(二)-5

 そう言い残してすぐに幸恵はキッチンへ引き返した。

「そういえば、去年も同じように電話を待ちましたねえ、神先生」

「去年だけではない。このところ毎年だ」

 高井戸の言葉に「神先生」である福永修司はそう応えた。

「もう五回目だったっけか」

「六回目でしょ」

 修一と美幸が言ったあと、キッチンから戻ってきた幸恵が、持ってきた小皿をテーブルに置きながら「七回目ですよ」と答えた。

 それに対して、「神先生」は「うむ」と頷いた。


(続く)

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