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「どうぞ。なんにもないところだけど、ゆっくりしていって」葉ちゃんはそう言いながら庭のテラスに座っている宝に紅茶を淹れてくれた。お茶菓子に小さなケーキもあった。(それらを葉ちゃんは古い黄緑色をしたふたつドアの冷蔵庫から出した)
「ありがとう。葉ちゃん」葉ちゃんのほっぺたにキスをしながら宝は言った。
透明なガラスには花びらが浮いている。紅茶の中に浮かんでいる花びらだ。ケーキは種類があって、いちごとチョコと抹茶とチーズのケーキだった。(一口で食べられる大きさのケーキだった)
そんな用意をしてから葉ちゃんは宝の前にある椅子に座った。ホースをしまった葉ちゃんは白いシャツの首元に黒色のリボンをつけている。(水やりのときには外していたようだった)
風が気持ちいい。ゆっくりとした時間の流れている、のんびりしているどこか懐かしい感じのする景色を見ながら宝は思う。
「宝物は見つかった?」
久しぶりにあって、葉ちゃんがなんて言うんだろうって思っていたのだけど、そんなことを葉ちゃんは言った。(残念なことにまだ見つかっていなかったので)宝はゆっくりとその顔を左右に動かした。
「そんなんだ。残念だな。だけど焦ることはないよ。時間はある。ゆっくりと時間をかけて見つければいい」と小さく笑いながら葉ちゃんは言った。
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