第38話 シャロリアとお姫様
私、エリム
今日も授業が終わり下校しようとする。
「エリム、すみません」
同級生のシャロリアが話しかけてきた。
シャロリアはお姫様だ。
「どうしたの?」
「また私の家に泊まりに来ませんか?」
シャロリアから家に招待された。
シャロリアの家には以前、泊まったことがあるが、かなり良い家だったので誘ってくれるのであれば是非ともまた泊まってみたい。
「泊まりたい!」
「では、授業が終わり準備ができましたら私の家に来てください」
「はーい」
シャロリアと約束をしたので授業が終わり帰宅後、泊まりに行く道具など準備をしてから玄関の前に立った。
「じゃあイリス、行ってくるね」
「行ってらっしゃいませ。ご主人様」
イリスにそう伝えて私はシャロリアの家にまで足を運んだ。
「エリム、いらっしゃい」
シャロリアが待ってくれていた。
相変わらず豪華な家に住んでるので辺りを見渡しながらシャロリアの方に進んだ。
「今日はよろしくお願いします。2人で楽しみましょうね」
「うんっ!」
この豪華な家に泊まれるだけでもテンションが上がるのに、その上可愛いお姫様のシャロリアがいるので更にテンションが上がる。
「では、こちらに」
シャロリアに案内されて部屋にまで行く。
ここはシャロリアの自室だ。
以前、来たことがあるので分かる。
「やっぱり良い部屋だよね。ここ。まさにお姫様の部屋!って感じがするよ」
私は部屋を見渡しながらシャロリアの自室を褒めた。
家具とか高そうだしベッドも寝心地が良くなる様に作られているので自室に入っただけでも褒めたくなる。
「ありがとうございます...部屋だけでも褒めていただけるなんてやはりエリムはいいお方ですね」
褒めるとシャロリアがこうやって照れるので尚更だ。
シャロリアはどんな表情をしても可愛いが照れるシャロリアは特に可愛い。
これだけでも生きる気力になれるぐらいに。
「そう?いいお方なんて嬉しいな...ありがとう」
「えぇ...では、エリム。これで一緒に遊びましょう」
「ボードゲーム!やろっか」
シャロリアと以前も一緒に遊んだボードゲームで遊んだ。
シャロリアは楽しそうに遊ぶのでただ遊ぶだけでも楽しいが、そんなシャロリアを見ているとより一層楽しくなってくる。
「シャロリア様、お食事ができました。エリム様もどうぞ」
遊び終わった丁度のタイミングでシャロリアのメイドが出てきて料理の完成を報告してくる。
「では、丁度良いところですし一緒に食べに行きましょう」
「そうだね」
私とシャロリアはメイドに案内されてついて行く。
「こちらです」
出てきた料理はなんと豪華なことやら。
「やっぱり美味しそ〜いただきますっ」
「はい。いただきます」
私とシャロリアは料理を食べる。
味は流石はお姫様が普段食べているなだけあって美味しい。
「美味しかった〜ご馳走様でした」
「はい。ご馳走様でした」
そして私とシャロリアは食べ終える。
「では、お風呂に入りましょうか」
「そうだね」
食べ終わったので私とシャロリアは大浴場に行く。
「やっぱり広い!」
「ふふ...」
シャロリアの家の大浴場は相変わらず広い。
見ただけで声が出てしまうぐらいだ。
「お背中、流しますよ」
「ありがとう。助かるよ」
シャロリアが背中を流してくれるとのことで後ろを向く。
「エリム、どうですか?」
「なんか良く洗われてる感じして凄く良いよ!」
シャロリアは背中を流すのが上手だ。
なので聞かれれば正直に答える。
「ありがとうございます...」
で、お湯で流してもらう。
「次は私がやるね」
「ありがとうございます」
次は私がシャロリアの背中を洗う。
「どう?私は?」
「お上手ですね」
「ありがとう〜」
私は自分の家でメイドのイリスの背中を洗ってあげたりすることがあるので自信はあったが、こうして褒めてもらえると嬉しくなる。
「流すよ〜」
そしてお湯で流す。
「ありがとうございます」
「じゃあ体も洗ったし入ろっか」
「はい」
私もシャロリアも体を洗い終えたので入浴する。
「ふ〜あったまる〜」
「そうですね」
私とシャロリアは湯船につかる。
「エリム、そういえば進路は決まりましたか?」
「それがまだなんだよね...」
シャロリアも聞いてきたか。
実際、私の進路はまだ決まっていないのでどうしようかまだ迷っている。
「シャロリアは?シャロリアはどうするか決まったの?」
私はまだ決まっていないが、シャロリアは決まったかどうかが気になるので聞いてみる。
「私はそのまま姫を続けますよ。街を見守る姫として...」
「あーそうだね」
シャロリアに関しては聞く意味がないに等しい。
元からお姫様なのだ。
私とは話が違う。
「私は...何しようかなー...そもそも私ってなんだろう...」
考えていたら考えが私とは何か?にまで辿り着いてしまった。
「エリムはエリムですよ。誰にでも優しく接していつも元気で一緒にいると楽しくなる...そんないいお方こそがエリムです」
「そっか〜...」
シャロリアが言うほど私はいいお方だろうか?
