たおやかな日

久しぶりの大学への登校に面倒臭さを抱きつつも、いつもより早めに起き、パンがなかった為、母親が買っていたシナモンロールを二人頬張る。

ためこん

凛と冷たい空気に鼻を赤らめつつ駅に向かう。

まだ9日だからか、席がまばらに空いていた。

中津駅に降りるのに便利な右側の扉近くに座り、胸ポケットに入れた小説を開く。

もう少しで十三につく、というところで窓から差し込む光がとてもやわらかいことに気づき、顔を上げる。

穏やかな空気。ゆるやかに押し寄せる波のように、私を包み込み、音が遠のく。

こんなにも心地の良い空間が電車にあったんだ。

電車が十三に着くと、空気は入れ替わる。

中津で降り、バスに乗り込むと携帯が鳴る。

祖母が亡くなった。

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