第35話 アイスクリームの開発と、燻製の試作と。

――まず執務室で話し合ったのは、燻製小屋に関する話し合いだ。

流石に外で作る訳にも行かないし、かといって城の中で作るのも問題がある。

そこで、人が入らないように城の一部を増築して燻製小屋とする事を決めた。

湿気が篭らないような作りにして火の気がない様に石作りでお願いする事にする。

小屋と言っても、雨風が防げればいい程度の物だが……と思っていると――。



「別に作らなくとも、東の元魔法研究だった棟が余ってますよ?」

「ああ、外に作られていたな」

「あそこだったらまだいいのではないでしょうか? 荷馬車付近とも近いですし、作った製品を移動させることも可能かと」

「ふむ、俺専用に貰って良いだろうか」

「それは国王たるシュライ様の好きにしていいのではないでしょうか?」

「では、元魔法棟だった場所の掃除を徹底させてくれ。アツシ様に頼まれていたものを作り上げたい」

「畏まりました」

「後は俺も様子を見に行こう。それ次第で作る物が変わってくる」



そう言うと直ぐに俺達は動き、元魔法棟の元へと向かった。

確かに荷馬車用通路から直ぐにあり、広い屋根付きの広場があったので、此処なら幾らでも燻製が作れそうだ。

湿気は無い、カラッとした空気も良かったし、石造りと言うのも要望に合っている。

中に入ると机も何もない広い部屋が続いており、ここに大型冷蔵庫を並べるのもアリだろう。

アイスなら冷凍庫があればそれなりの期間は持つ。

アイスの並んだ冷凍庫と言うのも夢がある。

その為には牛乳と砂糖、バニラエッセンスと塩と氷が最低限必要だが。



「二階の部屋でアイスクリームを作ってもいいな」

「あいすくりーむ?」

「牛乳と砂糖を使った甘味だ。冷たくて美味しいぞ」

「それは美味しそうです!!」

「ただ、一階では燻製を、二階ではアイスクリームをとなる。盗みが入らないように警備は置くべきだがな」

「そうなんですね……」

「警備はガラスハウスにも立たせているだろう?」

「ええ、勿論です」

「ここでも立って貰う。下と中で立って貰う事になるな」

「ふふ、兄上の秘密基地が増えるんですね?」

「まぁそういう事だ。基本的にはアイスは箱庭で作って来るが、出来上がったものは此方に持ってきて冷凍庫に入れて行こうと思ってな」

「なるほど」

「かき氷屋と一緒に売ってもいい。貴族用には卵が入ったものを作っても良いだろう。卵が増えるにも時間はかかる。まずは砂糖と牛乳のアイスからだな」



やる事はドンドン増えるが、これも一つの商売だ。

甘味が増えればかき氷も牛乳を凍らせて作る事も可能になる。

牛乳かき氷は付加価値を付けて貴族用で売ればいい。



「何とかなりそうだ。牛乳が取れたら俺に回すように言ってくれ」

「畏まりました」

「無論半分でいい、半分は店での販売用だな。牛乳は瓶に入れて冷たいのをグイッと飲む様に売ろう。コーヒーに入れても美味いぞ」

「ほほう」

「露店販売が主となるが、それもまたいいだろう。いっそ庶民用と貴族用の休憩所となるカフェを作っても言い」

「休憩所となるカフェ……ですか」

「そこで冷たいものや甘いものを食べて帰る。と言う店だな」

「なるほど!」

「オープンカフェなら直ぐ作れるだろう?」

「ええ、小屋を作らず屋根があるだけでしたら直ぐに」

「それで行こうと思う」



そう次の段階を決めると俺達は一旦外に出て執務室に戻ると孤児院と老人ホーム担当のスバルを呼んだ。

そこで、近々アイスクリームも売る事や、カフェを作る事も伝え、卵が取れるようになったら商業ギルドから人員を借りて貴族用のカフェも作る事を伝えると頷いていた。

また、商隊部門大臣ラディリアを呼ぶと、移動用の馬車にアイスクリームを売りに行く為の部隊を一つ作って欲しいと頼み、シュノベザール王国の甘味を少しずつ他国に浸透させる為に箱庭師を使って売りに出せるようにしてほしい事も伝えた。


無論アイスを入れる魔道具は俺から提供する事や、アイスについても俺から提供する事を伝えると、「分かりました!」と返事が返ってきてホッとする。

夜は全自動アイスクリーム製造機を作っておくことになりそうだな。

業務用は今のスキルでも作れるようだし問題はないだろう。

それにアイスを乗せるコーンも作れるようだ。

一々皿を用意しなくてもいいのは大きい。



「移動販売もこれで出来るようになるだろう。値段は微々たるものだが、シュノベザール王国にはこれだけ優れたものがあると言う宣伝にもなる」

「宣伝は大事ですからね」

「まだ他国には冷凍の技術がない。その辺りが一歩進んでいる事も宣伝になる。牛乳がある程度取れる迄は作れないが、ドンドン作って売りに出そう」

「他国には魔道具は売らないので?」

「今の所売る予定はないな。王家から依頼がくれば高いが売りには出すだろうが」

「高いんですね……」

「バランドス王国なら大事な弟がいるから安くしよう」

「ありがとう御座います!!」



後はやはり燻製だろう。

燻製用の店も欲しいし、やるべき事は一気に増えた。



「後は燻製用の店も用意しないとな……肉はネバリ王国からの輸入に今は頼る事になるから高くなるが、美味いぞ?」

「ネバリ王国では肉は沢山あるそうですからね。ドンドン輸入していいと思います」

「その分輸出で燻製を売ると言うのもありか。楽しみが増えるな。燻製用に人員は雇うが、商業ギルドから身元のシッカリしたものを雇おう。サファール宰相、商業ギルドに連絡を」

「畏まりました」



そこまで話が纏まり、書類整理をしながら一日が終わる。

一日が終わればまずは箱庭にて業務用燻製器を【ロストテクノロジー】で作って行く。

個数としては多めに作って一先ず30個。あの場所の広さならもう30は余裕でおけそうだ。

木材チップは中の小さな小屋に入れて置けば問題はない。


それを持って明かりのついた元魔法棟の広場に業務用燻製器を並べて行き、うち二つに箱庭で用意したソーセージやベーコンと言った物を吊るしてチップを焚く。

一夜燻して煙が浸透したら出来上がりだが、朝見に来て燻されていたら箱庭に戻って冷蔵庫で保管だ。


これで成功すればアツシ様に連絡して拠点でまずは食べて貰おう。

そう思いつつ警備のモノに火を消さないように伝え、一応盗み食い等はないと思うが警備して欲しいと伝えてから部屋に戻り、風呂に入ってから疲れを癒し、眠りについた次の日――。



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