散文詩『さらばジョンへ伝へかし』

 言葉の刃が触れる瞬間女の子は瞼で真剣白刃取りを試みた。

 けど死んじゃったよ。まつ毛が鋼じゃなかったから。


 僕ら電子言語をマスターしてる。で、それを石みたいに掴んで殴り合っている。まんまネアンデルタール。プロメテウスの飛び降り案件。


 和して目に映る色とりどりの花、愛しい人の笑顔、人生を変えた絶景、待ち受けに張り付いた画像がまだ残像のうちに、タップ、ピンチ、スライド、呪いの言葉で画面を満たす。映り込む顔、加工できない歪み。


 言語、ネット、笑顔、コミュニティー。分かり合うためのツールじゃなかったっけ?傷つけるために使うの?


 皮膚の色の違いで憎しみ合う能力、きっと動物には無い。目を閉じて、触れて、答えて!「体温は何度違う?」


 僕らの子孫よ、月面基地で殺し合ってるかい?国家や宗教はまだあるのかい?

 君らの――。

 君らの記憶媒体に『Imagine』は入ってるかい?


   さらばジョンへ伝へかし

   衆生いまだ黙想せるよりて

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