解決編・二
「そのつもりだった?」
「えぇ、 本来の計画では私が王都で勉強しながら人脈を広げ
カボン子爵の罪を明らかにし、 カボン子爵を追い落とすつもりだったのですが・・・
予定外の出来事が起こりました」
「予定外?」
「殿下に気に入られてしまったのです」
溜息を吐くシー。
「え? 殿下と言うとマーカス殿下?」
「その通りです、 人脈を広げる中でマーカス殿下達に
何故か付きまとわれ初めまして・・・正直に言って迷惑でしたが
身分が違う為、 強く出られず・・・」
「私も諫めたのですがね」
「ラズ公爵家令嬢のお心遣いには本当に感謝いたしますが・・・
殿下達はそれも気に喰わなかったみたいで・・・」
「嫉妬するなとか意味の分からない事を仰っていましたね」
「本当に私はうんざりしていました、 しかし私にはどうする事も出来ない
下手に助けを求めたら悲惨な事になるでしょう
ラズ公爵家令嬢ですらあんな事をしたのに」
「あんな事? とは?」
メイズが顔を険しくさせた。
「私の顔を引っぱたいたのです」
「そんな事をしたのか!? 自分の婚約者に!?」
「でもその後、 殴って鼻をへし折りました」
「そんな事をしたのか!? 自分の婚約者に!? と言うか良く出来たな!!
マーカスの性格ならば報復するかもしれなかったのに!!」
「殿下のプライドの高さから言って
『女に殴られて鼻を折られた』なんて言いませんよ
他の方々も責任になるので何も言いません」
「騎士団長の息子は?」
「彼は見てくれだけで騎士の素質は有りません、 それで殿下達が如何しました?」
「・・・・・話を戻します、 殿下達につきまとわれた私は
『こんな人間が国の頂点に立つなんて許せない』と思いました
婚約者に対してこうも乱雑な男がまともに治世なんて出来る筈が無い」
「「それは同意見だ」」
意見が有ったリーゼとメイズ。
「そこで私はマーカス殿下と結婚をして殿下の側近共々失脚させようと
試みたのですが・・・そこに今回の事件です」
「・・・・・うん? そこ『に』? そこ『で』では無く?」
「・・・えぇ、 私は殿下を・・・何と言いますかガラの悪い店に連れ出し
評判を落としていくというプランを立てていました」
「・・・・・即ち、 今回の誘拐事件はお前の仕業では無いと?」
「はい」
「・・・今回の事件、 結果を見ればお前の望みは全て叶っている様な物では無いか
これをお前が狙っていたのでは無いのか?」
「いいえ、 何か証拠でも?」
「・・・・・無いな、 実行犯は炉で丸焦げよりも酷い状態だ
判別は不可能、 後は推論になるだろうな」
「そうですよね」
リーゼとメイズは確信した。
シーは誘拐事件に対しすっとぼけるつもりだと。
とは言えシーの言葉には共感も得ていた。
マーカスはどうしようもない男だしマーカスの側近も似た様な物だ。
一掃できたのはこちらとしても好都合だ。
これ以上の対話は無用として、 暫く雑談に興じた後にシーは去って行った。
修道院に向かうのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます