第45話~サラマンダー~

昨晩は早めに寝たので朝日が出ると同時に目が覚めたよ

七海も一緒に起きたのでテントを出るとジルも起きてケトルでお湯を沸かしていてくれたよ

「「おはよう」」

「メイク落とさないで寝ただろお湯沸かしてあるから顔洗っちゃいな」

水場で鍋に水を半分汲んで来てケトルのお湯を少し入れてぬるま湯を作ったらオイルと石鹸を使って洗顔してメイクダウン

次は七海が鍋のぬるま湯を新しくしてメイクダウンだね

私はその間にテント内でメイクを開始

ファンデは汗で流れちゃうのでアイシャドーとアイラインにリップなのであっと言う間に完了

メイクは七海と交代して私は朝御飯の準備を開始だよ


残しておいた猪の肩ロースを包丁二本使って叩いてミンチにするよ

包丁も刃物なので無敵チート適用範囲なのかあっと言う間に三キロ位の肉がミンチになったよ

大き目の鍋に入れて練り込む味付けはシンプルに塩と胡椒だけど臭み消しで胡椒は多めね

本当はナツメグが欲しかったけど見つけられなかったので今回は胡椒で無理やり誤魔化すよ

五百グラム位のを六個と二百グラム位のを一個に別けて丸めて平らにして両手の間でパンパンして空気を抜いて真ん中を少し潰したら準備完了ポーチから大き目の鉄板を焚火の調理五徳に準備して少し取って置いた脂身で脂を引いたら丸くしたミンチの塊を並べて焼くね

パン屋で買っておいたバンズも横半分にして切った面を鉄板側にして軽く焼くよ

もうここまでくればだけどミンチ肉の塊はパティ―だよ

パティ―を裏返して火が通ればほとんど完成だね


七海もコーヒーを淹れ終わったのでタイミングはバッチりだね

ケンプファー達がやって来たよ

「なんかいい匂いがするよお!」

メイレーンが鉄板に抱き着きそうな勢いでやってきたよ

”もう少し出来上がるから七海の淹れたコーヒー飲んで待っててね”

