第18話 ようこそ、カリヨネッタへ!

「やっとだ…やっと着いた」


厳しい道のりを経て、ついにカリヨネッタに辿り着いた!アカタキのときと比べて圧倒的に長い道のりだった。


「わぁ、綺麗ね!」


カリヨネッタは灼熱で枯れ木しかない不毛の大地であるアカタキとは全く違う。小鳥が囀り多くの川がある、草原だ。ちなみに近くには海もある。まさに住みやすい良い土地だった。何故こんなに恵まれた土地なのにあまり人がいないのか、それは


「ほとんど魔物使いしかいないからだろうね」


サヴァルト村の村長、ガリドラはそう話す。この人も魔物使いで、ソラヘビやベヒモス、スライムなどの仲間モンスターがいるらしい。



俺たちは関所に行き、入国する許可を取った。もっとも、魔物使いならフリーパスなので仲間である魔物たちを見せたらすぐに入国できたのだが。アガスたちは俺が保証人となって入国の許可を得た。


「ほんま、助かったわ。こんな綺麗な国、住めないなんて損やもん」


「アカタキとは違って自然豊かでいいところですね!」



さて、この国。本当にほぼ全員が魔物使いらしく、ベヒモスに土木作業をさせたり、八咫烏に物を運搬させている人などをよく見かける。ベヒモスは巨体ではあるが戦闘には不向きらしく、その代わり土木作業などがめっぽう得意らしい。


「クロツバサ討伐のため、というのがこの国に来た第一目標だったけど…まだやりたいことがある」


具体的には魔物杖の新調や戦力の増強などだ。また、これはクロツバサ討伐後にやるつもりなのだがここに自分だけの拠点を作りたい。


「アガスたちもこの国に永住するつもりらしいし、俺がこの国を去る利益が全くないからさ」


ちなみに仲間たちも砂漠の環境に飽き飽きしていたためか、そこら辺の川で遊んでたりする。まれにハンターピラニアとかが彼らを襲ってきたりするが、余裕で返り討ちにしてた。


「とりあえず、まずは魔物杖の新調をしよう」


ナイトメアデスワームの角などの素材が今大量にある。それらを売れば、金貨30枚ほどにはなるだろう。高品質な魔物杖を買うことも余裕でできるはずだ!勝ったな、風呂入ってくる





「ミスリル装備?」


魔物杖の新調はできた。40体も中に入れることができるらしい。他にも機能があるのだけど、まあそれは置いといて…俺はある物を見つけてしまった。


「鉄装備より高性能な装備か…」


俺用とオリオン用に鎧は2セット、俺は剣はいらないのでオリオン用に剣が1つ欲しい。だが…


「もう金貨がないんだよな」


そう、今の俺の全財産は金貨10枚。しかし必要とする金貨は合計30枚。 20枚も足りない…



「仕方ない、味方の戦力増強ついでに素材を集めてくるとしよう」


だが、川で遊んでいる魔物たちの邪魔をするのはよくない。全員は連れて行かずに一部だけを連れていこう。


そう思った矢先、俺はあるものを見つけてしまった。


「メアリ?こんなところで何やってるの?」


「ッ!?」


木のそばで水遊びをするバサやヴァイたちを遠くから羨ましそうに見つめているメアリを見つけてしまった。あ、もしかしてこいつ



「まさかとは思うが、泳げないのか?」


「ッッッ!!!」


痛い。頭突きされた、なにこいつ。まだ野生だったころのメアリに噛み付かれたときくらい痛かった。どうやら、図星だったらしい。こいつ、カメだろ?嘘だよな…

木のそばで寂しそうに仲間を見つめてる様子は流石に可哀想だったので、俺はメアリを連れていくことにした。


あと、ファラクとアルタイルも連れていく。ファラクはメアリとは違い泳ぎも得意で水中の中でも呼吸できるらしいが、本人曰く陸上を泳いでいる時の方が楽しいらしい。かなり退屈そうにしていた。

アルタイルもほぼ同じだ。彼はこの新天地でも宝石を探しているらしく、川には全然宝石がないと嘆いていたのだ。


メアリ、ファラク、アルタイルの3人を連れて素材集めと戦力の増強をしにいった。

この付近に出現する魔物はサンダーバード、マジックゴーレム、ソラヘビ、デスビー、滑空鯨、ベヒモス、マナガルム、デスワーム、フォレストドレイク、サマヨイグルマ。そして超ごくまれにガルーダが出現するらしい。


「まあ、ガルーダに関しては狙ってないけどな」


10年に1度出現するとかそのレベルの魔物なのだ。狙って仲間にできるようなモンスターではない。



「仲間にしたいのは、マジックゴーレムとサンダーバードだ」


マジックゴーレムは魔法を扱うとかそういうのではなく、魔法に耐性のあるゴーレムである。ゴーレムの弱点である酸攻撃なんかもこのマジックゴーレムには効かない。


サンダーバードは雷を操るそこそこ大きな魔鳥だ。キジクジャクやヴァイほどではないが、機動力も高い。この鳥も、クロツバサ戦に向けてへの戦力として欲しい。


俺はファラクに乗りながら20分ほど探し回ってようやく見つけた。マジックゴーレムだ。


「マジックゴーレムはそのとてつもない防御性能の割に攻撃力がかなり低いんだったな」


マジックゴーレムは成人男性と同じくらいの大きさで、実はそこまで重くなかったりする。防御性能には優れているが、攻撃性能はかなり致命的で、まあ、弱スライムと同じくらい。


さて、俺たちはそんなマジックゴーレムを戦闘不能にさせる必要がある。一応4人がかりでなんとかできないこともないが…まあ、かなり時間はかかるだろう。


「そこで、アルタイルの出番ってわけだ!」

「ヒョロロー!!」


アルタイルに、マジックゴーレムを掴ませた!


前述した通り、マジックゴーレムはかなり軽い。そう、カイリキホークでも掴めるほどには。アルタイルはどんどん上へ上へと上昇していく。

———そろそろ、いいだろう。


「アルタイル、マジックゴーレムを落とせ!」


アルタイルはマジックゴーレムを掴む足を離し、マジックゴーレムを落とした!

世界一硬いとされるダイヤモンドも、落としたりすれば割れることもある。マジックゴーレムだって、同じである。



マジックゴーレムの体にヒビが入った。もう、これで戦闘不能だ。俺はマジックゴーレムを仲間にし、次はサンダーバードを狙う。


ちなみに先輩魔物使いに聞いたところ、やはり魔物には自然治療能力があるらしい。マジックゴーレムも同様で、仲間にしたあとしばらく待っていると元通りになっていた。


あ、そうそう。そのときに先輩魔物使いにこんな質問をされた。


「どうやって魔物を仲間にする方法を知ったんだ?」


今の魔物使い差別の強い風潮だと、わざわざ魔物使いがどうやって魔物を仲間にするのかと興味を持つ物好きなんてほぼいない、というかほぼゼロだ。魔物を仲間にする方法は古い世代の魔物使いから新しい世代の魔物使いへと伝授されてのみでしか伝わっていない。そう。部外者が、魔物を仲間にする方法を知る手段はないのである。


俺が知り合いから教えてもらったと言ったら親切な魔物使いがいたものだと感心された。しかし…その知り合いである、アキラは魔物使いとは一切関係のない格闘家だったはずなのだが…

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