第28話 イリスと遊園地

 私、エリム


 明日は休日だ。

何をしよう?


「...」


 そう次の日は何をしようかと家で考えていると新聞を見ながら真剣な顔をしているイリスが目に入った。


「イリス?」


 気になったのでとりあえず話しかけてみた。


「ねぇイリス?」


 イリスは話しかけても反応してくれない。


「イ〜リ〜ス〜」


 なので、私は耳元で囁いてみた。


「…は!?なんでしょう?ご主人様…」


 イリスが気がついたのか私の方を向いてきた。


「あぁ良かった。どうかしたの?」


「いえ…別にこれといったことは…」


 なんか怪しい。


 気になった私はイリスの読んでる新聞の記事を後ろから読んでみた。


「遊園地…イリス、ここに行きたいの?」


「えっと…はい」


 どうやらイリスは遊園地に行きたいらしい。


「じゃあさ?一緒に行かない?明日は休日だしさ…」


 いつもイリスは頑張ってるし、私も興味あるから遊園地に行ってみたい。


 なので、誘ってみる。


「良いのでしょうか?」


「行こうよ!絶対楽しいって!」


 イリスは乗ってくれるだろうか?


 イリスと2人で遊ぶのは楽しそうだ。


「…分かりました。行きましょう」


「決まり!」


 そうして私とイリスは遊園地に向かった。


「ここだね。わぁ…凄い沢山いる…」


 思ってた以上に沢山の人がいるので驚いた。


 新聞に載るぐらいだから分かるっちゃ分かる。


「そうですね…」


「イリス、私から離れないでね」


「はい…」


 イリスが私に寄り添ってきた。

可愛い。


「何から乗りたい?」


 最初にイリスに何に乗りたいか聞いてみる。


「では…私は…あれを」


 イリスはジェットコースターを指差してきた。


「あれからか...うん。行こっか」


 ジェットコースター、前の世界にいた頃に乗ったことがあるが、泣いた記憶がある。


「ご主人様?あまり無理は...」


 イリスが心配してくる。


 しかし、イリスといるし多分大丈夫なはずだ。


「ううん?全然平気だよ?」


 なので、平気なフリをする。


「分かりました。あまり無理はなさらずに...では、行きましょう」


 イリスは私を心配しながら、ついて来る。


「では、乗りましょう」


 いよいよ私とイリスの番が回ってきた。


 ジェットコースターの席に座る。


「そろそろ?」


「そうですね」


 そろそろスピードが出てきそうだ。


「まだかな...」


「今です!」


 スピードがかなり速くなる。


「ぎゃぁぁぁああぁ!」


 私は悲鳴を上げる。


「ご主人様!?」


「だ、だだ大丈夫!大丈夫だからぁぁぁ!」


 で、なんとか1周が終えた。


「うぅ...」


「ご主人様...」


 イリスが心配している。


「大丈夫だよ...イリス...」


 が、イリスを心配させたくないので私は強がる。


「それなら良いのですが...」


「次さ!次、何乗る?」


 気分を変えて違うのに乗ろうと話を変えた。


「乗り物ではないのですが...あそこに入りたいです」


 イリスはお化け屋敷を指差してきた。


「あれ...お化け屋敷?」


「はい。良いですか?」


「うん...行こっか」


 入り口からして怖そうだ。

しかし、私は以前ベルリスと一緒に本物の幽霊を見たので多分大丈夫だろう。


 そして私とイリスは中に入る。


「イリス…怖くないよね?」


「はい」


 イリスはかなり冷静だ。


 多分。怖くないのだろう。


「これ作り物〜?」


 怖そうなお化けの作り物っぽいのを見つけて私が笑うが。


「ひぃぃっ!」


 突然、それは動き出した。


「ひゃあ!」


 そして、上から何かガイコツみたいなのが出てきた。


 怖い。

早く出たい。


「イリスは!?イリスは大丈夫だよね!?」


 私は恐る恐るイリスに大丈夫かどうかを聞いた。


 そうしたら。


「ご主人様…」


 イリスが私に寄り添ってきた。


「…うん。もうすぐゴールじゃないかな?」


 イリスが寄り添ってくれたお陰でなんとかゴールまで辿り着いた。


 寄り添ってきたということは、イリスも怖かったのだろうか?


「次は平和なのに乗ろっか」


「そうですね」


 そうして私とイリスは絶叫系とか以外のアトラクションに乗って遊園地を楽しんだ。


 気付けば夜が近づいてきた。


「あ〜楽しかった!」


「私もです。ご主人様。お互い、楽しかったですね」


 私とイリスはそのまま帰ろうとした。


 が、イリスが止まった。


「どうしたの?急に止まって?」


 何故、今イリスが止まったのかが気になったので理由を聞いてみた。


「ご主人様…最後に乗りたいです」


 イリスは観覧車を指差してきた。


 今乗れば夜景が見れそうなので乗るのはありかもしれない。


「乗ろっか!」


 私はイリスの考えに賛同した。


 そうして私とイリスは観覧車に乗った。


「綺麗…」


 ここから見る夜景、ここまで綺麗なんだ。


 私は景色に魅了される。


「そうですね…」


 イリスと話しながら私は景色を見る。


 すると。


「失礼します」


 イリスが私の隣に座ってきた。


「ど、どうぞ…」


 唐突だったので一瞬、イリス相手に敬語になってしまう。


「すみません。少し、ご主人様の側にいたかったので…嫌でしたか?」


「全然!?嫌じゃないよ」


 イリスは心配そうな顔で見つめてきたが、そんなことはない。


 綺麗な夜景に隣に可愛いイリス、幸せだ。


「それなら良かったです」


 そうしていると外で花火が打ち上がった。


「イリス!あれ、花火!」


 まさかの花火がここから見れたので驚いた。


 観覧車なだけあって見応えがある。


「そうですね…綺麗です」


 イリスは花火も見てるが、私も見ている。


「ご主人様、少し私の方を向いてもらえますか?」


「イリス?」


 イリスの言った通りにイリスの方を向く、


「今日はありがとうございました。私からのお礼です」


 イリスは顔を近づける。


 そして


 私にキスをした。


「イリ…イリス?」


「また…よろしくお願いします」


「う…うんそうだねっ!」


 その後、何事もなかったかの様にいつも通りの会話が始まった。


 花火が上がる音と共に、観覧車は地上へ下がっていった。

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