パティ―から出て来る肉汁が赤色から少しずつ透明になって来たね

ジビエ肉はしっかり火を通さないと危ないので出て来る肉汁が完全に透明になるまでもう少し焼くよ


焼きあがったパティ―をバンズに挟んで完成

ソースも野菜もなくて肉とパンだけで味付けは塩胡椒とシンプルな猪肉バーガーだよ

全員の手元にバーガーが行き届いたので

「「いただきまーす」」

私のは一つだけ小さく作ったパティ―ね

うん!これはシンプルだけど美味しいね

本当に肉の味とパンだけを大自然で食べるのが楽しいよ


「野宿でこんな美味い朝飯なんて俺初めてだよ!」

「ってぇケンプファー!・・・いや負けました彩美さんの料理には」

セレンが落ち込んじゃったぁああ

「セレン落ち込まないで主婦歴三十年以上の私でも敵わないから彩美さんの料理にはね」

メイレーンがフォローしてくれて助かったよ

「彩美の料理は最高でしょ!私自慢の旦那様だからね!」

七海が天然に事態をややこしくしそうな

「やっぱし御二人は御夫婦だったんですね!」

なんかメイレーンが喰いついてきたよ

「よしセレン!賭けは私の勝ちだな」

「くぅ~双子説は外れたか」

何の賭けをしてるんですか二人は


ジルが表向きの駆け落ち設定を話してくれたよ

「なんかロマンスですね」

ミナイもそうだったけどセレンの目がキラキラだよ女子は駆け落ち話とか大好きなんだね

「私も恋愛をしてみたいけどチャンスが無いのは幼少期からゴツ過ぎるから無理かな」

サイが初めて聞く少し悲しそうな声で呟く

「大丈夫!色々あって逃げられちゃったけど同じようにゴツくても私を愛して嫁にして子も授けてくれた男に巡り合えたからさ!」

ジルのフォローに少しだけサイの表情が和らいだよ


朝ごはんも終えて野営の撤収も完了でワイバーン討伐に出発だよ

十リーグを一時間半くらいで歩いて西の大渓谷に到着だよ

地が避けたような割れ目の遥か底に大河が流れてるね

裂け目に沿って河上に向かうと草原に切り立った崖から崖が崩れ渓谷底に続く岩場地帯になった辺りで聞こえて来たよ

「グギャー」

「ガー」

ワイバーンの鳴き声だね

謎なのは餌となる獣も少ないコノ場所にワイバーンが集まってること

もう少し上流の渓谷に流れ込む大滝がある先の草原地帯に流れる大河であれば草原に住む草食獣の水場になってるからわかるんだけど


もう一つ謎は鳴き声の聞こえる岩場の下方向を見てもワイバーンの姿が見えないことだね

ワイバーンは体高三メートルくらいだから大きな岩の影に隠れることは出来るけど飛行能力が高いワイバーンが岩の影に長時間隠れてるのは理由がわからないよ

あっワイバーンは正確にはドラゴンでなく前肢が翼になってる翼竜で恐竜に分類する方が正確かも「注:所説あります」の注訳追加でいいかな

ケンプファー達は大荷物を一ヶ所に纏めて置き剣を抜いた臨戦態勢で岩場を降り始めたよ

ここからは私達は手出しとかアドバイスは出来ないよ


ワイバーンが見えてる状態であればココから様子見でいいけど現状では万が一があるので戦闘に巻き込まれない距離を取り岩場を降りて行くね

「ワイバーンの姿が見えないね」

”もしかしたら少し難易度上がってるかも”

「なんで」

”岩場に隠れ産卵して卵温めてるかも”

「うわあ超敏感攻撃モード!」

「だとしても相手がワイバーンの間は手出し出来ないからね」

”承知してるよ”


ケンプファー達が鳴き声が聞こえる岩影に近づくと身構えるの見えるね

「グギャー!」

怒りにまくったワイバーンの叫び声が聞こえ岩影から二匹のワイバーンが飛び出してきたよ

呼応するように他の岩陰からも叫び声を上げながら合計四匹出てきたので六匹が相手だね

谷間を縫うようにケンプファー達の上を低空で飛び攻撃を始めたよ

嘴を開けると直径三十センチ位の火球をケンプファー達に向かい吹き出したね

火球を吹く生物は自然界に存在はしないので恐竜に近くてもワイバーンの分類はモンスターだね


サイが前方に飛び出し盾で火球を受け止め後方の仲間を守ってるね

メイレーンが腕を伸ばし手の平を一匹のワイバーンに向ける

直径一メートル位の炎の塊が現れワイバーンに向かって飛んでいく

炎の塊はワイバーンに命中すると弾け炎の嵐となりワイバーンを包み込む

かなり強力な火嵐だね

翼の被膜が焼かれ飛行出来なくなったワイバーンが地上に落ちる

セレンがケンプファーに手を当てると一瞬ケンプファーが蒼く光る

耐火のバフを施したね

ケンプファーは落ちたワイバーンに駆け付け最後の抵抗で翼先端の鉤で斬り掛けて来るのをすり抜け一撃で首を撥ねる

サイは四方から飛んで来る火球を体格の大きさから想像できない俊敏さで移動をして盾で防いでる

次の一匹も同じ手順で首を撥ねる

本当に息が合って効率的な戦法を取ってるね


残り一匹になり出番なしで終わりかなって思った時だよ

「グワー!」

って渓谷全体に響く低い迫力満点の鳴き声

”やっぱし居たか!”

「ジル!四人をワイバーンの死体から遠のけて岩陰に!」

「おう!」

ジルが猛ダッシュで四人に駆け寄り岩場の影に押し込む

最後のワイバーンは鳴き声を聞いた瞬間に動揺して隠れる岩陰を探してる

上空から高速でワイバーン目掛けて何か飛んでくる

”うわ火龍だあ!”

