第31話 ベルリスと夏祭り
私、エリム
今日も授業が終わり、帰る。
「あれは?」
帰り道、見覚えのある人物を見かける。
「ベルリスだ。見回り中?」
「あぁ。だが、もうそろそろ終わる」
「そうなの?どうして?」
まだ明るいのに見回りが終わるのは珍しいと思い、どうしてなのかをベルリスの聞いてみる。
「あぁ。今日は夏祭りだろう?騎士も夏祭りは楽しんで良いと決まっている。悪い奴もモンスターも何故か夏祭りの日は大人しいのだ。多分、遊んでるだろう」
「へぇ…あぁでも確かに今日は夏祭りだね」
ベルリスの見回りが早く終わる理由から今日が夏祭りなのを思い出した。
「エリムは行くのか?」
「どうしよう…」
今、思い出したのもあるが夏祭りに行くかどうかで悩む。
「ベルリスは?」
「悩んでる」
ベルリスも悩んでいるらしい。
「それならさ?一緒にどう?」
せっかくだしベルリスを誘ってみる。
「私とか?同級生とかじゃなくて良いのか?」
ベルリスは疑問を持ったからか私に聞いてくる。
「大丈夫だよ。あいにく違う子と行くって前言ってたし」
思い出したが、ジェシカはミシェルやシェシカと行くみたいだし、シャロリアは別のお祭りに参加するみたいなので今、誘うならベルリスが1番良い。
「では…行こう!」
ベルリスは話に乗ってくれた。
「うんっ。そうそう…私、家にあるから浴衣着て行こうかな?ベルリスは?持ってる?」
「実は持ってる。着てこう」
せっかくだし浴衣を着て行きたい。
ベルリスも着るみたいなので楽しみだ。
「じゃあ入口のところで待ち合わせね」
「あぁ。分かった」
ベルリスと待ち合わせの約束をした。
そして
「ベルリスどこだろうな?」
私は浴衣を着てベルリスが来るのを待っていた。
「来たぞ」
「ベルリス!」
ベルリスの声が聞こえたので振り向いた。
「どうだ…?似合ってるか?」
かなり似合ってる。
というか顔自体可愛いのにその上に浴衣を着たのでかなりの美女だ。
「すご…ただ似合ってるとかそういう次元の話じゃないよ…」
「そんなに褒める程の話か…?」
「うんっ!そんなに褒める程の話!」
ベルリス本人は褒められたことに疑問を持ったみたいだが、実際に言うと褒めたい話なので褒める。
「感謝する...では、屋台に行こう」
「そうだね。行こっか」
立ち話の楽しいが、屋台も気になるので屋台を回ることにする。
「あれ...食べたい」
ベルリスはたこ焼きの屋台を指差した。
「食べよっか!」
この前の海でみたビッグオクトパスを思い出しそうになるが、一旦それは忘れてたこ焼きの味を味わうとしよう。
で、私とベルリスはたこ焼きを購入する。
「では...」
ベルリスはたこ焼きを口する。
「味が良い」
ベルリスは美味しそうに食べている。
よし。せっかくなのであれをベルリスにやってみよう。
「ベルリス、こっち向いて」
「なんだ?」
ベルリスは私の方を向いてきた。
「はい。ベルリス、あーん」
たこ焼きをベルリスの口元に運ぶ。
私がよくジェシカにしてもらうこれだ。
私からもやってみたかったのでベルリスにやってみる。
「あ、あーん」
ベルリスは恥ずかしそうにしながらたこ焼きを口にする。
「あーむっ」
美味しそうにベルリスは食べてくれる。
この姿がまた可愛い。
たまらない。
「エリムにもしてあげるぞ!」
「私にも?じゃあ」
ベルリスも同じことをやってくれるみたいなので私は口を開ける。
「あ、あ、あ、あーん...」
ベルリスはかなり緊張している。
「大丈夫!?」
私はベルリスを心配する。
「大丈夫だ!」
仕方がないので私は自分からベルリスの方に来て。
「ぱく」
ベルリスが食べさせてあげようとしたたこ焼きを口にする。
「す...すまない...」
「大丈夫だよ。美味し〜」
その後、私とベルリスは色々な屋台を見回り、夏祭りを楽しんだ。
そして
「エリム、そろそろ帰るか?」
「待って。花火見てから帰ろう」
帰る前に花火が打ち上がるみたいなので、それを見てから帰ろうとした。
「よし、見て行こう」
で、ベルリスと一緒に見やすそうな場所をとった。
「よし、見るよ」
「あぁ」
私はベルリスの隣で花火が打ち上がるのを待った。
そして
「上がったよ!」
花火が打ちがった。
「おぉ。綺麗だな」
ベルリスも花火を見ている。
「エリム、私を誘ってくれたのを感謝する。最高の思い出になった」
「こっちこそ一緒に行ってくれてありがとう。ベルリスと2人で来れたからとっても楽しかったよ!」
花火を見ながら2人で会話をする。
「エリム...」
「どうしたの?」
名前を呼ばれたのでベルリスを方を振り向いてみた。
すると。
「...」
ベルリスは私を無言で抱きしめてきた。
「...いいよ。このままで」
「感謝する...」
どうして抱きついてきたのかを普段の私なら聞きたくなるが、今は何故かベルリスに抱きつかれるだけで落ち着いてくるので何も理由は聞かないことにした。
「ベルリス、いつもありがとう」
「私こそ、エリムに感謝する。感謝してもしきれない」
打ち上がる花火と共に私とベルリスの思い出は作られていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます