視界から

フレデりか

2002

サイレンの音で目を覚ましたあなたの

手を握って息を吐く午前3時

上下する胸の線に感傷的になって

読みかけの本の一節をなぞった

僕らひとりとひとりで夜明けを

待っている


「目覚めたまま夢をみている」

着色料だらけの夢で

視界がぼやけてゆく

いつかみた戦争映画は

誰も救われなかったっけ


最後のページに栞を挟んだあなたを

横目にカーテンを閉めた午後6時

あの日見た映画の名前を思い出せなくて

口ずさんだのは亡くした世紀末

意味のない栞と自分を重ねた

わかっている


色鉛筆で描いた天使は

電灯が花になる夢をみる

全て忘れて

君とみた戦争映画で

僕だけ泣けなかったっけ


青い空をみて悲しくなるなんて

あなたらしいね って泣いた

あのとき僕ら

本当は笑いたかったね


目覚めて天井を見ている

折れた色鉛筆を削っても

電灯のまま

タイトル思い出せたから

あの映画もう一度観よう


今度は僕も泣ける気がするんだ

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