出来たてホヤホヤの年下お嫁さんは清楚だけど圧が強い
minachi.湊近
第1話 プロローグ
結婚した。
俺、結城 唯希はつい先日結婚しました。いぇーい、ふぅーふぅー。相手は大学の頃から付き合っていた四つ下の後輩。
年下が好きな俺にとって彼女は俺の好みドンピシャの女の子だった。
出会いはサークル内での飲み会だ。俺は大学でテーブルゲームのサークルに入っていた。
テーブルゲームとはeスポーツとは違う。トランプやオセロ、将棋などのお遊びのことを言う。
俺は小学生の頃からあまり身体を動かすスポーツは得意ではなかった。
自分で言うのもなんだが、俺はスポーツ以外なら完璧だったと思う。
体育以外の教科は5段階評価中全て5を取っていたし、スポーツ以外の習い事でも数々の賞を受賞した。
まあそんなこんなで大学生になってもスポーツが苦手だった俺はテーブルゲームのサークルに入ったというわけだ。
別に出会いを求めて入った訳では無いが、彼女と出会った時に運命を感じたのだ。
普段は控えめな俺が初めて積極的になった瞬間だった。
初めて告白した時はもちろん振られた。だって後輩だったからほとんど関わりを持ったことがなかったからだ。
最初は直ぐに諦めようと思ったが…
「先輩、おはようございますっ!」
「うわっ」
突然俺の腹部を痛みが襲った。気持ちいい痛みだ…あ、別にMというわけではありません。
「どうしたんですか先輩。そんな浮かない顔して。私に浮気された夢でも見たんですか?」
嫁に浮気された夢か、絶対に見たくないな。もしそんな夢を見てしまったら一日中号泣してしまう気がする。
「うぅ…」
あれ、俺泣いているのか?ふと目元に触れてみると涙が溢れていた。
「あ、すみません先輩。冗談ですよ、安心してください。私は一生先輩のものですから!」
「本当か?」
「疑うなんて失礼な夫ですね。あなたにプロポーズされてOKしたのはどこの誰ですか!」
「茜だな…ははっ」
大好きな嫁を疑っちゃうなんてダメな夫だな俺は。
「そうですよ。あなたが大好きでたまらない結城茜です。絶対に忘れてないください!」
「分かった。茜も俺を忘れないでくれよ。この世で1番愛してるからな」
そうして俺は茜を胸元に抱きしめて…
「こほんっ!」
慌てて距離をとった。
「朝からおアツいねー2人とも。お義姉ちゃんとしてはとても恥ずかしいけど、全然気にしないでいいからね!」
そうだった…今日は朝から姉さんが遊びに来る予定だったんだ。
姉さんとの1件で目が覚めた俺は直ぐに支度して姉さんの所へ謝罪に向かった。
夫婦のやりとりとはいえ事前に姉さんが来ることは分かっていたのだ。
これは俺たち夫婦、というより俺の失態だからな。一応謝っておこうと思う。
「ごめん姉さん。お見苦しいところをお見せして」
「んーん。気にしてないよ。それよりも私も結婚したくなっちゃったー。彼氏作ろかな」
「私からもすみませんお義姉さん。ちょっと熱くなりすぎちゃいまして」
そう言って舌を出す茜。それも絵になって実に美しい…こほんっ。
「いいよー。それよりもさ茜ちゃん」
「なんですか?」
「後で女子トークしようよー。唯希なんて放っておいてさ。夜の話とかも聞きたいし、あ、メインは結婚生活の話だから安心してね」
多分嘘である、いや多分なんかで形容できない。絶対にメインは夜の話…俺は何を考えているんだ。
茜はああ見えてそういう系の話題は得意ではない。茜は清楚である。きっと姉さんの誘いは断るだろうな…。
「え、あっ…わ、わかりました。沢山お話しましょう!」
了承しちゃうんですか。まあ茜が判断したなら夫である俺が止める理由は無い…ことも無いけど。
「まじ?やった、茜ちゃんを独り占めできるじゃん!ざまーみろ唯希」
「はっ、姉さんに何をされたって茜は俺の大事な嫁なんですー。独り占めって言ってもどうせ1時間くらいだろ。俺はこれから茜をたくさん独り占めしていくんだよ!」
自分で言っていて恥ずかしくなってくるなこれ。でも真実だし、後悔はしてない。
「うわー私、それ引くわー。見なさい、茜ちゃん俯いちゃってるじゃない」
ふと茜を見てみると顔を両手でおさえて俯いていた。よく耳を澄ますと小さな声で喘いでいるのが聞こえた。
「とりあえず今から飯作るから姉さんたちは俺たちの寝室で女子トークでもしとけば?」
俺と茜は結婚してからというもの、家事は分担している。
基本的に一日交代だが俺が仕事から帰って来れない時は茜にやってもらっている。
「じゃあそうしようかな。行こ、茜ちゃん」
「は、はい!」
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