第22話 ライブ開演


「さあお次はこの2人です!」


 この合図で俺たちはステージに上がる。


 いや…。人多!

 多すぎるって…。


 あまりの人の多さに引いているが夏菜子が俄然やる気が出ている。


「駅前で路上ライブを初めてまだ数ヶ月。いや1ヶ月経っているのかどうかも怪しいですが主催の目に止まってまさかの大舞台に出演していただきました!それではどうぞ!」


 主催の目に止まったっていうか多分お父さんのゴマスリ。

 まあいっか。


 夏菜子が目で合図を送ってくる。

 俺が演奏を弾き始める。


 夏菜子が最初のワンフレーズを歌った時すごい歓声が沸いた。

 すごい。すごい。


 すごい人が聞いてくれている。

 そんな気がする。


 しかもなんだか弾いていて気持ちがいい。

 今まで以上に気持ちがいい。


 そして最初の1曲が歌い終わると歓声が沸いた。


 って、ええ?

 さっきより観客増えてない?


「こんにちは!いや。こんばんはかな…。私たちいつもは駅前で路上ライブしてるんですけど、なんかお祭りに呼んでいただけてしかもセンターステージなんかで歌えるなんて幸せです!みなさんもっともっと盛り上がっていきましょう!」


 歓声が沸く。


 え。なんか夏菜子盛り上げ上手くないか?

 めちゃくちゃ盛り上がってるじゃん。

 いいねえ。俺も調子が出てきたよ。


 二曲目は絶対盛り上がると思って選曲した曲。

 やっぱり案の定盛り上がる。


 そりゃそうだよ。

 夏菜子めっちゃ盛り上げうまいんだもん。


 そして順調に三曲を歌い終わった。


「みなさん。ここでね。彼、慶太くんが作ってくれた歌を一曲聴いてほしいんですよ。」


 結局色々考えて、オリジナル曲は一曲だけにすることにした。

 オリジナル曲ばっかりだったら退屈すると思って。

「で、いい曲だったら歌い終わったら全力で拍手してください!」


 拍手が巻き起こる。


「でもつまんなかったらブーイングしていいんで。」

「おいおいおい。」


 流石にびっくり。

 打ち合わせにないんだもん。


「まあ絶対いい曲の自信あるんで聴いていてください。」


 やばいって。なに勝手に審査させてるんだよ。

 これでブーイングの嵐だったらどうするんだよ。


 弾きながらすごい緊張している。


 やばい弾き終わる…。


 盛大な拍手…。とまではいかないがそこそこ受け入れてくれたらしい。

 ブーイングは聞こえない。


「あー。なんか微妙ね。」


 なんだそれ。さっきまでベタ褒めしててたくせに。

 まあいっか。


 そしてライブが終わった。

 俺たちは楽屋に戻る。


 まあ戻る最中にいろんな有名人に会って全員のサインもらっていたから終わってから何十分か経っても楽屋には戻れなかったけどね。


「夏菜子。どうだった?」

「なんか気持ちよかった。」

「なら良かった。」

「ねえ。これからもよろしくね。」

「何を今更。」


 2人で笑った


 これからも頑張っていくぞ。

 もっとやる気がでてきた。

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