(二)-15
それを聞いて「あ、私もエビチリ! 招来軒のって、海老が大きくて美味しいからね」と続けた。
「そうれじゃあ、エビチリを二皿、いや三皿お願いできますか」
「エビチリ三皿ね。他はいいんですかい? せっかくですし」
「ええ、それで」
神が電話越しに返事するやいなや、修一と美幸は「やったな」「やったわね」と互いに見合ってハイタッチした。
そのタイミングで、幸恵が部屋に入ってきてテーブルの前に座って、「あらあら、仲がいいわね」と置いてあった自分の湯飲みから一口お茶を飲んだ。
一堂は笑った。
そんな笑い声のこだまを遮断したのは、またしても玄関のチャイム音であった。
(続く)
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