第21話ドッジボールのリズム
もはや、紬ちゃんと恵美ちゃんの攻防戦となっていた。
「ドカッ」
恵美ちゃんの物凄いボールが紬ちゃんに向かって当て付けられた。紬ちゃんは一端ボールを掴むが勢いの余りボールが跳ね返ってしまい、下に落ちてしまった。紬ちゃんの居なくなったコート内では逃げる人ばかりの集団だ。誰もがボールを取れないと言う訳では無いが紬ちゃんの様にはなりたく無いと思う心理がチーム内では生まれている様だ。しかし、逃げてばかりでは体力が続く筈も無く、誰かが取り、それを紬ちゃんに回すしか後が無いと思う新葉。新葉は大地君に命運を託す。
恵美ちゃんのボールを受けるには大地君にもリスクが高い。そこで恵美ちゃん以外の子からのキャッチをして貰いたいと新葉は思っている。
「大地君右。渚ちゃん横。渚ちゃん低く。大地君。今だ。手を下から体を覆う様に丸くなって果敢で取って! 大地君。列を作るんだ」
言いながら、新葉はチャンスを狙っていた。そんな中、大翔君と陽翔君の間でもチャンスを狙っていたのだ。
「陽翔君右だ」
声を掛けながら本人も動く大翔君。そんな攻防をしてる中。陽翔君が動いてボールを取ろうとした時だった。
「まだです。取れません」
大翔君が止めた。陽翔君は逃げられた。しかし、仲間が恵美ちゃんのボールに沈んだ。と、同時に新葉も声を上げていた。
「大地君。右の子が当たる」
新葉は大地君に警告する。
「ほら、避けて良かったでしょ」
大翔は得意げににやけた顔をした後、済ました顔をしている。
「う、うん」
気もそぞろに返事をする陽翔君。その後、大翔君の言葉掛けが陽翔の動きを一瞬止めた。
「止めて下さい」
大翔君の声掛けに一瞬動け無かったのだ。陽翔自身も分からないのだ。新葉は大地君を見ていて、
「大地君。頼む取って。緩い」
新葉は叫んでいたのだ。
「ガシッ」
大地君はドッジボールをしたから救う様に取り、紬ちゃんに渡したのだ。待ってましたとばかりに生き返った様に動く紬ちゃん。あれよ。あれよとばかりに次々と沈めて行った。
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