第33話 国民食にもなった【かき氷】と、氷を沢山持つ事での裕福さをアピールする貴族たち。

シュノベザール王国では氷はとても高い。

それを俺が【ロストテクノロジー】を使い氷の魔石を大量消費するものの、リゼルに作って貰っている為殆ど原価無しで美味しい水で作っているのだから、かき氷屋をする孤児院の子供達や、その子供たちの手伝いをする老人ホームからきたシルバー人材センターの方々は、今やシュノベザール王国のいろんな場所でかき氷を売っている。


無論、貴族ですらやってくることはあるが、国営と言う事もあって「かき氷を作る機械を売れ」や「氷を売れ」と言う輩は多少なりといても、「シュライ様に許可を頂かねばなりませんなぁ」とお年寄りが言えば苦虫を食む顔でいなくなるという。


散々馬鹿にしてきた王太子が、まさかこういうことをするとは思わなかっただろう。

ましてや【天候を操る程度の能力】だけかと思いきや【ロストテクノロジー】まで持っていたとなれば貴族たちも話が違ってくる。

何としてでも繋がりを持っていなくてはならなかったのは、当時の王よりも俺だったと今更ながらに気づいても遅いのだ。


散々馬鹿にしてきた貴族など顔面蒼白らしい。

【学園に来ていない無能王子】が、まさか超レア中のレアである【ロストテクノロジー】持ちとは思わなかっただろう。

無論、テリサバース教会には自分に生えてきたスキルを報告した。

だが、一国の王と言う事もあり保護云々は出来ないのだと悟ったらしく、丁寧な文面で「そちらにテリサバース教会に神父の派遣を」と言われた為断りを二度入れた。

と言うのも、「神々の島よりテリサバース教会の神父夫婦が来る予定なので結構です」と送ったのだ。

大事な事である。

無論総本山のテリサバース教会は驚いていたが、「友好国ですので」と伝えると更に驚かれた。

どうやらテリサバース教会は神々の島とは友好を深められなかったらしい。



それからアツシ様より砂糖をふんだんに輸入すると、更に冬の国ダングル王国からイチゴ等の甘味も冷凍で輸入し、イチゴシロップを子供達に作って貰った。

孤児院は一つではない。

3か所あったので、3か所の孤児院の子供達を借りたのだ。

無論火を使う為、シルバー人材センターのお年寄りにも手伝って貰う。


こうして第二陣の【ただの氷のかき氷】だけではなく【果物シロップのかき氷】が少し値段高めで売られるようになると、たちまち国民に広がった。

第三弾のアイスキャンディーは現在試作段階だ。

美味しい自国の果物で作りたいと言うのがあって、色々悩んでいる最中である。

目下、俺がだが。



「桜チップにリンゴチップと、色々と指定していた木材は集められたようだな」

「しかし、このチップがあれば本当に美味しい食べ物が出来るのでしょうか?」

「出来るが、問題は肉なんだよなぁ……」

「その為にはやはり箱庭師の箱庭で乳牛や肉となる牛、その他の家畜が必要となるのですね?」

「そうだな……手っ取り早く輸入すると言う手もあるが、追加でネバリ王国から今度チーズとソーセージ等を輸入するか……。一番欲しいのは肉となる個体だが商隊部門大臣ラディリアに向かわせている所だ」



一応ザーバン商隊には鶏や乳牛は入らないだろうかと言う問い合わせはしている。

アイスクリームを作るのに欲しいからだ。

すると、一頭当たり高かったが、乳牛5頭と種牛、鶏のオスメス5羽ずつを購入する事は出来た。

これから増やしていくとなると大変だが、箱庭師の箱庭に期待しよう。

オスとメスとで分けねばならないが、それはそれだな。

国営でドンドン増やしていきたい所だ。


そんな事を平和に思っていた矢先、貴族連中から嘆願書が届いた。

氷の販売権を求める嘆願書だった。

しかし、氷を作れるのは俺の箱庭の中だけ。外には決して出していない。

その嘆願書に関しては、【王族だけが氷を持つのは不公平である】と書かれていた為、ならば【氷を売る店を作ってやろう】と言う事になった。無論守銭奴と思われただろうが、ロストテクノロジーのアイテムを貴族連中にタダで渡すつもりは毛頭ない。


そこで、少しでも冷えるように木材と石で作られた建物を建設させ、そこに大型冷凍庫を用意すると、初めて見る冷凍庫に兵士もサファール宰相も驚いていたが、そこに無造作に氷を並べて行き、貴族用の店なので氷は銀貨10枚とした。

まぁ、元はタダである。

それでも十分安いし、持ち帰る最の冷える道具がない以上溶けるのは早い。

それならば銀貨10枚で良いだろうとなったのだ。

ちょっとした嫌がらせでもある。

その隣に同じ建物で貴族用のかき氷屋を作り、そこには商業ギルドで雇った店員を置いて販売させると、貴族は氷が無くなる前にと殺到して買い漁り、後に【氷を贅沢に使っている貴族はお金に余裕がある貴族である】と言う風潮が生まれてくるのだが、それは知った事ではない。

無論家でかき氷を食べたいと言う貴族も多かったが、手回しかき氷器を売る気はなかった為却下した事もあり、連日貴族用のかき氷屋は繁盛した。



「半分聞き入れ、半分は無視して、金を搾取する。貴族連中にはそれでいい。今まで散々馬鹿にしてきた事を悔やむがいい」

「シュライ様をトコトン馬鹿にしていましたからね」

「今更擦り寄ってこようと言うのが可笑しいんですよ」



とは言え、リゼルにはとても感謝している。

氷を作る為に大量の氷の魔石を用意してくれるし、何だったら氷の魔石だけで大の麻袋30個分はある。

年間にすれば3年分だ。


さらに言えば砂糖や料理を作る者たちの為に火の魔石も各場所に1年分ずつ置いてある。

お陰で魔石商を呼ぶのは基本的に国民の為、貴族の為と言う感じになったが、城や箱庭関係では本当にリゼル一人で賄っているようなものなのだ。

今度リゼルを労わらねば――そう思っていた時、第一陣の試作品であるドライフルーツチップスとドライ野菜チップスが出来上がってきたのである。



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