第34話 ボクに乗らないで(レオポルト)
ボクは大勢の兄弟に囲まれて育った、兄弟達はボクが“オモチャをよこせ”と言えば差し出したし、
“木のぼりしてみろ”と言えば女の子でもサルみたいに木に登った、
ボクは子供部屋の王様だ、歳上の兄様や姉様でもボクの家来だった。
どうしてボクが王様で、他の兄弟が家来なのかは、年齢が二桁になり
“しょし”と言う言葉の意味が分かる様になってから、
母上のお腹から産まれたのはボクだけ、他の兄弟達はめかけの子だとメイドに教えてもらった、
母上はボクを産んでしばらくして高いところに旅立ってしまったそうだ。
◇
12歳の誕生日に悪い夢を見た、その日は朝からご馳走、庶子の兄弟達にも美味しい料理が振舞われた、
そしてボクは正装をして神殿に向かった、白いケープを着た神殿主がボクに魔力溜まりが有るかどうかを見てくれて、その後は魔道を開いてもらった、
これでボクも貴族の仲間入りさ、平民でも魔法の使える人はいる、だけど魔力溜まりの大きさが全然違うよ、
更にボクは“隷属のスキル”と言う力まで授かった、自分より格下の相手に意思を強要出来る力、
後は術式を覚えれば色々な事が出来るようになる、良いスキルも貰ったし、もしかしたら爵位が貰えるかも、
お祖父さんの代で爵位が無くなったアルトナー家が貴族社会に復帰出来るかもしれない、
神殿を出る時にはボクは有頂天だった。
「お帰りなさいませ、レオポルト様」
可愛らしい女の子がボクを出迎えてくれた、幼馴染みのヒルベルタ、黄金色の髪の子とはヒルデ、レオ君と呼びあう仲。
その日は関係者を招いてボクのお披露目の食事会だった。
そんなヒルデ達ブシュケッター家の人達が帰るとボクは父上の部屋に通された、
「レオポルト、ヒルベルタ嬢は気に入っているか?」
「はい、とっても良い子です」
「そうか、あの子はお前の許嫁だ、将来結婚する仲と言った方が分かり易いか」
正直12歳のボクに結婚なんて良く分からない大人の話だよ、だけどヒルデと一緒にいられるなら良い事だよね、
「お前も今日から大人の仲間入りをしたのだ、早いうちに貴族の義務を経験しておけ、最初はブサイクだが経験豊富な者が相手だぞ、
情が移らん者を用意してある、大人になって来い」
正直に言うと父上が何を言っているのかよく分からなかった、だけど部屋に帰ると下働きの醜女が待っていた、
「坊ちゃま、お帰りなさいませ、わたくしヘノベバが坊ちゃまの筆おろしをさせて頂きます」
そう言うとスルスルと裸になった、目の前にはダラリと垂れて左右に広がったオッパイ、お腹は段になってシワが寄っているし脚なんて丸太みたいだ、
「さぁさぁ、お坊ちゃま、どうぞ」
そう言ってボクの服を脱がす醜女、ボクは必死に抵抗するけど下働きをしているだけあって力持だ、
そのままベッドに押し倒されたけどボクはウヮンウヮン泣いてどうなったか覚えていない。
◇
あの日を境にボクは子供部屋に行かなくなった、時々ヒルデが遊びに来るけど以前みたく子犬の様に遊んだりしないで、お茶を飲みながら話をするだけ、ヒルデはボクの興味のありそうな話題をいっぱい話してくれるのだけど、上の空で返事をするだけ、
“早く帰ってくれないかな? 術式の本が読みかけなんだけど”
そう心の中で呟いていたよ。
唯一の心のより所は勉強、術式の勉強は面白い、魔法陣みたいな複雑な回路を描いて魔力を流すと色々な事が出来る、もちろん術式なんて使わないで大雨を降らせたり、雷を落としたり出来る人もいるけど、ボクは術式の方が好きさ。
14歳になったボクに父上が、
“お前はわたしの稼業を継げ、これからは商人として生きる術を学べ”
そう言って奴隷商人の道を歩く事になった。
平民からは嫌われ、本物の貴族からは蔑まれる奴隷商人、しばらくは父上の商会で修業をして無理やり独立させられた、
もちろんボク一人では何も出来ないからオスヴァルトやサン・ホセ達をつけてくれたけどね、
奴隷と言っても筋肉ムキムキの戦闘奴隷なんて買いたくない、あいつらは力コブの大きさで人間の価値が決まると思っているバカ共だ、
一般奴隷も基本男ばかりで何となく嫌なので残っているのは性奴隷、12の誕生日の夜から大人の女を見るのが怖くなったボクだけど、
術式を使えばブサイク娘でも美人に出来るし、他に選択肢は無い。
初めての買い取り遠征で偶然三人の女を助けてそのまま商会の奴隷にした、ビアンカとミヤビは大人の女だ、単なる商品だけど、カタリーナは別だ、小さい子はボクに乗ってこようとしないから安心出来る。
単なる商品だと思っていたミヤビは教育がある、家庭教師ではなく学校に長い間通っていたそうだ、そんな彼女だからあっという間に奴隷商会の中枢に入り込み、仕切るようになってきた、
最初はボクの商会なのに、と思っていたけど、ミヤビの実務能力にはかなわない。
面倒な事は全部ミヤビに任せてボクは術式でも描いていればいいや、そんな気分になって来た時、奴隷オークションでミーアと言う小さい子を手に入れた。
ミヤビはミーアの教育をボクに任せてくれた、
本読みを教えてあげたり、計算の練習をしたり、時々ボールで遊んだりもしたよ、
近くに来ると甘くて良い香りがするミーアと一緒にいられればボクは幸せさ。
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