第48話

「……ところで嬢ちゃん、アンタ剣を持っていないようだが?」

 ドワーフはミルリーフにチラリと視線をやり、不思議そうに尋ねる。


「はい、私は魔法使いなんですよ。だから剣はもってないですね」


「そうなのか……勇者の子孫が魔法使いとは少し寂しいのう。魔法使いならアルカンタラで間に合っとるじゃろ」

「間に合ってるって……おい」アルカンタラが言う。


「うちの家系は代々、子供には剣の稽古をつけるので、少しくらいなら扱い方は教わってますけどね」


「ほう、ならこれからは剣も使ってみるといいぞ? 魔法も使えるなら『魔法剣』って手もあるのう」


「魔法剣?」ミルリーフが首を傾げる。


「ああ、剣と魔法の合わせ技じゃ。これがなかなか難しい。ソーサーも使いこなせなかったなぁ。

 アゼリの血も引いてる嬢ちゃんなら、あるいは使いこなせるかもしれん」


「剣か……分かりました。しばらく触っていなかったので少しずつ練習していきます」


「うん、それがええ。魔族を倒すにはアルカンタラだけでは無理じゃぞ? アンタももっと強くならないといけない。

 いつだって魔王を倒す最後の一撃は勇者の剣だ」



 こうしてアルカンタラたちはドワーフと別れた。

 ドワーフは暗黒水晶の情報を探るべく、仲間に会いに行くとのことだった。


 アルカンタラ達の目的が決まった。

 様々な種族に会いに行き、それぞれの種族の宝である宝玉を集める。

 それを精霊の元へ持って行き、暗黒水晶を破壊する兵器を作ってもらう、というものだ。


「ふう、まったく、大冒険になりそうだな……」

 アルカンタラは舌打ちをするが顔は笑っている。


「そうね。私はこんな冒険初めてだから、少し楽しみだわ」

「へっ、足引っ張んじゃねぇぞ」

「もう、またそんなこと言って!」


 はじめの目的地はエルフの森だ。


「とりあえず今日はポピーちゃんの家に戻りましょう。ポピーちゃんのお父さんならエルフとか精霊とかも詳しそうじゃない?」


「あー……間違いなく詳しそうだな……。聞いてもないことまでペラペラ話そうだ……まあ、今はそのほうが助かるか」


 アルカンタラはほろ酔い気分でポピーの家へと戻った。

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