第20話 雨音強く
起
夜中に降り出した雨が
朝になれば激しさを増し
窓を打つ風が足速に過ぎ去って行く
締め切った窓に湯気が漂えば
静かに迎える朝食前の暖かな珈琲
気持ちが落ち着く調べは
自然が奏でる灰色の空の下
そっと窓を開けて辺りを見れば
大地を叩く水飛沫に煙る街
窓枠が濡れて急いで閉めれば
布切れで拭く今日の初仕事
何か良いことがあれば良いな
きっと有るよと囁く毎日
なければないで平穏無事ないつもと変わらない日々
もしも
そう
もしも・・・
きっと雨が流してくれる
承
花瓶の水を換え
咲く花に思いを寄せれば
命の大切さを知る
やがて枯れ行く
見事に咲いた花に生き様を見れば
平凡とは何か
それは優しさだと
一人呟いてみる
夢は目の前にある
希望は遠すぎて届きそうもない
目を閉じて
耳を澄ませば聞こえて来そうな声は
現実だったのか
届きそうな思いは遠すぎた過去の場所
手の届くような場所には無い希望という思い
同じ場所?
転
夢は目を瞑れば見えるもの?
暗い夜空の下
明かりを消した一人の部屋
目を瞑らなくとも見えるものは白日夢
いつも現れる姿が私を悲しまさせる
それなのに現れなくなれば
さらに悲しみが深くなる
あれは夢
本当にあった夢
それは現実
夜に泣く鳥の声に目覚め
朝に鳴く鳥の声を待ちながら
また目を瞑る
結
朝日を閉ざすようにレースを引き
カーテンで光を遮れば
少し微笑んで
おはようと言う
扉を開ければ
微風が優しい
軋むような音がする過去への鍵を閉めて
私は大きなカバンを持つ
悩んだ時
あなたは言った
悩みは聞く
でも相談には乗れないと
それは自分自身の考え
それは自分自身の経験で作られたもの
別々の人生
悩みがあり
誰かに相談に乗って欲しい時は
夜空の星に尋ねなさい
森を抜ける微風に尋ねなさい
どんなに素晴らしい知識も
それはその人の経験で作られたもの
その人と同じ生き方をしてはいけない
君は素晴らしい一人の人間
そんな君が好きだ
独り
旅に出ます
遠く長い旅
心を道連れに
この心を解放してあげられる場所を探しに
日の当たる場所を見つけた時が
あなたに会いに行ける時
私は歳を取り
もう充分にお年寄り?
それまで頑張って生きてみます
空の愛するあなたへ
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