でもお姫様のシャロリアが言うぐらいだし、信じよう。
「エリム、貴方もお姫様になりませんか?」
「私も!?」
まさかのシャロリアからとんでもない案を出された。
でも今、シャロリアがお姫様なのに私がなって良いのだろうか?
「シャロリアは?シャロリアはどうするの?」
「エリムがお姫様になった場合、私とエリムとで2人でお姫様として存在する形になりますので大丈夫です」
「2人でお姫様かー...」
2人でお姫様をする発想は私にはなかった。
確かにそれならシャロリアはお姫様を続けられるし、私もお姫様になることができる。
「エリムならきっと綺麗なお姫様になれますよ。私はエリムはきっとお姫様になれると信じております」
「ありがとう...ちょっと考えさせて...」
本来私は何処にでもいる普通の会社員として生き続けるはずだったのにこの世界に来てお姫様になるなんて話が壮大すぎて今じゃまだついていけない。
なので将来の考えの内には入れてはおくけれどすぐには決めないでおく。
「分かりました。エリムはエリムです。エリムの将来の話ですのでこの先の未来は貴方が決めてください。私はどんなエリムになっても応援し続けますので」
「シャロリアはいい子だね...ありがとう。そろそろちゃんと答えを出すよ...」
シャロリアは私がどんな未来を決めたとしても応援し続けてくれるいい子だ。
だからこそしっかりと決めよう。
「エリム、お風呂から上がったらドレス、着てみませんか?」
「あ、いいね。着る」
「決まりです」
シャロリアから入浴後のドレスの着用を提案された。
ドレスは着たいのでシャロリアの話に乗る。
そして入浴を終えて更衣室に行く。
「まぁ...エリム、綺麗です」
私とシャロリアはドレスに着替えた。
着ただけでシャロリアは私を真剣に見てくる。
「ありがとう。ちょっとこんなのも...」
ここでお姫様らしいポーズを幾つかとる。
「あぁ...エリム、本物のお姫様みたいですよ...」
「本物っぽいかな?あんまり自覚はないけど...」
「はい。エリムはお姫様と言われても皆が信じるぐらい今のエリムはお姫様みたいです。自信を持ってください」
本物のお姫様みたいと言われてしまえば私自身、自覚はないが現にお姫様のシャロリアがそう言うのだからそうなのだろう。
自分を信じよう。
「ありがとう。じゃあ自身持つね」
「はい」
シャロリアは私に抱きついてきた。
「何さ〜?」
「ついエリムが可愛くて...嫌でしたか?」
シャロリアが抱きつきながら私を潤いの瞳で見つめてくる。
嫌じゃないしシャロリアなら寧ろ抱きついてきてほしいぐらいだ。
「嫌じゃないよ。嬉しいよ」
「ありがとうございます。ではもう暫くはこうさせてください...」
「分かりましたよ。シャロリア姫」
「もっ...エリム姫ったら...」
お姫様ごっこをしながら私とシャロリアはお泊まりの夜を楽しんだ。
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