ハトリール邸

「おお、分かってはいたけど広いな」

「マ、マシロ毎日ここで寝泊まりしてもいいですか!? というかお願いですハトちゃん! マシロを養って!」

「この広さにお1人でお住まいなのですか? 今回のお礼もかねて、お掃除等、お手伝いさせていただきますね」

「ま、皆適当にくつろいでヨ。ミーアは夜ご飯の支度手伝ってくれるカナ?」


 しっかし、ハトリールの住んでいる家は豪華なこった。 


 というのも、事前に知ってはいたのだがkハトリールが現在住んでいるのはお貴族様が住んでいるような豪邸なのだ。家というよりは屋敷で、本来10人が住んでも余りあるほどの造りになっている。


 入ってみた実感したが、今までに行ったことのある他の貴族の館と比べても見劣りしない豪華さだった。


「ん? てか、これはなんだ?」

「ああ、それは私の魔道具コレクションだヨ。できればさっきの金の盃も加えたかったんだけど、残念、家と一緒に砕け散ってちゃったから飾れないんダ」

「ほへぇ、立派なもんだ」


 玄関からリビングに入り、キッチンへと向かうまでの道のりにあったその棚は、リビングの壁一面を覆いつくすほどの大きさで、その棚にはびっしり調度品の類が飾ってあった。

 魔道具コレクションと言っていた通り、中には物騒な剣や禍々しい杖などが飾られてもいるのだが、そのほとんどはシスターアズリアが持ってきたような調度品や装飾品の類だった。


 俺には魔道具の善し悪しなんて分からないが、なんとなく凄そうな力を感じないでもない。


「そういえば、ハトリールは杖もそれなりに珍しい魔道具だったよな?」

「ああ、これのこト?」


 言ってから、ハトリールは背負っていた漆黒の杖を壁に預けた。

 以前聞いた話だと、確かあの漆黒の杖も珍しい魔道具だったはずだ。

 

「一応魔道具だけど、そんな大それた代物じゃないヨ? お母さんとお父さんが、確か9つの誕生にくれた銀製の杖で、私の持っている呪いをある程度軽減する効果があるんダ。銀はよく、毒を区別するために食器に使われるよネ? そこから由来して銀で魔道具を作ると呪いや毒の類を抑制する効果を持つことがあるんダ。それだヨ」

「いやいや、十分凄いだろ。そもそも銀ってのは高いものだし、それを加工するのは簡単じゃないんだ。それにハトリールの抱える呪いって決して安いものじゃないだろ?」

「ま、そうなんだけどネ……あ、ミーアもう先に始めちゃった? キッチンにあるものは好きに使っていいけど散らかさないでヨ?」

「問題ありません。むしろ、私1人に任せてくれても構いませんよ。というかその方が楽です」

「ソウ? なら、私もゆっくりしてようかナ」


 俺とハトリールが話をしているうちにキッチンへと向かっていたミーアトリアはどうやら先に料理の支度を始めていたらしい。

 ハトリールも手伝おうとキッチンに足を向けたが、ミーアトリアの言葉を受けて踵を返した。

 

 ちなみに、マシロはいつの間にかいなくなっていて、しばらくして帰って来た時には今晩寝る部屋を決めていて、私はあの1番豪華な部屋を使うとかはしゃいでいた。


 図々しいにもほどがあるだろ。

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