第44話

「カースダンジョンだって⁉」


 ダンジョンバトル開始宣言直後、それを聞いていたジェノルムが驚き、大きな声で言った。


「有名なんですか?」


「Aランク以上推奨の高難易度ダンジョンだ。百年前に出現してから、今まで誰一人ダンジョンマスターの元へたどり着けてない」


 Aランク以上ってことは超一流の冒険者しか挑むことすら許されないダンジョンなのか。


 田舎で一般人の生命力チューチュー吸ってたから俺と同じく力のない新人かと思ってたが、想像以上の大物だったんだな。


「カースダンジョンってことは呪いを使うモンスターが多いってことか」


 そういえばタッタリー村の虎も呪いか。


「ああ。呪いは闇属性の魔法だ。だから光属性に弱い。逆もしかりだが」


 それじゃあ基本戦術は、盾役のオリハルコンスライムに守らせた光属性のスクロールを食わせたマジックスライムによるチクチク攻撃にしよう。

 今のダンジョンの防衛状況はこうだ。


 まずここ、コアルームは店ごとダンジョン壁はコアへの道を完全に閉じようとすると、エラーになって設置できなかったため、ウォールスライムで隠してある。


 ウォールスライムは無臭なので匂いでバレることはない。

 テレポートゲートでの脱出経路もあるので最悪バレても問題無い。


「おいおい、モンスターがなだれ込んで来てるぞ。大丈夫なのか⁉」



 そして俺のダンジョンには世界中にいくつもの入り口がある。

 こういった場合、モンスターはランダムにそれぞれの入り口へ飛ばされて、一度自分のダンジョンに戻ったとしても、一度入った入り口からスタートになる。


 ジェノルムは驚いているが、実際はこの数十倍のモンスターが俺のダンジョンへ入り込んでいるだろう。

 だが狼狽えることはない。これは敵戦力の分散だ。


 各ダンジョンの第一迷路前のテレポートゲートは機能を停止してあるから、モンスターたちは数十分の一の戦力で、それぞれの第一迷路を攻略しなければならない。


 モンスターの配置も冒険者相手の接待配置じゃないから、少なくとも第二迷路に続くテレポートゲートまで数週間はかかるだろう。

 そのまで説明すると、ジェノルムは安心したように頷いた。


「敵を各個撃破するってことだな」


「ああ。第二迷路へたどり着くまでに何匹残ってるかな」


 俺は、ダンジョンの全体マップに映る敵を示す赤いドットを見てニヤリと笑った。







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