視聴者投稿動画



 匿名希望


 これは、友人が旅行で山登りをした際に撮ったものです。友人は帰ってきてから、部屋にひきこもって出てきません。

 映像に何か理由があると、繰り返し見ました。そこでわたしh



 ――――



「いえーい、今日は二人で山登りに来てまーす」

「おいおい、今撮るのかよ。危ないぞ」

「大丈夫大丈夫、ちゃんと気をつけるから。それにしても穴場なだけあって、全然人いないね。道だって、そこまで舗装されてるわけじゃないし」

「人が多いところは嫌だって言ったのはお前だろ。有名なところは平日だって混むんだから、こういう寂れた山じゃないと」

「もう、別に文句言ってるわけじゃないよ。よく見つけてくれたって思ってるの。空気が澄んでておいしー!」

「はしゃぎすぎ。……このペースで行けば、昼までには頂上に着くな。そこで飯にするか」

「やったあ。腕によりをかけてお弁当を作ったから、楽しみにしててね」

「食えるものだろうな?」

「当たり前でしょ! ……あら、なんか落ちてる。看板かな。なんか書いてある」

「確かに、なんか書いてあるけど読めないな。村?」

「へー、村があったんだ。でも、きっともう無くなってるよね。……きゃ!」

「どうした?」

「……誰かが遠くにいた気がして。でも気のせいだったみたい」

「そうだな。こんなところに人が来るわけが無い」

「……こんなところ? こんなところって何? なんかあるの?」

「い、いやあ……少しいわくつき、みたいな?」

「はああ!?  なにそれ!」

「い、いわくつきって言っても、呪われて廃村になったとか、そういう作り話みたいな感じだって。別に何も無いだろ?」

「……帰る」

「はっ? 帰るって、せっかくここまで来たのに帰るのかよ?」

「こんなところに、もういたくない。一人で頂上に行けば?」

「お、おい。待てってば。……うわぁ!?」

「はいはい。またからかってるんでしょ」

「ち、違う。逃げるぞっ、早く」

「きゃっ、な、何よ? 何があったって言うの?」

「着物の子供がいたんだ!」

「別に近所の子でしょ。そんな焦らなくても」

「あれはおかしいって! なんか変なお面付けてたし!」

「で、でもっ」

「はあ、はっ……ここまで来たら大丈夫か。着いてきてないみたいだな」

「……ねえ、逃げて良かったの? 困ってたかもよ」

「……いや、そういう感じじゃない。あれは駄目な奴だ」

「駄目な奴って………………もしかして、白い着物の子?」

「そうだけど。う、うわあああああ!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る