実物の火龍そうサラマンダーを見て大興奮の私だよ

全長二十メートル位でワイバーンと違い前肢があり背中から翼がはえてるよ

色は真赤で全身に薄く炎を纏ってるね


サラマンダーは隠れきれて居ないワイバンに一直線で飛び咥えるとバリバリ食べ始めたよ

”そうか!毎年産卵でこの辺りにワイバーンは来てたんだね”

「それを知っているサラマンダーは餌探しでこの辺りをウロウロしていたのか」

”まあサラマンダーにしてみれば人間なんてピーナッツ程度で腹の足しにならないからね”

だからといって機嫌が悪ければ憂さ晴らしに人を襲うこともあるので放置は出来ないよ

”死体は高額で売れるから物理戦でいくね”

「ほーい」

私達だけなら適当に戦ってもいいけど時間をかけるとジルたちが危険なので少し本気で行くよ


強力な全身強化を施すと背中に翼が出て来る

七海も金に光る見惚れる翼が出たね

全身に魔力が強烈に回ったので勝手に翼が出ちゃったんだけどね

物理的な揚力は無い幻の翼だけど気分的に大きく広げサラマンダーへ七海と同時に向かい崖を飛び降りる

空中で金乃剣を抜き私は首の右側を七海は左側を通り過ぎる時に深々と斬り付ける

剣の鍔元ギリギリまでの深さで切り裂いたから厚い鱗と筋肉に守られている頸動脈まで届いたね


首の左右から噴水の様に血を噴き出したサラマンダー

普通の動物なら左右頸動脈を断ち切られれば瞬時に脳への血流が無くなり卒倒するんだけど流石はリヴァイアサン級以上の精霊級ドラゴンだよ

断末魔の咆哮を上げながらも立ち続けてる

人並程度の知能を持つ精霊級ドラゴンだから左右の頸動脈を切られ確実な死が訪れることは理解してるだろう

死までの短い時間に一矢報いようと食事の邪魔をしなければ無視していた正面岩陰に隠れてるジル達へブレスを吐こうとする

サラマンダーのブレスであれば隠れている岩は溶け溶岩と化しジル達も一瞬で消し炭になる

七海と私はサラマンダーの口元に炎が見えた瞬間にサラマンダー正面に飛びジル達が隠れている岩とサラマンダーの間に陣取る

「「魔防壁」」

私達とサラマンダーの間に半透明の黒と金色の壁が出現する

サラマンダーがブレスを吐き出す

凄まじい炎だが魔防壁に防がれ私達には届かない

十秒くらい続いた凄まじい炎だったけど徐々に弱くなって行き炎が途絶えた瞬間にサラマンダーは倒れ動かなくなり全身に纏っていた炎も消えて行く

終わったね

岩陰からジル達が出て来たよ

「マジかあサラマンダーですら一撃とか」

ジルが呆れてるね

四人組はブレスで終わったと感じた精神ダメージからまだ抜け切れてないのか青い顔をしてるよ

「精霊級ドラゴンを一撃とか自分の目で見ても信じられない」

ケンプファーが信じられない物を見る眼で七海と私を見てるよ

ああ顔が青いのは私達への底知れぬ恐怖を感じてしまったのか

「魔防壁でサラマンダーの炎を防いだなんて聞いた事ないよ」

セレンが呟く


ジルがリュクから広げると大人が入れるくらい大きな袋を取り出す

袋にサラマンダーの頭を入れるとサラマンダーが吸い込まれていくよ

「ギルドからリヴァイアサン級でも入る空間拡張術が施された袋を借りて来ておいたよ」

サラマンダーが収納された袋は本当に人が一人入った位のサイズでパンパンになったよ

サイもギルドから借りて来た米袋サイズの袋に倒した五匹のワイバーンを収納して依頼は完了だね


サラマンダーが食事中だったスプラッタになってるワイバーンだったけどモモ肉が残っていたので確保して残りは鬼火で消したよ

メイレーンとセレンが岩陰を周ってワイバーンの卵を集めてきたよ

ワイバーンの卵はダチョウの卵サイズだね

合計で十八個もあったんだね

卵を日にかざして中の状態を見ると半分は産み立てみたいだけど半分は雛の影が見えるね

「彩美さん卵は帰り道での料理に使ってください」

とセレンが卵を渡してくれる

”持って帰って売らないの?”

