第26話 引きこもり


 あー。ギター買いにいこうかな。

 今使っているギターはかなり使っているやつだし。


 もう7年になるのかな?二代目はこんなに頑張ってくれたんだなあ。


 これからライブをもっと本格的にするなら新しいギターにしないとな…。


 本当なら夏菜子と一緒に買いに行きたいが体調が悪いらしいので1人で行こう。


 ―――――――――――――――――――


「夏菜子。ご飯置いておくよ。」


 お兄ちゃんがご飯を持ってきてくれた。


 もう私…。何をすればいいの…?


 あの後私は病院の先生からとんでもない事を言われた。


 ―――――――――――――――――――


「かなり喉や声帯が腫れていますので…。」


 先生はここで言葉を止めた。


 嫌な予感がする。

 お兄ちゃんも私と同じような予感を感じたのか血の気が引いている。


「その続きって…。」

「もしかすると声帯を取らないといけなくなるかもしれません。」


 声帯を…。取る…?

 私の歌は…?私の歌は…?私の歌は…?


 ――――――――――――――――――


 何でそうなるの…。

 ちょっと上手くいったらすぐ意地悪をしてくる。


 中学の時だってそう。

 部活で頑張ってせっかくレギュラーになれたのに試合の1週間前に捻挫してそこから2度と試合には出れなかった。


 上手く行ったら私を地獄に落とす…。

 そんなことして何が楽しいの…?

 私をここまでいじめて何が嬉しいの…?


 ゴミ…。

 人生はゴミ…。


 もういっそやめてしまおうかな。

 そうしたら地獄に落とされることももうないよね…。


 スマホを開いて『自殺』と検索しかけた時だった。


「夏菜子…。一回お兄ちゃんと話をしよう。」


 お兄ちゃん…。

 私のことを思ってくれているんだと思う。


 でも今はもう迷惑なの。

 神様のおもちゃにされている私は人生を終えたい。

 ただそれだけなの。


 もう話しかけてほしくないのに。

 もうずっと1人にさせてほしいだけなのに。


 でもこのまま無視しているのもなんか嫌だしちょっとだけ話そうかな…。


 私ってとことんお兄ちゃんに甘えてしまっているかも…。


 でももう終わりにしたいの…。

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