遠の別れが待つがガイア人に治癒魔法を使えば魔力で魂が燃えて廃人になる

危ない賭けであったがまどかが強制覚醒を行い覚醒した真矢に治癒魔法を施し命を繋いだ

まどかの魔力が引き継がれた真矢はまどかと同じ力を得る

七海も美香も物語を読んで知っているので納得してるね


扉がノックされ開き黒服が追加のシャンパンを持って来てグラスに注いで行く

タバコをバッグから取り出し紫煙とシャンパンを楽しむ

追加でさらっと出て来たシャンパンだけどアルマンド・ブラックなんだよね

クラブで飲めば一本百万円以上だよ

ドンペリの三倍以上はする入手も超困難なシャンパンの王様

数年置きに数千本しか生産されない貴重品を確保してるなんてこの店も凄いけど

私が紫煙を巡らしたので休息モードで全員がタバコを吸い始めたね


紫煙を巡らし終えアルマンドも堪能したので話は続くよ

「母と真矢と一緒に話し合ったが彩美が目指すメネシスの将来像には私達も賛同し協力をしたい」

”助かる”

「今すぐにメネシスに戻っても私達の出来る事もないし私達が共闘することをダブネスに悟られるのも流れが予定外になる要因になる可能性があるので当面は現状維持をする」

”ガイアで死鬼狩りを続けると”

「ダブネスのアクションが起きればすぐメネシスに戻り彩美の力になりたい」

”ありがとう”

「感謝は私達の方だ助かったというか楽になった無敵チートで世界を紡ぐのは責任が重すぎた私達には」

”襷は受け継ぐよ”

「私もだ」

「私もだよ」

嬉しいね本当に・・・まどかの前でなければ涙目だよ


まどかから三枚のカードを手渡される

色は深紅で右下に小さな刻印で「CODE RED」と記されている

このカードの意味は物語を読んでればわかるから七海と美香も何も言わずに受け取る

完全なる免罪符のカード

ガイアに存在する全ての国家権力はカードの持ち主に反する事を出来ない

究極の身分保障を兼ねたジョーカーカード

例えガイア最強国家の大統領でもカードを持つ者に「靴を舐めろ」と言われれば舐めなければならない絶対的な権力

「彩美の生き方なら不要と思うがあって損はないと」


”ありがたく受け取るよ”

まどかが二千年前にガイアに降り立ち権力者に組入り作り上げた権力の集大成

私達は使う事はないと思うけどまどかの誠意として受け取るよ

あっ美香と二人だけで飲み飯に出ても補導されないのは便利かも

ってスケール小さ過ぎでしょ私

カードは落としたりすると洒落にならないので手の平の多重空間に収納したよ

七海も美香も同じように収納って美香!いつの間に多重空間使えるようになったの!?

まったくチート過ぎるって私が言うのもなんだけど


そろそろ会合も頃合いだね

でも私も伝えたいことがある

”肩肘張らずに友達に慣れないかな”

「えっ!?」

”今後は永い付き合いだし毎回さ緊張感ある付き合いは疲れるよ”

「・・・友達がわからない」

そうだったよ

王族として生まれ対等な関係の相手はおらず主従だけの人間関係

ガイアに来てからも死鬼を狩るかダブネスの甘言に従わない有能な権力者を守るために奔走するだけの日々

唯一心を許せる相手は初めて恋をした真矢だけ

中二病的な私の考えでヒーローやヒロインは孤独が恰好良と設定したんだよね

今考えると厳しい人生にしちゃったね


「じゃあ時々一緒にご飯食べにいったり飲みに行ったしよう」

美香は上手だね

「それに何の意味が?」

「そこで最近あったことや楽しかったこととか辛かったことを話して笑ったり泣いたりするんだよ」

「意味がよくわからないけど私にそれを望まれるのであれば」

美香は店名刺裏に携帯の番号を書いてまどかに渡す

「大学の長期休みは私もメネシスに行くけど普段はガイアにいるから連絡まってるね」


頃合いと席を立とうとするとか細いけどクリスタルを溶かしたような声が

「彩美さん・・・まどかと命を私に与えてくれてありがとうございます」

初めて声が聞けたよ真矢

真矢に頷き席を立つ

”シャンパン御馳走様とっても美味しかったよ”

部屋を出ると黒服が待っていてエントランスに向かい案内される

エントランスに出る自動ドアの横に今日子が待っていた

「お時間がある時に是非いらしてくださいね七海さん」

と言い七海にカードを渡す

次は私と美香の前に来て

「御二人の噂は六本木まで届いておりますよ」

”えっ”

「七海さんのお店でなければ引き抜きたいと狙ってる高級店がいっぱいありますから」

”そうなんですか!?”

「御二人も是非お時間ある時にいらしてくださいね」

と私と美香にカードを手渡す

「今日はありがとう今日子さん」

今日子が深々と一礼をし私達は自動ドアを抜け店を出る


ビルの外に出ると

「お腹すいたよ~」

美香の魂の叫びだね

「新宿に戻って何処か行くか」

スマホを取り出し電話をする

電話を終えて

”SUSHI歌舞伎が席空いてたから予約したよ”

「久々に新鮮な海鮮かいいな」

「メネシスは刺身ないんだっけ」

”やっと食べれる店を見つけたけどガイアほどの味は難しいよ”


タクシーを捉まえて歌舞伎町まで移動だね

タクシーの中で美香が

「あの途中で出て来たシャンパンすっごく美味しかった」

「はははは」

七海の鈴を転がしたような心地よい笑い声

”あれアルマンド・ブラックっていうシャンパンで数年置きに数千本しか生産されない貴重なやつなんだよ”

