(二)-11

 期待していた知らせではなかったことを悟り、一堂はため息をついた。

 するとその直後に、今度は再び携帯電話の電子音が鳴った。

「おっと、失礼」

 高井戸がポケットから携帯を取り出した。「大前明編集長」と液晶画面に表示されていた。高井戸はすぐに通話ボタンを押して「もしもし」と応答した。

「俺だ。今どこだ」

 高井戸の耳には低い男性の声が聞こえた。その声は、周囲の三人にも、かすかだが漏れ聞こえていた。

「編集長! 今、神先生のお宅にお邪魔しています」


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る