「四人で話したんですが少しのお小遣いより彩美さんの卵料理が食べたいって話になりまして」

”じゃあ腕によりをかけて料理するね”


サラマンダーの入った袋はジルが担いでくれたよ

「空間拡張で重さは数千分の一になってはいるけど二人には重すぎるからね」

試しにサラマンダーの袋を持ち上げようとしたら強化を使わない状態では持ち上げる事すら出来ませんでした

ワイバーンの袋はサイが担いでるね

崖の上に戻りケンプファー達は荷物を回収して移動開始

来た道を戻り野営地まで半分くらいの所にある森の小川横で昼ご飯を調理するよ


ジルが焚火の用意をしてくれている間に下準備と言っても昼は簡単調理だけどね

ワインを数本とグラスを七海に手渡し御飯が出来るまで皆んなには飲んで待っててもらうよ

焚火が起きたので大鍋に水を張りかなり多めの塩を入れて沸かすよ

沸騰したら雛の影が見えた卵を入れちゃいます

あとは煮上がるのを待つだけ

ちょっと催したので皆んなから見えない森の中に入り済ましたよ

この気配はで振り向くとグラスを持った七海だね

”見られた恥ずい”

「って今更でしょ」

まあそうなんだけどベッドでアソコを見られるのとはちょっと違う恥ずかしさがあるんだって


パンツを上げて立ち上がると七海が口付けをしてきたよ

そして赤ワインが流し込まれゴクンすると今度は舌が入って来る

逝かない程度に軽く私の舌を弄んだら離れる唇

「ごめん我慢出来なくなって」

”私もだったから・・・うれしよ”

焚火に戻ると卵がそろそろ茹で上がりかな

おたまと菜箸を使って鍋から取り出し手で持てる温度まで冷めてきたので

”はーい!昼ご飯だよ”

皆んなが集まって来たので卵とスプーンを渡して行くね

塩を皿に多めに出して輪の中心に置いておくよ


セレンがスプーンで殻をコンコンしながら

「ゆで卵?」

”ちょっと違うね食べ方教えるけど絶対美味しいから見た目でビビらないでね”

七海は何かわかってる顔だね

”まずは卵の頭部分をスプーンで叩いてヒビをいれて少しだけ殻を剥がして穴を開けるよ”

穴の中を見て少し引き気味だね

”最初は穴から中のスープを楽しむよ”

うん!濃いめの塩水で茹でたからいい塩梅で塩味がはいってるね

七海以外は中の物にビビりつつスープを飲んでるね

「え!?鶏のスープで美味しい」

かなりビビってたメイレーンだけど一口飲むと満面の笑みになって残りを飲み干したよ

”次は半分くらい殻を剥くと孵化前の柔らかいワイバーンの子供がいるから好きにかぶりつく!骨は堅そうだから注意してね”

七海以外は見た目のグロさに耐える為に目をつむったりしてかぶりついたよ

「柔らかくてうまいぞコレ!」

突然ケンプファーが叫ぶ

”味が薄かったら塩を少し振って食べてね”

私も一口食べると本家と違って皮が少し硬くて口触りが悪いのと骨まで丸かじりは無理だけど肉は柔らかくて少し卵の味も残っていて美味しいね

皆んなを見ると最初は見た目のグロさにドン引きだったけど味の良さがわかったら無言で一心不乱に食べてるよ

半分ぐらいでお腹いっぱいになちゃったので七海に渡すね


”あと三個あるから御代わり食べたい人はどうぞ”

七海は私の半分があるので譲ってジルとケンプファーにサイが御代わりだね

”本当は水鳥の卵で作ると骨も軟骨状態で美味しく食べれるボビロンって料理だよ”

「まさか孵化寸前の卵をこんな方法で食べれるとは思わなかったよ」

ジルはかなり気に入ったみたいだね

「まさかボビロンを思いつくとはね」

”卵の状態を確認したら丁度良い状態でタイミングがよかったね”

ワインを飲みながら皆んなの食事が終わるのを待つよ


食べ終えたメイレーンが横に来たよ

「彩美さんてもしかして闇黒穴を使えます」

”なんでそう思うの?”

