僕のこと 本の夢師

ＡＲＥＡキタキュー：０７

第一三嘘　体制ＶＳ反体制

「一つ提案があるんだけど……」

再び合流した森山一族の長女ユミからの提案。

「私は森山平和愛好条約から抜けさせて貰うわ。

　ボディーメイキングなしのカイジを倒しても

　我が家にはメリットが少ないから」

「それは確かにそうだけど……」

板挟みのようなリョウコ。

「ご友人の仇討ちに参加する名目はいいの？」

「仇討ちって一体、何人を刺客に放つのよ！

　こっちは二人、対するのは、えっと……」

「ＬＯＣＫＥＲＳが四人、馬弔組が四人

　平和愛好条約がお嬢さんを外して三人じゃから……

十一人と二人のパワーバランスじゃな」

理路整然と、参加人数を割り出していく老紳士。

「お嬢さん、本当に二人でいいのか？」

アルベルトに代わり、鷽月雷夜が質問。

「逆にだけど、ミライと兄さんは戦うべきだと思うの。

『舞属性』ＶＳ『風属性』は決着を着けるべきだわ」

「では、ミライくんとカイジくんを

各々がサポートする形でいいかの？」

「……だったら、私も、カイジの応援がしたいかも？

　流石にあの子でも十一人の重圧は耐えきれないわ！」

母親に当たるリョウコが反体制に立候補する。

「ミライにとっても試練だけど

『愛属性』をもって私は家族を中和したい！」

彼女の予感通り、ミライに肩入れし過ぎるのは

家族にとって不幸な結果を招くかもしれない。

「ありがとう、母さん。注文を付けるとしたら、

愛煙家の哀演歌を多用して欲しいんだ」

紫煙には強化子バフ（ＢＵＦＦ）効果があり

演歌にはデバフ（ＤＥＢＵＦＦ）効果がある。

ＢＵＦＦはＢＵＦＦＡＬＯの略称で

たくましい、魅力的な、という意味の派生語になった。

ＤＥＢＵＦＦの「ＤＥ」はその打消し語だ。

反体制の長女ユミも典型的なＢＵＦＦＥＲなので

ガンガンにカイジに対してもＢＵＦＦを積んでいく

展開が予想される。

『彩』『雲』＝瑞雲招来は母娘タッグを組むリョウコの

『愛』『業』＝愛人二十八業との相性抜群！

釈迦が絡む鉄板ＢＵＦＦで戦士を鼓舞していく。

長い尺を使って『愛属性』『彩属性』を扱って来たが

この二つのＢＵＦＦだけでも

機能してくれたら溜飲は下がる。

朋友マハラジャンテをぶっ飛ばされたＬＯＣＫＥＲＳが

疾風のカイジ＝反体制に付く訳がないし、

馬弔組も旅の途中で博打が打てたらそれでいいので

ことを荒立てたりはしない。

結局、森山平和愛好条約で体制側に残ったのは

祖父に当たる『雷属性』ヒサシと

男孫に当たる『舞属性』ミライ。（兄貴に対しての弟）

ＥＬＥＣＴＲＩＣ　ＨＵＭＡＮ．の先駆と

天才舞曲ダンサーの用心棒。どちらも即戦力だ。

いよいよ、勿体ぶった対決の火蓋が切って落とされる。

疾風のカイジは、薄々家族の暗躍に気付いていただろう。

いつもとは何か違う、玄関の感じや

遠目で感じる食器棚の位置感覚等々。

馬弔組も専用の鍵は持っているが

付け焼刃なので、ＢＵＦＦＥＲに専念する他ないだろう。

（鷽月雷夜はどこで収集したのか五属性全持ち）。

ちなみに【四聖獣】の内訳は……

【青龍】鷽月雷夜【朱雀】柴田民生

【白虎】風間長夢【白虎】風間園子

【玄武】という属性もあるが、該当者なし。

ＬＯＣＫＥＲＳも卓に着いたが、

【四聖獣】を宛がうほどのキャリア＝経験はなし。

長女ユミによるボディーメイキングが始まった。

もう後には引き返せない。舞い、転じて風と成す。