春の風が君の髪を膨らませる

 桜の木のように満開な笑顔を見せて

 君は呟いた

 

 振り向く君の顔が歪んで見えたのは

 揺れる花びらが教えてくれた

 別れの言葉が空に消える瞬間


 君のなびく髪に思い出が香った

 斑に落ちた影

 踏みつけ君は陽の束へ歩き出す


 さよならを言わされた声が

 僕は嘘だと知っていた


 嘘つきで助けを呼んだのは

 弱いままの君だよ

 

 それでも君がいいよ

 追いかけ君の唇に朱をさした

 

 春の日差し

 小鳥の歌

 太陽のぬくもりに包まれて

 花弁は気を使って散らないでいてくれる


 弱さを見せない手負いのライオン

 少し休んだら

 また噛みついておいで


―――


 もらったお題「春」

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