14.公衆電話

深夜の公衆電話は

もの淋し気で

それでも釈然と立っていた


よくここで

大好きなひとと待ち合わせをしていた

彼は公衆電話の先に車を停めて


あの頃のわたしは

彼に早く会いたくて

その場所まで走りながら向かうけれど

公衆電話から見える角を曲がると歩くんだ


―どうして、走ってきたの?

そう訊かれないように

その理由を言わなくても いいように

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