第27話~運命の日~

※著者注:本話より無事に彩美を含め主要登場人物が全員十八歳を超えましたのでR15範囲で性的表現が少し具体的になる場合もあります(アルファポリスR15規約に従い表現を制限しておりました)※


今晩で四回目の七海との異世界間での念通

今回が最後になるはず・・・次は無いよ・・・逢えるはずだからね・・・そしてずーっと一緒だからね

テラスのサイドテーブルにワインとグラスを用意してワインを飲みながら時間を待つ

サイドテーブルには前はなかったウッドチェアが置かれたよ

もう車椅子は必要ないからね


テーブルに置いた時計を見るとニ十三時五十分

そろそろ左手薬指の指輪に魔力を込める

少し待ち時計の針が五十分と五十五分の間位に来ると指輪のアクアマリンが蒼く光り出す

”七海!”

「ほーい彩美まってたよ」

ああ落ち着くよ七海の声

駄目だ色々ありすぎて言葉が紡げないよ

「どうした?」

”色々話そうと思ってたのに七海の声を聞いたら・・・”

「はははは乙女モードになってしまったか」

鈴を転がしたような笑い声が気持ち良くて心が落ち着いていくよ

”歩けるようになったよ!”

「では予定通りに」

”うん・・・今の回復と準備を考えると月末までには帰れるよ”


「日程は決めれないか」

”その予定日とアレの日が被りそうなんで終わったらすぐにでで考えてるよ”

「別にアレの最中でも問題ないのでは」

”逢ったら我慢なんて絶対に出来ないから・・・ベッドがスプラッタになっちゃうから”

「スプラッターでも私はかまわないけど彩美としてはキツイよね気にしないで今更数日は誤差の範囲だしね」

”本当は一日でも早くでもだけど”


「こちらの受け入れ準備は出来ているから安心して帰っておいで」

”うん!そうだアレで思い出した凄いお知らせ!”

「なんだい?」

”メネシスでは七海と子供作れる!”

「えっ!?」

ナタリーから教えてもらったことを伝える

「流石の異世界だな」

”私が出産とか想像も出来なかったことだけど”

「性の役割逆転夫婦になったね」

”子供は全ての因縁を終わらしてからになるけどね”

「永遠の刻だ急ぐ必要もないから」

”そうだね”


”帰ったら二週間ぐらいでメネシスに戻る事になると思う”

「うん準備と仕込みはしてあるから安心して」

”そこからは数ヶ月に一度二週間くらい戻るペースかな”

「将来的には完全移住をだな」

”そうだね歳をとらなくなってるのでガイアだと同じ場所に長くは難しくなるからね”


あっ時間が十二時五分を超えてる

もうすぐ逢えるけど・・・もっと声を聞きいていたいよ

”はやく逢って抱きしめたいよ”

「私もだよ」

嫌だ嫌だノイズが混じり始めて会話の終わりが近い事を知らせる

”愛してる・・・次は逢って伝える!”

