硲ノ狭間ー3




碓井溫烱うすいはるき

雨の降るさまを見るたび

先代の最期の姿が

頭をぎる。



特に

こんな雨。


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月が見える。

雲一つなく。

抜ける、

よいヤミ


『狐の嫁入り』には

激しすぎる雨。



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ちり・・・ん。


豪雨の中、

鈴の音が響く。


ほむらの黒い影が

目の前にいた。

先代は燃え上がっていた。


一瞬でほむらに包まれ。

炭となり。

焼け跡となり。


碓井溫烱うすいはるきの目の前で

先代が焼け落ちた。


先代は

異形の狭間ハザマ

成り果てた地で

異形の狭間から来た

ほむらに焼かれて喰われ。


ほむらの黒い影、に成ってしまった。


ちり・・・ん。

鈴の音が

今も耳に焼き付いている。



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