実録・霊感少女は実在した!?


 Мちゃん十二歳。見た目は可愛らしく、普通の子と変わらない少女。しかし彼女は、強大な力を秘めている。


「ちょっとだけ見えるの」


 我々の取材に対して、Мちゃんはそう答えた。彼女には何が見えているのか。我々は深く掘り下げることにした。



 Q:何が見えているの?

 A:分からないけど、たぶん良くないもの。


 Q:良くないものって、具体的には?

 A:答えられない。その時によって、形が違う。


 Q:何か酷いことされたりした?

 A:まだ、されてない。でも……


 Q:でも?

 A:きっと、私は……それに……いやっ!


 突然、Мちゃんが取り乱してしまったため、一旦取材を中断する。

 母親のAさんが出てきて、彼女を落ち着かせる。落ち着くまでの間、Aさんと話をすることに。


 Aさんは故郷を離れ、女手一つでМちゃんを育ててきたらしい。なぜ離れたか問うと、少し迷った後に答えた。


「あそこは閉鎖的で、子供を育てるのに最適な環境ではなかったから」


 いつからМちゃんに不思議な力が現れたのか、彼女が見えているものは何か、他に能力を持っていないのか。我々は質問を重ねる。


「……生まれた時から特別な存在だった。こうなるのは決まっていたことなの。私にだってМに見えているものは分からない。……地獄に似た何かかしらね。あの子の言う通り、決していいものじゃないことだけは確かよ。他の力……見えるだけじゃなく聞こえているはず。私には教えないけど、そんなことを言う時があるし」


 見えるだけじゃなく聞こえる。

 まだМちゃんの力を目の当たりに出来ていない我々には、にわかに信じ難い話であった。

 彼女の話を聞いたが、まだ信じるに足る証拠はない。


 Мちゃんの体調が優れないため、この日は取材を中止することとなった。

 収穫もなく、お蔵入りかと考えていた中、母親に連れられて帰ろうとしたМちゃんが、スタッフの一人を指した。


「手と足」


 それだけ言うと、後は何も言わず帰っていった。



 ――数日後、我々の元に一報が入った。

 Мちゃんによって指されたスタッフが、事故に遭ったという知らせだった。

 工場で取材中、機械に巻き込まれた。通常であれば作動するはずの安全センサーが、何故か動かなかったのだ。

 この事故でスタッフは、右腕と右足を失った。奇しくも、Мちゃんによって指された場所だった。


 これがМちゃんの能力か、それとも偶然か。

 我々はさらなる検証を行いたかったが、その後Aさんと連絡が取れなくなってしまう。近所の方によると、急に夜逃げのようにいなくなってしまったらしい。


 しばらく調査を行ったが、Мちゃんの行方は分からず、彼女の力が本物だったか永遠に分からずじまいになった。


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