第9話 ヘビとタカ
銀貨がついに貯まった。100枚だ。
砂漠中を荒らしまわって、夜になる前に何とか集め終えることができた。これで、新しい魔物使いの杖を買うことができる。
「らっしゃい」
俺は魔道具屋にやってきた。
「この魔物使いの杖をください」
問題なく買うことができた。
「ふははははははははははは!!これで俺は最強の存在となったのだ!!!!」
まあ、拠点があれば元から5体以上仲間にできたんだけどさ。俺、浮浪者だからないんだよね、拠点。召喚した国が勇者の世話をするのが普通なんだけど、そんなこと全然してくれなかったし。ただ、アガスパーティーに聞いたところラグナロクはまだマシな方らしい。
「そら、ほとんどの国は魔物使いアンチやからなぁ。まだラグナロクはマシな方なんちゃう?」
「そうよ。そこらへんの国なら魔物使いだとわかった瞬間打ち首よ?」
「マジか」
このやり取りをしたことはまだ記憶に新しい。最近は情報をアガスパーティーに聞きにいっている。こうなるとアキラはもうお役御免だな。
「バイバイ。魔物杖をくれたことはそこそこ感謝するよ」
まあ彼ならたとえ悪魔とかエイリアンとかが来たとしても普通に生き残ってそうだけどな。
俺はまた魔物の出現区域に戻ってきた。虐殺をするため…ではなく、新しく仲間を増やすためだ。
「高レベルのファラクがいるから、多分そこら辺歩いてても大丈夫だとは思うけどね」
ここの砂漠に出現する魔物はティタノスコーピオン、マミー、ヘビタイショウ、カイリキホーク、砂漠鰐、オオトカゲ、サバクサイ、そしてグリフォンとワイバーン、デスワームだ。
「もっとも、グリフォンとワイバーンの個体数はかなり少ないみたいだけどな」
グリフォンとワイバーンはともかく、他の奴らはレベル100個体が出てきたりしない限り勝てるだろ。で、この砂漠で仲間にしたい魔物は…
「カイリキホーク、グリフォン、ワイバーン、サバクサイ、オオトカゲかな」
カイリキホークはとても大きなタカである。普通のタカと違いカラダにトゲトゲがある。なので、キジクジャクのように乗ることはできない。だが、その強さは怪力にある。
「カイリキホークはマジックゴーレム程度なら容易く掴むことができるんだったか」
このタカ、とてつもない怪力なのである。そのおかげで物を持ち運ぶのにかなり役に立つだろう。そして攻撃力もそれなりに高いから戦闘にも使えるはずだ。まあ、キジクジャクより体力と移動速度が低いのだが…
まずはこいつとサバクサイを仲間にすることにしよう。ちなみに、サバクサイは白い毛の生えたフサフサのトリケラトプスとサイを合体したかのような魔物だ。サバクサイは主に戦闘と荷物の運搬で使えるだろう。ファラクが加わったとはいえ、それでもタンクをやれるのはファラクとメアリの2体だけ。ブライガーとオリオンは少し耐久力が足りないため、タンクを張らせるには難しい。
「だから、サバクサイをテイムしよう!ってわけよ」
「ッ」
「これ舌打ちだよな?」
そんな感じで雑談しながら歩いていると。
「シャーッ!」
「あ、蛇だ」
散々蛇だ蛇だ言っているがこいつにも名前がある。
「ヘビタイショウ」
蛇大将。そのまんまかよ。
だが、こいつも何かの縁だ。仲間にしてみるとしよう。
「レベルは…50?まあまあ高いな」
まあ、ファラクほどではないか。俺はファラクに戦うよう頼んだ。
ファラクは蛇に飛びかかった!