「もしかしてねーさんの笑いは・・・」

「あのお店でいくらかはわからないけど歌舞伎町で置いてる店があったら百万円以上は確実だね」

「うひゃ」


市役所前でタクシーを降りて少し歩いてお店到着

お店に入る前に入り口前の喫煙所で一服だよ

「そういえばお店の会員書もらったけど入会金とかいいのかな」

まだそこまで染まってない美香が可愛いな

「自分で言うのもだけど私達が出入りするとなれば店に箔が付くからな」

「ねーさんや彩美ちゃんはわかるけど私も!?」

皆んな吸い終えてるので

”続きは中でにしよう”

と入店を促したよ


席はいつものカウンター奥側でね

「ダーシャ今晩もよろしくね」

「いらっしゃいませ御飲物はどうしますか」

「いつもので」

「久保田を冷を三でお願いします」

奥にある調理場からフロアー担当者が升に入ったタンブラーを私達の前に置いて一升瓶から日本酒を注ぐ

タンブラーから溢れても注ぎ続け受けに置いてある升に水面張力でこぼれないギリギリまで

続いて醤油皿と箸をセッティングして戻っていく

「「乾杯」」

”高級シャンパンもいいけど落ち着くのはこっちだね”

「流石にあそこまの高級酒になるとリラックスしては飲めないね」


「お刺身からはじめますか」

”うんお願い”

「そうさっきの続きで」

「ああ二人は歌舞伎町のキャバ関係では有名人だからな」

「うそ!」

「セブンシーは大衆店の価格でやってるけど来店する御客様の中には高級クラブとか高級キャバ常連さんも多い」

”たしかに今日のクラブ会員さんもいるしね”

「私の昔縁もあるけどキャストも純女以外でも純女と言って高級キャバでも働けるレベルで厳選してるから」


「盛り合わせになります」

一人ずつ別皿で刺身が出て来たよ

久々の刺身でワクワクだね

刺身を食べながら話は続く

「その中で週末だけとか何ヶ月振りに戻って来たとかでもトップの二人は涎がでるほど欲しい人材」

「そうだったんだ」

「変な聞き方になるかもだけど高級店は給料もいいんでしょ?」

「最低でもうちの数倍とか上位になれば何十倍になるだろうね」

「なんで高級店でなく・・・その・・・給料の安い場所へ」

「その疑問を思うのはよくわかるよ」

”高級店の人間関係に疲れたり”

「そう高級店では成績の悪いキャストは簡単に切られるから一緒に働く仲間でなく全員ライバルだからストレスに耐えれないキャストも多い」

かなり真面目な話をしてるけど箸が止まらずイカが美味しいなあとかな私

”ノルマある店もね”

「売り上げノルマの為に無理やり御客様を呼ぶのに耐えれない子もいたりだね」


刺身を食べ終えたので

「ダーシャ適当にお任せで私と美香は二貫づつでお願いね」

「はい」

”あとお酒もお願い”

「久保田お代わりお願いします」

”ダーシャさん一服行って来るのでスタートは少し待って”

「ではお戻りになりましたら始めさせて頂きます」

外の喫煙所で紫煙を巡らす

「まあ給与よりストレスない環境で働きたい子達もいるってことだね」

「なんかそれわかるな」

”私も給料より今の仲間達って感覚で働ける方がいいよ”

さて戻って寿司だね


今日も素晴らしい寿司で大満足

まあ七海と美香は二週目突入してるので酒を飲んで傍観だよ

本当に二人とも美味しそうに食べるから見てて楽しいね

二貫づつだから二回りで四人前を食べ終え満足な二人だね

食後の緑茶を楽しんだら今日は帰ろうね


エレベーターで美香と別れ部屋に入る

普段ならメイクダウンをすぐにするんだけど

”疲れたあ”

ソファーに倒れ込んでしまったよ

ジャックを注いだグラスを七海が渡してくれる

「お疲れ様」

”流石にまどかと話すのは緊張したよ”

「でも気は楽になったんでしょ」

”うん上書きが完全に成功してたのは安心したよ”


お風呂に入って再びソファーで寝る前の晩酌

”まどかの無敵チートが消えてたのは驚いたよ”

「でも国を継ぐにはいいのかもね」

”そうだね無敵チートは表舞台が似合わない存在だし”

”ヒントはあったんだよね”

「なに?」

”この前狩った死鬼が小娘とは何回か殺りあったと言ってたんだ”

「あっ死鬼程度を仕留め損ねたことがあるって」

”そうそう”

何杯かジャックを飲みながら二人の時間を少し楽しむ


グラスが空いたので七海が受け取りサイドテーブルへ

そして抱き締められる

柔らかくて温かい感触が気持ちよいよ

何か気が抜けたら珍しく酔いがまわる感覚でボーっとしてきちゃった

気疲れと二日目で少し出血も多かったから体も疲れてたのかな

酔いがまわり薄紅色になった顔とトローンとした目を見て

「今日は頑張ったね」

御姫様抱っこでベッドまで運ばれる


唇が重なり舌が絡み合う

あれ?いつもと違っていきなり下着の中に手が入ってきた

下着の中の一番敏感な場所を優しく撫でられる

絡み合う舌から生まれる快感と撫でられる快感が重なり大きく体が痙攣する

口付けをしてなければ大声が出てるよ

あっもう何も考えられ無い

爆発する快感で脳が白く染まる

口付けを終え耳元で

「おつかれ様おやすみなさい」

と囁く七海を感じた瞬間・・・意識が・・・闇に落ちて行く


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


感想を一言でも頂けるとうれしく執筆に熱が入ります

掲載サイトによっては匿名で感想を書けないのでマシュマロを用意しました

https://marshmallow-qa.com/z58ctq3kmuucz61

ログイン、個人情報不要で私にメッセージが届きます

ぜひ感想やご意見等をお気軽に頂けるとうれしいです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る