デジタルネイチャーサミットの翌日、帰宅した後、みいこは自室の薄暗がりの中で、ひとり深く沈んでいた。サミットでの経験が彼女にもたらしたものは、新たな知見や刺激だけではなかった。それは、自己の内面と直面するきっかけとなり、彼女の心に重い疑問を投げかけていた。

「VTuberとしての活動は、ただの自己満足にすぎないんじゃないか。」彼女は自分の心に問いかけた。デジタル世界での彼女の存在は、醜い自分を繕い、現実から逃避する手段に過ぎないのではないかという考えが、彼女を苦しめていた。自分の容姿に対するコンプレックスから逃れるため、バーチャルなアバターに自分を重ね、完璧な存在として振る舞うこと。それは真の自己実現なのか、それとも単なる偽りの自己満足なのか。

サミットで出会ったyoichiの情熱的な姿勢は、みいこにとって鏡のような存在だった。彼が自然保護という大きな目的のために、どれほど真剣に取り組んでいるかを見て、彼女は自分自身の活動を振り返らざるを得なかった。自分がVTuberとして行なってきたことは、本当に価値あることなのだろうか。デジタルネイチャーという新たなテーマに触れたことで、さらにその疑問は深まるばかりだった。

彼女は、自分が提供するエンターテイメントが、人々に一時的な楽しみを与えることはできても、それが本当の意味で世界や他人に貢献しているとは言えないのではないかと感じていた。自分の中の空虚感と、活動の意義を見出せないもどかしさが、みいこを深い迷いに陥れていた。

長い夜、みいこは自己との対話を続けた。彼女の心は、自己満足と自己否定の間で揺れ動いていた。サミットで感じた刺激とyoichiとの出会いが、この先彼女の活動にどのような影響を与えるのか、その答えはまだ見つからないままだった。しかし、この苦悩の中で彼女が見つけようとしていたのは、自分自身の真の価値と、VTuberとしての活動に新たな意味を見出すことだった。