第6話
サンダーバードの群が城に迫るなか、城壁に1人たたずむアルカンタラの存在に国王は気づく。
「む? あ、あれは……ミルリーフの連れてきて男か……なぜあんな所に? 危ないぞ、逃げるんじゃ!」
アルカンタラを心配し、大声をあげる国王。
「ふふ……うるさいじいさんだな。……ん、待てよ……もしかして俺の方がじいさんなのか……?」
1何とも言えぬ複雑な気持ちの118歳のアルカンタラ。
そんな目立つ城壁に突っ立っているアルカンタラ目がけて、サンダーバード達は降下する。
「ふふ、数が多いな。手加減してる暇はなさそうだ」
アルカンタラはそっと手を空をかざす。
「……くらえ!」
その瞬間、衝撃波がアルカンタラの手のひらから放たれる。
「な、なんじゃ!? あの魔法は……!」
国王はアルカンタラの魔法を目にして口が塞がらない。
衝撃波はサンダーバードの群れを飲み込こんだ。
一瞬の閃光、燃え盛るサンダーバード達はあっという間に灰になった。
城へは一切のダメージを与えず、アルカンタラはモンスターを撃破した。
アルカンタラの魔法を再び目の当たりにしたミルリーフはあらためて驚いた。
「すごい……やっぱりすごいわアルカンタラは……私たちの魔法とはレベルが違う。アレはもしかして古代魔法ってやつ……?」
こうして魔王が滅びて以来、100年ぶりのモンスター襲来だったがアルカンタラの手によってアムハイナ王国は守られた。
しかし、そんなアムハイナ王国のピンチを救ったアルカンタラ落ち込んでいた。
「……しまった。サンダーバードを燃やしたら羽を売れないじゃないか……! くそ、ずっと寝ていたせいか!? 魔力のコントロールが上手くできん!」
人知れず頭を抱えるアルカンタラであった。
◇
「助かったわい。なんと礼を言えばいいやら……」
国王は王国のピンチを救ったアルカンタラの手を強く握る。
「……ずいぶんいかつい入れ墨じゃな? そなたは一体?」
入れ墨だらけのアルカンタラの両腕に気づいた国王。
「あー、俺は……」
アルカンタラはなんと言えばいいか困ったようにミルリーフの顔をチラリと見る。
「……国王。信じられないかもしれませんが、お話があります……」
ミルリーフは覚悟を決めたような目で口を開く。
◇
ミルリーフは国王にアルカンタラのことを話した。
地下資源の採掘中、地下深くで魔王の魔法によってアルカンタラが氷漬けになっていたこと。
100年前の勇者パーティーの魔法使いだったこと。
そして、現代の魔法使いとはレベルの違う魔法を使うこと。
「なんと……信じられん……いや、しかしあの魔法を目の前で見せつけられたからのう」
ミルリーフの話に国王は目をまん丸にして驚く。
「はい。私もはじめは驚きました。とても信じられませんでした。
ところでアルカンタラ、アンタの魔法は古代魔法よね……?」
ミルリーフは恐る恐る尋ねる。
「こ、古代魔法!?」
驚くアルカンタラ。
「ええ。あの威力、魔力を溜める時間の短さ。間違いないく古代魔法だわ。私も文献で読んだことあるくらいだけど」
「失礼だな! なにが古代魔法だ。威力も早さもこの魔法陣があるからに決まってるだろ?」
アルカンタラは袖をめくり、両腕の入れ墨を2人に見せる。
「ま、魔法陣……?」
ミルリーフは聞き慣れない言葉に首をかしげる。
「ああ、今の魔法使いは魔法陣の入れ墨を彫ってないみたいだな。
それにこの入れ墨だって最近入れたばかりの最新の魔法陣だぞ! それを古代魔法だなんて!」
アルカンタラは不機嫌そうに言うが、
「……アルカンタラ。アンタの最近は100年前よ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます