第14話 力の限界

使者の言葉がカイラの心に重くのしかかっていた。村の外の世界からの求めに応えたいという強い願望と、自分たちの力の限界に対する不安が、彼女の心を交互に引っ張っていた。


カイラは湖畔に一人で立ち、遠くを見つめながら深く考え込んでいた。彼女は自分たちの魔法がこの一つの村に奇跡をもたらしたことは事実だが、その力が広範囲にわたる干ばつに対しても同じ効果を発揮できるのか、その答えを見つけられずにいた。


「私たちの力には限界がある…」カイラはそっとつぶやいた。彼女は自分たちの魔法が自然界の一部であり、その力には責任が伴うことを痛感していた。自分たちの力を過信し、それが思わぬ結果を招くことになったらどうするのか、その恐れが彼女の心を覆っていた。


空を見上げると、先日までの雨雲はすっかり晴れ渡り、青空が広がっていた。カイラはその空を見つめながら、自分の内に湧き上がる風の魔法の力を感じた。その力は強く、しかし同時に不安定で、コントロールするのが難しいものだった。


その時、エリナが静かにカイラの元に近づいてきた。彼女はカイラの横に立ち、同じ空を見上げた。


「カイラ、私も同じことを感じてる。私たちの力は大きいけど、それをどう使うか、その結果がどうなるか、私たちはまだ知らない。でも、だからといって何もしないわけにはいかないよね。」


エリナの言葉に、カイラは心の中で深くうなずいた。彼女は、この力を持つことが、自分たちに重大な責任を与えていることを感じていた。しかし、その力を持つことが同時に、他の多くの人々を助ける機会でもあることも理解していた。


「エリナ、私たちは慎重に進まなければならない。私たちの力は大きいけど、その力をどう使うか、その結果をしっかりと考えながら行動しないと。」


二人は互いの手を握り、共にこの新たな挑戦に立ち向かう決意を固めた。彼らの前には未知の道が広がっていたが、互いに信じ合い、支え合うことで、その道を歩む勇気を持っていた。

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