侵食
夜は遅くまで起きていたかった。
美味しい料理に合わせてお酒も飲みたいし、食後のデザートは欠かせなかった。
休日は外に出て、丸一日たっぷり使いたい。
友達も家族も大好きだけど、音楽と映画は私だけのものみたいに、独り占めして楽しみたい。
侵食されていくように、変わる。
「夜は恋人のものにしたいの」とお気に入りのバンドが歌った。夜を恋人のものにするには、朝を自分のものにするしかなくて、早起きが得意になった。
ワインが苦手な彼とイタリアンは食べれなくて、ハイボールの炭酸ばかりが溜まるから、食後のアイスも入らない。
ベッドの上でだらだらと過ぎる一日も無駄じゃない気もするし、やっぱり無駄なような気もする。
一人だったら絶対選ばないような音楽と映画は、新しく私を刺激して、でもそれは独り占めにしたいような対象ではなかった。
生活が侵食されていく。
生活が侵食されていくように変わる。
私は私で、私のものは私のものなのに。
一人になったら、今の私は半分よりもっと多く無くなって、もはやそれが何かすら分からなくなるだろうと思う。
それをどうしても避けたいのに、避けようとしない自分が、自分を侵食している。
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