「うん私も愛してる再会をたのしみ・・・に・・・」

アクアマリンの蒼い光が消え終りの刻を伝える


立て続けにワインを三杯煽り気持ちを落ち着ける

もっと話したかった・・・けど・・・あと半月と少し

今日までの日々を考えればわずかな時間

魔力の回復はここ半月で急激に回復してるので感覚的に完全回復まで残り半月

理由は分からないけど本能で感じる事が出来るんだよ

今すぐにでも帰る事も出来るけど転移した瞬間にダブネスの奇襲を受ける可能性も否めないから完全回復は必須なんだよ

背後に気配を感じる晩酌にルシファーがやって来たね


バレンタインから一月

無事に卒業式を済まして明日は待ちに待った誕生日だよ

卒業式の日は七海からお店を休んでいいから友達と最後まで楽しんで来るようにって

お店は毎日あるけど高校の卒業式は人生に一回で違う道にすすみ再会がいつになるか分からない友達もいるのだからってね


卒業式自体は特に感動とかなくてコレで卒業か程度だった

ただ卒業証書を受け取った瞬間は七海に美香そして梶原への感謝の気持ちでいっぱいになったよ

卒業式は午前中で終わり

花園高校の面白いのは卒業式の後に学食が営業するってね

徳さんが言うには「学食に思い出のある生徒も多いので十数年前に冗談で営業してみたら満員御礼でそれから卒業式の後も営業することにしたのじゃ」とか茶目っ気が凄すぎるよ

いつもの学食メンバーと女子会メンバーが集まり学食ランチ

梶原達は柔道部の送る会があるので一緒出来なかったけど

メニューは全員「卒業式スペシャル」だよ

まあスペシャルと言ってもその年の定食で人気だったTOPスリーのおかずがセットになった大盛定食だけどね

ちなみに今年は毎年王者のトンカツと餃子に今年の新参参加は定番ハンバーグを抑えて今年から参戦の甘酢肉団子だったね


食事の後は今日だけ特別の学食カフェタイムでデザートタイム

ドリンクを購入すると特設ミニケーキコーナーが食べ放題なんだよね

美香は・・・あの大量の定食を食べた後なのに山盛りケーキだよ・・・まあもう・・・納得な最近です

私は三個でお腹が破裂しそう


その後はカラオケに行ってフリータイムの終わりまで皆んなで歌いまくり

まあ私はアニソンしか歌えなかったけど美香や女子会メンバーが盛り上げてくれて助かったよ

そして〆は焼肉食べ放題の店へ

焼肉でお酒を我慢は精神的に厳しかったけど・・・この中の何人かは進学や就職で地元を離れたりで今みたいに気軽に会えなくなるんだよね

なんて考えたら焼肉の味より・・・なんか・・・涙の味だった気もするけど・・・


卒業式の翌日は梶原達柔道部一同とカラオケいつもの放課後カラオケと違うのは美香も一緒だね

美香もアニソン縛りをしてくれたので面白かったよ

カラオケからタカちゃんの店に行って十九時になったらお店に来てねと一旦別れる

七海にからお酒を飲まなければ十八歳以上であればお店に来ても補導とかの対象でないと教えてもらったからね

時間は十八時で美香とお店に行き急いで着替えてメイクを直して琴音に髪をセットしてもらう

開店と同時に入って来た梶原達はカチコチで可愛かったね

梶原達に変な噂が立つとで二時間だけって約束で自爆を七海にオッケーをもらってるしね

梶原達はソフトドリンクで美香と私はお酒だったけど高校生活の想いで・・・夏の件・・・をいっぱい話したね

帰り際に「道場でいつでもまってるから!」は嬉しかったね


そして今日は七海と私の生誕祭!

えっなんで前日なの・・・明日は日曜日で休店日なんです

生誕祭は七海と私の常連さんもいっぱい来てくれて休む暇なし

徳さんはもちろんだけど信さんも来てくれたよ本当にうれしくて最高の生誕祭だったよ

今日は徳さんも信さんも気を使ってアフターは無し

美香も「今日くらいはタクシーで帰れる十分な御給金頂いてるしね」って気を使うし


部屋に帰ると一時半なので誕生日を二人とも迎えてる

「お誕生日おめでとう!」

って七海が飛びついてくる

”七海もおめでとう”

「う~んこの歳になるとおめでとうでいいのか」

”七海がこの世に生を受けた日だよぉめでたく無いわけが無いじゃない”


お風呂が沸くのを待ちながら洗面室で七海とメイクダウン

いつもと変わらない光景

二人ともスッピンになって鏡を見ると本当に似てる

夏の出会いから半年で私の顔も残っていた幼さが抜けてかなり大人びてきたよ

成長もあるんだろうけど色々な経験が表情に大人感がでたのもあるかもね

七海も二人が映る鏡を見てるよ

「直視で見てると彩美と見分け出来るけど鏡で見るとどっちが私なのか迷うよ」

”私もおなじだよ本当に不思議だね”

