第19話「紗良様へのお願い」

 朝の紗良様との一件で私はだいぶ疲弊したらしく、その日は一日中自室で寝込んでいた。


 自室にいれば紗良様とも顔を合わせる心配がなかったので丁度良かったのだが。


 でも____


「明日からどうしようかなあ」


 夜、溜息と共にそんな呟きを漏らした。


 屋敷の中を歩けば、紗良様と顔を合わせる。朝食も昼食も夕食も、その席には紗良様がいる。


 私に逃げ場はない。


 もういっその事、夏休みの間は米澤家の方に帰省するべきか?


 お父様も私がいなくて寂しい……筈だよね?


 私がいたら、紗良様も不快だろうし、そうするのが正しいと思う。


 そんな事を考えていると、部屋の扉がノックされた。


 誰だろうと思って扉を開けると、そこにいたのは……紗良様だった。


「夜分遅くに申し訳ありませんわ」

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