「翼とか角を出すのってとんでもない魔力が必要だから闇の国の王族の方以外で翼とか出すのを見た事がなかったので」

”使えるよ危険過ぎて滅多に使わないけどね”

「実質ダイヤ級なんですねサラマンダーも一撃なのが納得できました」

”皆んなには内緒だよ”

「はい・・・でもどうして私には?」

”メイレーンには火属性魔法師として凄い可能性を感じてるからね”

火嵐って白金級冒険者の火属性魔法師でも使える人少ない高等魔法なんだよね

もし火葬が私の見立て通りに使えるようになればそれこそダイヤ級の可能性も見えるからね


全員食べ終え焚火を崩して野営地に向けて出発

野営地には午後半ばには戻れるけど乗り合い馬車が来るのは明日の昼前なんで一泊するんだよ

十五時頃に野営地へ戻って来たよ

テントを張って焚火を起こすと皆んな思い思いに過ごしてるね

ケンプファーとサイは模擬戦して剣技の練習中だね

メイレーンとセレンは背中合わせで座って昼寝してるよ

七海とジルは焚火の横で昼飲みだね


さて私は夕飯の準備をするよ

ワイバーンのモモ肉を鍋の中で塩で揉んで少し漬け込んでおくね

仕込みが出来たので七海達の元に行き私も昼呑みに参加だよ

”トマトって通じるかなジル”

「赤くて汁が多い果物みたいな野菜であってるかな」

”それって野生では見つけるの難しいかな”

「栽培物に比べると実は小さくて甘く無いけど探してみるよ」

”ありがとう”

「じゃあソロソロ夜の食材を探しに行って来るね」

「じゃあ私も一緒に手伝うよ」

二人は森の中に入っていったよ


私は鍋で塩漬けにした肉を水で洗って表面に塩胡椒をするよ

適当な石を土台に網を地面から二十センチ位の高さに設置して肉を置いて鍋を被せる

ジルが到着と同時に集めて来てくれた薪の中から香りの良さそうなのを探すよ

桜に近い香りのを見つけたので鉈で細く渡って割りばし位の太さにね

ここも刃物なんで無敵チートなのか自分でも信じられない手際で一抱え準備したよ

さっき設置した網の下に細くした薪を十センチ位に折りながら高さ五センチ位に積み上げて着火だね

細かくした薪は大量の煙を出しながら燃えてるよ

すぐに薪が減って行くのでワインを飲みながら定期的に薪を追加してると肉汁が網から垂れてきたね

鍋を取って状態を確認するよ

煙と鍋内に籠った熱で表面は焼けた色になってきたね

普通ならこのままでいいんだけど火との距離が近いから肉を裏返して均等に焼ける様にするよ

再び鍋を被せて薪を時々追加して完成待ちだね


「運よく見付けられたよ!」

ジルと七海が戻って来たよ

プチトマトより少し大きいサイズで真っ赤に熟れてるね

野生種は塾れていないと毒がある場合があるけどここまで真っ赤で触ってみると柔らかいので大丈夫だね

一つ食べて見ると甘さは薄いけど十分トマトだね

”ありがとう!これでかなりイメージに近い夕食が作れるよ”

他にも細長い人参みたいのとかセロリに似た葉物

やったあ!セロリは玉葱の代用になるから助かるよ

あと香草類が色々だね

”これは凄い!かなり本格的なのが作れる!!”