最初に出会った時に少し似てるかなだったけど気が付くと本当に不思議だよ


なんてしてたらお風呂が沸いたのでバスタイム

・・・普通に入りましたよ・・・変な期待はしないでくださいね

お風呂を上がったら髪を乾かして肌の手入れしてリビングへ


今日は外食でなく家でゆっくり二人で食べたいねと七海となり出勤前に準備はしといたんだ

IHコンロを出して土鍋を置いて作っておいた出汁を張るよ

出汁は昆布と鰹をベースに醤油とかで味を整えタレなしで食べれるシャブシャブ用なんだ

しゃぶしゃぶ用に少し厚めに切られた金目鯛の刺身と下準備しておいた野菜と薬味をテーブルに出して準備完了


”取り皿に上げて薬味はお好みで上に乗せてね”

「ポン酢とかでなくスープの味で食べるんだね」

”うん金目鯛の脂の味を楽しむにはポン酢とかだと味が濃すぎるから”

「相変わらず芸が細かい」

”野菜もすぐに火が通るように千切りにしてあるか箸でもったままシャブシャブで大丈夫だよ”

〆は雑炊予定だけど絶対に来るよ

「これだと〆は雑炊と思うけど〆と別にご飯もらってもいいかな」

”ほーい”

小丼ぶりに山盛りご飯だよ


金目鯛だとやっぱし日本酒だよね

久保田の一升瓶とロックグラスを持ってテーブルへ

グラスに注いで

「「乾杯」」

金目鯛をシャブシャブして表面が全体的に白くなったら食べ頃だね

「う~ん金目と出汁がよくあうねえ」

”温まって脂の味が際立つよねえ”

大根とか人参の千切りを箸で一束取ってシャブシャブ

「野菜はシャキシャキ感あっていいね」


四人前準備したけどあっという間に完食

七海は大盛ご飯をお替りまでね

出汁が多いので少し減らして水洗いしたご飯を入れるよ

一煮立ちしたら塩と醤油で味を整えて刻んだ万能ネギをちらして完成

卵をいれないのは出汁に溶けだした金目鯛の脂は淡い味なので卵に負けちゃうからなんだ

私は茶碗で七海は丼ぶりでね

七海はお替わり連続で無事に二合くらいのご飯も完食

「これは繊細な味で楽しいよ家で食べれるとはすごいね」


食後は洗い物をしたら冷蔵庫からケーキを準備

ケーキはお店のキッチンスタッフが作ってくれたんだあ

縦横十センチ位のたっぷりフルーツケーキだよ

太蝋燭一本と細い蝋燭八本を七海が立ててくれたよ

火を着けて二人で吹き消す

”お誕生日おめでとう”

「成人おめでとう」

この成人は大きな意味を持つんだ

やっと婚姻届けを出せるからね


ケーキをカットして二人で食べるよ

交互に「あーん」とか二人しかいないから惚気モード全開で楽しんだよ

食後はジャックのグラスを持ってテラスに出て一服

まだ少し肌寒いけど鍋でホカホカの体には気持ちいいね


部屋に戻るとソファーで晩酌

”七海・・・本当にありがとう”

「お礼は私の方だよ彩美に逢えて本当に幸せだよ」

七海が私の肩にもたれかかり見上げる様に目を潤ませているよ

本当に可愛くて愛おしくて私の大切な大切な・・・

どちらからともなく唇を重ねる

もう愛する人を求める本能が止まらないよ

お互いをひたすら貪り続ける・・・

どれくらいの時間が経過しただろう

自然と唇を離し

私の胸に頭を押し付ける七海

優しく抱きしめその温もりを楽しむ

七海が少し火照った顔で見上げてくる

そっと肩を抱き寝室へ


気持良い微睡が少し残った目覚め

腕の中には一糸纏わない七海がいる

静かに寝息をたてる美しい寝顔をみていると時が立つのを忘れるよ

「ううん」

七海の目が薄く開いたよ

”おはよう”

「おはよう」

軽く唇を重ねベッドを出る


先に七海がシャワーを浴びてリビングに戻って来る

ブラとパンツで首にバスタオルを掛けた姿にドキッとしちゃったよ

一糸纏わぬ姿と違った色気が凄い欲望を抑える理性が悲鳴を上げてるよ

「どうしたの顔が真っ赤だよ」

少し艶めいた表情で私の顔を覗き込む

こらー!絶対にワザとやってるでしょ!!

