第11話 予想外のいのちとり
ワイバーンだと…!?
しかも奴のレベルは42もある。グリフォンとワイバーンを同時に対処しなければならないってことか!?
ワイバーンが火球を乱射している。ファラク、メアリ、オリオン、アオ、ブライガーが全力で守ってくれているが、今度はサソリなど他の魔物の処理が疎かになってしまい、あっという間に大混戦となってしまった…!
「まずい…!」
ワイバーンが現れたことによってグリフォンを攻撃する魔法と矢はなくなってしまった。しかし未だに持ち堪えられているのは間違いなくキジクジャクのおかげだろう。アルタイルの方はワイバーンへと彼の家宝であるウルトラダイアを投げつけて注意を引いている。
アルタイルはワイバーンの攻撃を完全には避けきれていない。
「ヒュルル!!」
…わざわざ時間稼ぎが苦手なアルタイルが時間稼ぎをしてくれているのだ。こちらもやるべきことをやらねば。
「ハリム!アリサ!ワイバーンとグリフォンのことは置いておいてまずは地上の敵を殲滅してくれ!」
「了解した!」 「把握しました!」
仲間の魔物もまずは地上の敵の殲滅に集中させる。マミーやサソリ、サバクサイなどだ。
サバクサイは本来仲間にする目標のうちの1体だったが今はそんなこと言ってられない。
ブライガーがサバクサイを齧り、吹き荒れる魔法と矢がマミーを滅し、オリオンがサソリの尻尾を剣ではぎ取り、メアリがヘビタイショウの群れを噛みつきで倒した。あっという間に野次馬の魔物たちは全滅した。
「ハリムとアリサはワイバーンへの攻撃を頼む!ファラクとメアリはそれのサポート!アルタイルはワイバーンからグリフォンに戦闘相手を変えるんだ!」
低レベルとはいえ、ワイバーンに勝ったことのある2人だ。ワイバーンとの戦い方は彼らが1番よく知っているだろう。グリフォンはキジクジャクとアルタイルの2体に任せることにした。俺はブライガーに騎乗し、アオやオリオンと一緒にまた湧いてきた野次馬の魔物を蹴散らす。
「まさかファラク戦のすぐ後にこんな激闘をする羽目になるとは…!」
異世界無双はどうした、スローライフはどうした!?
一見グリフォンはこのまま押し切れそうな気がするが…よくみてみるとキジクジャクがかなり疲れている。この調子だとグリフォンを倒す前にキジクジャクが疲れ果てて倒れる方が先かもしれない。俺はブライガーから降りた。
空中戦だからいけないのだ。なら、地上組の攻撃が届くようにすればよい。オリオンをグリフォンの後ろへ回り込ませた。
「キジクジャク!俺の方にグリフォンを誘導してくれ!」
グリフォンはキジクジャクに全く攻撃を当てられないもどかしさによる怒りで周りが見えていない。誘導するのも簡単だ。
グリフォンは何故か減速したキジクジャクに噛みつき攻撃をしようと…
「行け、ブライガー!」
ブライガーがグリフォンに全力の引っ掻き攻撃を行なった!だが、グリフォンには避けられた。
だが、それでいい。何故ならそれはフェイントだから。
「本命はこっちだ!オーリオン!!」
「モヒィ!」
サソリの鋭い毒の尻尾を持ったオリオンがグリフォンの体を切り裂いた。
とうとう戦闘不能になったグリフォンは地面に倒れ込む。そして俺はすぐ魔物杖でグリフォンを仲間にし、急いで上薬草を彼の身体に貼り付ける。頼む、間に合ってくれ…
ワイバーンと戦っているハリムとアリサはかなりの劣勢に陥っていた。当然だ。このワイバーンと戦う前にグリフォンや魔物の群れをかなりの量の矢や魔法で攻撃していたのだ。
そこまでやって疲れない人間など、存在するわけがないだろう。
「ヒュルル…!」
「ツ…クツ…!」
どうやらグリフォンと戦っていたキジクジャクとアルタイルが援軍として来てくれたようだ。しかし…彼らも既に満身創痍。とても戦えるような状況ではない。
ワイバーンはこの騒ぎに乗じて極めて正解だったと考えている。何故かって?上質なご飯を、横取りできるからさ。ワイバーンはまるでハイエナかのように獲物を横取りすることも少なくない。それが、1番楽なご飯の取得方法であることに気づいているため。
それが賢く生きる、狡猾なワイバーンという種族だ。ただ唯一。賢いワイバーンにも予想できなかったことがある。それは、
先ほどまで自分と共に陸上のご飯候補たちと戦闘を繰り広げていた美食家仲間が、自分に攻撃をしかけてきたということだ。
それが、予想外のいのちとりとなる。
「クェー!!」
グリフォンが空を飛べるほどに回復した。オリオンのとどめの一撃に鉄の剣ではなくサソリの尻尾を使わせたためだ。剣でグリフォンの身体に傷をつけて血を出させて戦闘不能にさせるのではなくサソリ毒の微弱な昏睡効果で戦闘不能にしたので復帰も早いのだ!
ワイバーンは…こちらに気づいていない。
グリフォンが、こちら側の仲間になったことを。
キジクジャクとアルタイルの決死の時間稼ぎのおかげだ。飛行組も、アガスパーティー組も今にも倒れそうだ。…一刻も早く決着をつけなければならない。
グリフォンにオリオンを乗せて、奇襲攻撃をするよう命じた。幸い、ワイバーンは気づいていない。やるなら、今だ。
グリフォンが今の自分に出せる全力のスピードでワイバーンに迫った!
ワイバーンもそれに気づいたようだ。……グリフォンだけに。既にオリオンはグリフォンの上にはいなかった。そりゃわからないだろう。何故かって…オリオンは今ワイバーンの死角の真上にいる。
「モヒィィィィ!!!!」
オリオンが全力で鉄の剣をワイバーンへと振り下ろした!!!
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