「それは楽しみだ!」

ジルが興奮してくれたよ


トマトは全部湯剥きして鍋の中へ

セロリは半分残して半分を摩り下ろしてトマト鍋の中へ

ローリエに近い香りの香草を探して少し入れるよ

焦げない様に少しだけ水を入れたら

火に掛けてヘラでトマトを潰してペースト状にして摩り下ろしたセロリとよく混ぜるよ

常備調味料のワインビネガーを少し入れて塩胡椒と砂糖で味を整えたら味見

少しセロリの癖はあるけど煮詰めれば大丈夫だね

「ケチャップまで作っちゃうのか!」

感心する七海に焦げない様に掻き回すのをお願いして他の準備に移るよ


ワイバーンのモモ肉もいい感じで燻製されて火も通ったので簡易鶏モモベーコンが完成だよ

ベーコンと人参にセロリをさいの目切りにしてフライパンで塩胡椒の下味で炒めるね

大鍋にお湯を沸かして沸騰したら大量の長粒米を入れて十分待つよ

スプーンで茹でてる米を少し取って食べて見るよ

芯がなくなってるので火から降ろして蓋を使って湯を切るね

本当はフライパンなんだけどこれだけの量だと何回も炒めるの面倒なので鍋で作っちゃおうね


グレープシードオイルを米に馴染ませたら火にかけて炒めて置いた具材を入れてよく混ぜるよ

具材と米が馴染んだらケチャップもいい具合に煮詰まったので少しずつ入れて掻き回して米が真っ赤に染まるまでケチャップを足していく

味見をしてみるとバッチりだよチキンライスの完成

一番大きい皿を人数分準備して大き目のボウルを七海に渡してご飯の型抜きをお願いするよ

”あっ私のはこの小さいボウルでお願いね”

フライパンではサイズ不足なので鉄板を焚火にセットするよ

一番大きいボウルを取り出してワイバーンの卵を割って中身を入れるよ

見た目は黄身も黄色で巨大な普通の卵だね

よくかき混ぜて本当は牛乳を足したいけど無い物ねだりなんで


鉄板に丸く溶き卵を流して鉄板ギリギリサイズの直径四十センチくらいで少し厚めの薄焼き卵を焼くよ

裏返さずに半面は半熟で型抜きされたチキンライスの上に被せてケチャップを乗せれば昔ながらの洋食屋さんのオムライス完成!

このサイズで今風の割るスタイルなフワフワのオムレツ作るのは無理なので昔ながらね

人数分を卵焼きを作ったらワイバーンの卵を三個使ったね

”夕ご飯出来たよ~!”

ケンプファー達がすぐに来て

「何これ!?見た事無い料理だよ」

セレンが興味深々だね


「この赤いの何?メチャ美味いんだけど」

ケンプファーの話で気が付いたけどケチャップは無かったのかメネシスに

あれ?でもオーロラソースあるからケチャップあるはずだよね

「これケチャップだよケンプファー」

とメイレーンが突っ込むよ

「えっ知ってるケチャップと何か違ってる感じが」

”野生種のトマト使ったから風味が王都で食べるケチャップと少し違うかもね”


私は普通サイズだけど他はチキンライスの量は五倍はあるんだよ

私が食べ終わった時には他の皆んなも食べ終わりそうだよ

「「おかわり!」」

”はーい”

卵焼きは一枚一分くらいで焼けるので七海にチキンライスの型抜きをお願いして焼くよ

七海が型抜きを終えると丁度焼き上がるいい感じの連携だね

ケチャップを乗っけて完成!

”はい!御代わりだよ”

またも凄い勢いで食べ始めたよ

って七海もぉおおお

私は空になったチキンライスを作った鍋とか鉄板を洗いに水場に行くよ


洗い物を終えて戻ると皆んな食べ終えてまったりモードだね

食器を回収して洗い物に行こうとすると

「あっ私達がしてきま~す」

とメイレーンがセレンを連れて洗い物に行ってくれたよ

残りの皆んなはお腹いっぱいで眠そうになってるね

という私も今日は少し疲れたよ


メイレーンとセレンが戻って来たけど今日は皆んなお疲れなので解散だね

七海と私はメイクダウンをしてテントに戻り少しだけ昨晩飲みかけだった白酒の瓶を周し飲みしてくつろぐよ

女の子ペッタン座りしてる私の胸に横座りで七海は頭を預けてくつろいでるね

言葉は要らないよ

ボトルに半分くらい残っていた白酒が無くなり眠気もいい感じだね

七海が頭を上げ唇を重ねてくる

しばらく唇の感触を楽しむと唇を割って七海の舌が入って来る

昼の時と違い容赦なく私に快感を与えにくる七海

声が出ちゃったけど重なる唇で外には聞こえない

あっ脳が弾ける

脳が白く染まり快感で体が痙攣する白く染まった意識が闇に染まり落ちて行く

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