「ふふコレは今晩も楽しみだね」

”覚悟しとけよ~”

半笑いで出た捨て台詞からシャワーに向かうよ

「楽しみにしてるよ~」

何枚も上手な七海です


シャワーを出ると朝御飯がちょうど出来上がって七海がコーヒーを淹れてる

バターをたっぷり塗ったトーストにベーコンエッグとグリーンサラダ

七海定番の朝御飯でなんかホッとするよね


食後は今日のメインイベントの準備

今日はマリッジリングを買いに行った時に近いコーデの二人

私はワイドパンツで中性的に

七海は膝丈のワンピースで少し春を先取りした感じの軽い仕上がりでね

メイクはいつもの濃いめで大人のお姉さん風でなく私と同じにナチュラル仕上げ

本当に二十歳と言っても誰も疑わないよ


出発前に婚姻届けに不備がないか最終確認

結婚後の氏は妻にチェックだね

私が強く七海にお願いしたの届を一つの区切りとして七海と新しい一歩を踏み出したいってね

証人は徳さんと美香にお願いしたよ

というか二人以外を考えられない私達だったしね

さて最終チェックもオッケー!

あとは二人の身分証明書でマイナンバーカードを忘れずにで出発


届け出は区役所通りの本庁舎なので歩いて数分

今日の七海は低いヒールで身長差を作ってる

寄り添う七海が少し上目に私を見るといういつもと違う感覚にドキドキだよ

今日は休日なので宿直室に婚姻届けを出して身分証明書を確認してもらう

全て問題なしで無事受理されて「受理控え」をもらって完了!


感極まって無言で歩く二人

「おーい!」

庁舎を出ると聞き覚えのある声が

”たっちゃん!”

「御二人で庁舎から・・・あっ今日は二人の誕生日か・・・結婚おめでとう」

「ありがとうございます」

”たっちゃんありがとう”

「うん幸せにな」

手を上げ区役所の裏に向かって行く


「はははははは」

”ははははっは”

何だか知らないけどたっちゃんの登場で緊張も解け笑い出す私達

七海が少し背伸びして私の唇に軽く唇を重ねる

腰に手を回す私

周りの視線なんて気にならないよ

自然と離れ

「改めてよろしくお願いします旦那様」

七海がペコリと頭を下げる

「こちらこそよろしくお願いします」

腰に手を回し引き寄せもう一度抱きしめる


その後はウインドショッピングしながら二人で街中を散歩したり東南口の春屋珈琲で一服しながらコーヒーとケーキを楽しんだりと特に目的無く新宿の街を回遊しながら二人寄り添って歩くのを満喫したよ

そろそろ少し早いけどお腹もすいたので晩御飯にしようと花道通りの幻影亭へ

七海も私も焼肉が大好きってのもあるけど初出勤の夜に七海と初めて外食した思い出の店でとかね


個室に入ると今日は並んで座るカップル座り

店員さんが注文を取りに来た時は少し恥ずかしかったけどゆったりな個室なので対面で座るとテーブルも大きくて距離が離れちゃって今日の気分じゃなかったんだよね

飲み物は二人ともレモンサワー濃いめ一択!

