幕間 閻魔大王はほくそ笑む

 わらわは部下に案内を任せ、「マジ最悪だわ」と憎々しげに呟く華奢な背と、その背をさすりながら「まさか、血を呑まされるなんてね」と、へこたれている少し大きな背を見送った。


「ほんに面白い童等じゃのぅ」


 フフと蠱惑的な笑みを交えて独りごちると、周りに居た部下達も堪えていた心をひそひそと吐き出し始めた。


「あの人間のガキ共、一体どうなってやがんだ?」「閻魔大王様の血を呑んで、あぁなれた奴……いたか?」「居る訳ねぇだろ。閻魔大王様の血のお力は、凄まじいんだからよ」

 部下達は、皆、あの童等がわらわの血を呑んであっけらかんとしている事に戦慄している。


 そう、本来なれば……わらわの血を呑めば、気色が悪くなる程度ではすまないのだ。三日三晩痛みに悶絶し続け、のたうち回る。それが収まっても、本調子になるまで一週間以上を要する者も居る位なのだが。


 あの童等は、人間だと言うにも関わらず、すぐにスタスタと動き回れた。偶然ではあるまい。


 ややもすると、あの童等は……


 わらわは心の中で「ふむ」と唸ってから、一番近くに居た赤鬼に「そこの」と声をかける。

赤鬼はお喋りを慌てて辞め、すぐに「ハッ」と傅いた。


「あの童等に関する全てを事細かに調べ尽くした調書を作り、わらわの部屋にすぐ持って参れ。今ある業務を全て他に任せ、最優先で当たるのじゃ。良いな」

 わらわに命じられた赤鬼は「ハッ」と太い声で答えてから、すぐにドスドスッとこの場から離れて行った。


 わらわが知っているのは、童等が負った罪と歩んできた人生。


 他は、何も知らない。故に、わらわは知る必要があるのだ。


 如何せん、あの童等には「ある」かもしれぬからのぅ。

・・・・

 ここまでお読み下さり、またこちらの作品に出会って下さりまして、誠にありがとうございます!本当に嬉しいばかりです!


 これから、ちょっとずつ続きの話をアップしていきます!

 地獄の猫ちゃんが出てきたり、聖と結生の挑戦が始まったり、シスコン・ブラコンぶりを発揮し始める二人だったり、何だり……コメディー多めのバトルファンタジーなので、先もお楽しみ頂けたら幸いです!


 Wordで書き、直し、こっちに移し、直しの作業順なので、スローゥーリィーペーース位の更新となると思います。大変申し訳ありません😭

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