第32話
さっそく冒険者ギルドでクエストを受けに行くアルカンタラとミルリーフ。
とにかく今は冒険者ランクを上げるために、クエストをこなさなければならないのだ。
2人の現在の冒険者ランクは最底ランクのE。
つまり、Eランククエストしか受けれないのだ。
ポピーが言うには、Eランクのクエストを何度もクリアし、安定感のある冒険者と認められると1つ上にランクアップできるそうだ。
「えーっと、俺たちにできるクエストは……?」
ギルド内の壁一面に貼られたクエストの依頼書を眺める。
「……Eランクだとこの『薬草摘み』とか『迷子のペット探し』とかのクエストないわね……」
「ペット探しって……くそ! ガキのお使いかよ!」
「仕方ないわ。一つ一つクリアしてランクを上げていきましょう」
「ったく、こんなことしてるうちに世界中がモンスターに襲われても知らんぞ?」
アルカンタラは『薬草摘み Eランク』と書かれた紙を壁からむしり取る。
ギルドの受付からクエストの説明を受ける。
街の外れの山にある薬草を袋いっぱい持ってくると言うクエストのようだ。
受付嬢は薬草のイラストを見せる。
「この薬草です。違う草が混ざっているとクエストクリアにはなりませんからお気をつけくださいね」
アルカンタラ達は大きな麻袋受け取る。
「はじめてのクエストですから、お気をつけて行ってきてください。モンスターはいない山ですが転んだりすると危ないですからね!」
受付嬢はニコッと笑い2人を見送る。
「……ははは。転ばないように気をつけまーす……」
乾いた笑いを出すアルカンタラだった。
◇
薬草を摘む山にはポピーもついてきた。
ギルドの事には詳しいが、冒険者ではない彼女はクエストをやったことがなかったので、一度経験してみたいとの事だった。
山を登ると、辺り一面に草が生い茂っていた。
「はぁ……まるでピクニックだな。サッサと薬草を引き抜いて帰るぞ」
アルカンタラめんどくさそうにあたりの草を抜き、麻袋に放り投げる。
「ちょ、ちょっとアルカンタラ? その草はクエストの薬草じゃないわよ?」
ミルリーフは慌ててアルカンタラの手を止める。
「は? この草だろ?」
アルカンタラは明らかに薬草とは違う草を両手いっぱいに持っている。
「……全然違うわよ……」
「アルカンタラさん……Eランクもクリア難しそうですねぇ……」
呆れる女性陣だった。
◇
しょせんEランクのクエストだ、と甘く考えていたアルカンタラは苦戦していた。
「これか……? 違うな……。この草か!? 違うな……」
「まったく、アルカンタラは戦闘以外はてんでダメね」
「くっ、こんなチマチマした事は冒険者のやることじゃねぇだろ!」
慣れない細かい作業にイラつくアルカンタラ。
「こんなんじゃいつまでたってもAランクなんて無理かもしれないわね……」
ポピーも協力し、やっと2つの麻袋は薬草でパンパンになった。
クタクタになりながらギルドへ戻り、受付嬢に麻袋渡す。
「お疲れ様です。中身確認しますね」
そう言い受付嬢は薬草以外の草が混ざり込んでいないか、薬草が傷ついていないかなどをしっかりとチェックする。
「うーん、まあ少々摘み方が荒いようですが……初心者ですし大目に見ましょう。クエストクリアです」
「……くっ!」
悔しさに拳を握りしめるアルカンタラだったが、無事、最初のクエストをクリアすることができた。
です
【★あとがき★】
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