蛇はファラクを自慢の長い体で締め殺そうとする…しかし、ファラクはデスロールでそれを振り払った。
「よく見たらヘビタイショウって額にちっちゃい角があるんだな」
ただ蛇が大きくなっただけだと思ってたけど、そんなところに差異が。ちなみに色は個体によって違うが、青みがかかった黒色の個体が多い。このヘビタイショウもそうだ。
「まあ、能力は普通の蛇とほとんど同じみたいだけどな」
普通の蛇と同じようにわずかな熱でも探知することができるらしい。それも結構な広範囲。戦闘には向いてなさそうだけど、結構有能かもな。
「とと、考えごとしてて気がつかなったけどもう終わってた」
戦闘不能になったヘビタイショウに「アオ」という名前をつけて仲間にした。
「さて、では気を取り直してカイリキホークを探そう」
やべぇ、アオが有能すぎる。
どうやら1度会ったことのある種族の体温の傾向は覚えているらしく、カイリキホークの元までいとも容易く案内してくれた。
「シュルシュル…」
褒めると照れる、可愛いやつだ。あのカメにも是非とも見習って欲しい。
「ッ?」
あ、まずい
ま、まあそれはともかくだ。あのカイリキホークのレベルは34。こっちの唯一の対空戦力のキジクジャクはレベル37。勝てるとは思うが逃げられるかもしれないことを考えて俺はまたまた奇襲作戦を立てることにした。
「名付けて、ヘビボーラ作戦」
今は、カイリキホークは枯れ木の枝に止まって休んでいる。今が狙い目だ。
俺はキジクジャクにアオを乗せた。ちょっとアオが可哀想な気がするが、本人も結構ノリノリだったのでまあ大丈夫だろう。
作戦はこうだ。まずキジクジャクがカイリキホークに気づかれないように真上まで飛ぶ。そしてキジクジャクの上にいるアオが飛び降り、カイリキホークに巻き付いて動けなくする。あとは削るだけの簡単なお仕事だ。
「よし、やるぞ!」
「シュッ!」 「ヒョロロ!」
バレないようにキジクジャクが飛んでいる。今、カイリキホークはどこかに光る宝石がないか探すので夢中になっているみたいだ。まるでカラスのようにカイリキホークは輝く宝石が大好きなのだ。ただ、ほとんどのカイリキホークが水に濡れた石ころを宝石だと勘違いして持って行くのが玉に瑕…
「まあ、たまに本当に宝石を持ってるカイリキホークもいるみたいだけどな」
その宝石を狙ってカイリキホークを追う冒険者も一定数いるらしい。
「シャアアアア!!!」
おっと、アオがカイリキホークに向かって飛びかかった!
「ヒョ!?」
宝石を探していたカイリキホークは反応が遅れてしまった。
その一瞬の反応の遅れが、仇となった。
アオはカイリキホークに纏わりつき、枯れ木の枝から地面に叩き落とした!
カイリキホークはなんとか抜け出そうとするが悪戦苦闘しているようだ。
あとは、オリオンの出番だ!
「じゃあオリオン、あとは頼む」
「モヒ」
ファラクやメアリじゃ、攻撃の際うっかりアオまで巻き込んでしまう恐れがある。
なので、ここは細い剣を持つオリオンが適性だ。
オリオンとアオでいじめていたらすぐにカイリキホークは戦闘不能になった。そしてすんなり仲間になり、俺はアルタイルと名前をつけた。ただ…
「巣にある宝石だけとらせてほしい、とは」
どうせただの石ころだとは思うが、一応見ておこう。
「ヒョーロロ!」
アルタイルが自慢をするように俺たちに宝石を見せてきた。
「あ、これウルトラダイヤだ」
この世界で最も硬い鉱物であり、最高級の装備を作るのに必要な素材でもある。
そんな誇らしげなアルタイルに、俺は
「アルタイルって凄い宝石持ってるよな笑
普通にレアダイヤ集めるの凄いからもっとアピールした方がいいよ☆☆☆」
賞賛した。
さて、次はサバクサイの前にグリフォンを仲間にすることにした。グリフォンもグリフォンで危険だが、ワイバーンは炎のブレスを吹いて来るらしい。対空戦力がキジクジャクとアルタイルの2匹だけだとワイバーンは流石に無理そうなのでグリフォンを先に仲間にすることにしたのだ。
「まあもっとも、グリフォンもこの2体だけじゃ不安なんだが」
そう、グリフォンもとても強い生き物だ。万が一負けたら怖いので、俺は頼もしい助っ人を呼ぶことにした。
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