(三)-12

「今度は誰か」

 幸恵が「はーい」と声を上げると、スプレーの噴霧作業を一時中止して部屋を出た。

 すると、高井戸と年配の男性が部屋に入ってきた。それに続けて修一と美幸、そして幸恵も入ってきた。

 男性は部屋に入るなり、急に顔をしかめて鼻をつまんだ。しかし、左手ではビニール袋に入った日本酒の瓶をテーブルの横に置いた。

「皆さん、何をしてらしたのですか。それとこれ、お土産です」

「大前君、久しぶりだねえ」

 神の顔がほころんだ。

「お久しぶりです。もう電話来ましたでしょう」

「電話? いや、まだだが」


(続く)

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