皮を剥いたレモンが丸ごと入ってて楽しくて美味しいんだよね


上ネギタン塩からスタート

ここのネギタン塩は少し変わってて縦長にうすくカットされたタンが二つ折りになってて沢山のミジンネギが挟まれているんだよ

焼きあがって取る時に開いちゃってネギがコンロの中に落ちちゃって悲しくならないように焼き上がりは慎重に取り皿にね

合間に幻影亭サラダで箸休めして次は上カルビと上ロース

七海は大盛ライスもね

カルビとロースは青唐辛子ネギ和えを挟んでサンチュで巻いて食べると最高だね

七海はユッケをライスに乗せてユッケ丼を作ってるよ

ユッケとライスが本当に合うんだよね数口「あーん」って分けてもらちゃった


レバー焼きやモツも楽しんだりでお腹いっぱいなんだけど

〆で冷麺は鉄板なんだよね一緒に出て来る辛タレを全部かけて多めのお酢で食べるとお腹いっぱいと思っていてもペロリといけちゃうんだ

冷麺が食べ終わるとサービスのデザートでアイスと温かいほうじ茶が出て来たよ

二人ともレモンサーワーは十杯くらい飲んでるのでアイスとお茶が沁みるね


食後はマンションまで歩いて軽く腹熟しだね

この時は考えてもいなかったよ・・・これが「男」として七海と寄り添い一緒に歩くのが・・・最後になるなんて


部屋に入り帽子を脱いでソファーに座る

七海がコーヒーを淹れてくれている

それは突然きた

熱い熱い体が燃えるように熱い

ソファーに座ってることが出来ずに前に倒れ床にうつ伏せになる

体が痙攣してるのがわかる

私が床に倒れた音で気が付いた七海が飛んでくる

「彩美!彩美!どうしたの!!」

仰向けに起こそうと体を持った瞬間

「熱い!この体温うそでしょ」

仰向けに起こしソファーのクッションを枕にして救急車を呼ぼうとスマホを探す七海


心臓が破れそうな程の勢いで鼓動してる

その次の瞬間・・・私の体が猛烈に痙攣して急に脱力して行く

スマホを探していた七海が慌てて私の横に戻って来て座り込む

あれ?さっきまでの熱さもなく頭が冷静になっていく”もう大丈夫”って言いたいけど声が出ない

声だけじゃない体を何処も動かせない

あれ?息も出来ない・・・でもまったく苦しくない・・・えっ自分の鼓動を感じない・・・

七海が涙でグチャグチャになりながら息を確認して胸に耳を当てると顔が真っ青になってる

体がドンドン冷たくなって行くのがわかる


もしかして私・・・死んじゃったの!?

数秒取り乱してパニックになり言葉もしどろもどろで私を揺さぶっていた七海が深呼吸をして気を落ち着かせてる

って死んだのに見えるし聞こえるし添えられてる七海の手の温もりを感じてる

七海が人工呼吸をして蘇生を挑む

人工呼吸を二回して今度は心臓マッサージと私に馬乗りになろうとした瞬間


”がはー”

突然息が出来て止まっていた時間を取り戻すかのように激しい鼓動を感じ心臓が動き出したのが分かる

七海が抱き着いて

「よかった・・・」

なんとか七海を安心させようとするけど・・・さっきよりも体が熱くて意識が途切れ途切れになる

全気力を振り絞り七海の手を握り声を絞り出す

”だ・・・だ・・・大丈夫だ・・・よ”


その瞬間に何か突然理解したよ

視界に見える私の体が霞んで薄くなって行く

そして見えない何処かにある扉が開く感覚

熱での幻覚じゃない・・・この感覚は物語に書いた転移が発動した状態

駄目だ本当に転移なら何か連絡手段を残さないと

握ってる七海の左手に指輪の感触がある

・・・本当に出来るかわからないけど・・・手の平に感じる七海の指輪に念を込める・・・十分な念を送れてれば・・・


「彩美が消えて行くよー」

泣かないで絶対に帰って来るから・・・どこから帰ってくるの?

「彩美ぃいいいいいい」

ああ美しい顔が涙でグチャグチャだよ

体はもう向こうが透けて見えるを通りこしてギリギリ私の存在が感じれるレベルになってる

意識も合わせて薄くなっていく

駄目!最後に最後に伝えるんだ!がんばれ私!

最後の気力で声を出す

「ぜ・・・絶対・・・・帰って・・・来る・・・れ・・・連絡・・・する・・・指輪を・・・」

駄目だ限界

もう靄がかかり視界も朧気だ

グチャグチャの顔で何回も頷いてる七海の顔が見えた気がした瞬間に・・・意識が・・・闇に落ちていく・・・

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